2021年モデルのiPad Pro 12.9インチ(第5世代)は筐体デザインは従来モデルと全く同じでディスプレイにApple初となるミニLEDを搭載し画質が向上、高性能なM1を搭載しスペックが飛躍したモデルです。
この記事では、iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021)のデザイン・スペックなどのレビューをしています。実際に使ってみてどうなのか、メリットとデメリットも書いています。
iPad Pro 12.9インチ(第4世代・2020)からどう進化したのかも比較しているので購入を検討している方は参考にどうぞ。
- 画面サイズが大きくて作業しやすい
- ミニLEDバックライトで画面が色鮮やかでキレイ
- M1チップによる高速化は意外と体感できる
- iPadOS 16でステージマネージャー対応
- 電池持ちも意外と向上している
- USBの通信速度が1.2倍ほど向上している
- 4スピーカーオーディオの音質が向上した
- 5G通信に対応している(セルラーモデル)
- 少しだけ厚く、重くなった
- ミニLEDバックライトの恩恵がいまいち?
- 指紋認証に対応していない
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は発売当初は129,800円でしたが、2022年7月に円安の影響で159,800円に値上げ。ただ、iPad 整備済製品や中古もあるので安く手に入れたいならおすすめです。
後継機種はiPad Pro 12.9インチ(第6世代)です。
この記事の目次
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の特徴
- 画面サイズ:12.9インチ
- Lquid Retina XDRディスプレイ(ミニLED)
- 解像度:2,732 × 2,048ピクセル
- リフレッシュレート:ProMotion(120Hz対応)
- SoC:M1、メモリ:8GB / 16GB
- ストレージ:128GB〜2TB
- 生体認証:Face ID(顔認証)
- リアカメラ:広角 + 超広角 + LiDARスキャナ
- インカメラ:超広角センターフレーム対応
- ポート:USB-C、Smart Connect
- DisplayPort、USB 3.1 Gen 2(最大10GB/s)、Thunderbolt 3(最大40GB/s)
- セルラーモデルは5Gに対応
- 端末価格:159,800円〜
- 発売日:2021年5月21日
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021)はFace IDの顔認証に対応したフルディスプレイの大型タイプのiPadでデザインは2018年からのiPad Pro 12.9インチ(第3世代)、iPad Pro 12.9インチ(第4世代)と同じです。
パッと見た感じは同じですが、ディスプレイのLEDバックライトがミニLEDのLiquid Retina XDRになって黒の締まり、輝度が向上しHDRの動画の画質が改善しています。
また、心臓部となるSoC(システムオンチップ)がMacに採用しているM1チップを搭載しメインメモリが8GB(最大16GB)に増えて性能が向上しています。
iPadにM1の性能が必要なのか…?
そんな疑問も湧きますが実際に使ってみると全体的なアプリの動作や表示も従来モデルと比べてもワンテンポ高速化しているので体感で速くなりました。
他にも、インカメラが広角 → 超広角で広く自撮りできるようになって自動でカメラワークを調整してくれるセンターフレームに対応し細かいところがブラッシュアップしています。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は159,800円と高価な大型タブレットですが画面サイズが大きくてイラスト制作などクリエイティブな作業には最高に適した端末なのでクリエイターの方におすすめです。
Pad Pro 12.9インチ(第5世代)のレビュー
デザインと本体サイズ
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021)は正面デザイン、背面デザインともに従来モデルを踏襲しており、左右均一のベゼルのフルディスプレイスタイルとなっております。
アルミボディを採用し角の立ったフラットエッジなスタイルは健在で、大きな1枚の板のような風貌なのも今までと同じとなっていますね。
モデル | iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9インチ(第4世代・2020) |
---|---|---|
高さ | 280.6mm | |
幅 | 214.9mm | |
厚さ | 6.4mm | 5.9mm |
重量(Wi-Fi) | 682g | 641g |
重量(セルラー) | 684g | 643g |
本体サイズも(280 × 214.9 × 6.4mm)と高さと幅は従来モデルと同じですが、本体の厚みが5.9→ 6.4mmと0.5mm、重量が641g → 682gと豊満ボディーへと進化しております。
実際に手にすると確かに重くなっているように感じますが、比較しないと分からないレベルなので重さにそこまで敏感でないなら気にする必要はありません。
もし、持ち運んで使うことが多くて、1gでも荷物を軽くしたいなら旧型モデルがいいのかもしれません。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の筐体デザインは基本は同じで画面右上に電源ボタン、音量ボタンを搭載しています。
筐体の上部にはスピーカー、マイクの穴があります。
筐体の下側にもスピーカーの穴、充電用のUSB-Cポートを搭載しています。
Apple 20W USB-C電源アダプタとUSB-C充電ケーブル(1m)が同梱しています。
これを使ってiPad Pro 12.9インチを充電します。iPad Pro 12.9インチは急速充電に対応し、Apple 35W デュアル USB-C電源アダプタなど出力の高い電源アダプタでより素早く充電可能です。
本体の横側にはApple Pencil(第2世代)を装着、充電するための充電パッドがあります。
ここにApple Pencil(第2世代)を装着するだけで自動でペアリングと充電可能で、本体とバラバラで持ち運ぶ必要がなくすぐに使い出せるのは素晴らしいところです。
ミニLEDバックライトで画面が明るい
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021)は従来モデルと同じ液晶ディスプレイですが、バックライトにミニLEDを採用しLiquid Retina → Liquid Retina XDRに名称が変わりました。
モデル | iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9インチ(第4世代・2020) |
---|---|---|
パネル | Liquid Retina XDR(ミニLEDバックライト) | Liquid Retina(LEDバックライト) |
解像度 | 2,732 × 2,048ピクセル | |
最大輝度 | 600ニト(標準) | |
フルスクリーンの最大輝度 | 1000ニト、ピーク輝度1,600ニト | – |
仕様 | 120Hzリフレッシュレート(ProMotion)、広色域ディスプレイ(P3) 、True Toneディスプレイ、耐指紋性撥油コーティング、フルラミネーションディスプレイ、反射防止コーティング |
iPad Pro 12.9インチ(第4世代)のバックライトもLEDでサイドライト(LEDの数は72個)と導光板でディスプレイ全体をムラなく光らしていました。
ミニLEDバックライトのiPad Pro 12.9インチ(第5世代)に搭載しているLiquid Retina XDRディスプレイは10,000個以上の超小型LEDを液晶直下に配置しています。
2,596のエリアを区分して映像を分析しつつ明るい表示の部分はLEDを明るく発光、暗い表示の部分は暗く発光することでクッキリとした表示が可能です。
ミニLEDのバックライトを採用したiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の画面はどれくらい画面の明るさが異なるのか確かめてみました。
従来モデルのLEDバックライトを搭載したLiquid Retinaは黒の部分が白くなっていますがミニLEDバックライトのLiquid Retina XDRは黒がしっかりとした黒を表現できています。
ただし、この差は一般的な使い方で違いを感じることはできないんですよね。
ミニLEDの真価が発揮するのは明暗差のあるシーンで、暗いところ、明るいところが混在するところで暗いところは暗く、明るいところは明るく表現できて映画などのコンテンツで差が出てきます。
また、4K HDR対応の動画コンテンツならLiquid Retina XDRの輝度は600ニトから1600ニトに引き上げられてよりクッキリとした画質の映像を楽しむことができます。
4K HDRなどリッチコンテンツを楽しむならLiquid Retina XDRを搭載している2021年モデルのiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の存在価値は高いものとなります。
生体認証はFace ID(顔認証)に対応
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は顔認証のFace IDに対応し指紋認証には対応しておりません。
顔を登録し顔を向けて視線を送って画面ロック解除できます。Smart KeyboardやMagic Keyboardだとキーをタイピングするだけで画面ロック解除できるので快適に使えます。
ただし、指紋認証には非対応でマスクしてるとパスコード入力が必要で少し面倒を感します。マスクしてることが多いならTouch IDに対応しているiPad Air(第5世代)の方がいいかもしれません。
SoCの動作速度と性能
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のSoC(システム・オン・チップ)はMacに採用されているAppleシリコンのM1チップを搭載しています。
M1チップはiPhone 12シリーズのA14 BionicをベースとしたSoCでMac向けに最適化されたチップで、iPad Proにも高性能なM1チップを搭載します。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
SoC | M1 | A12Z Bionic |
CPU | 8コア(4+4) | 8コア(4+4) |
GPU | 8コア | 8コア |
NPU | 16コア(毎秒11兆回) | 8コア(毎秒5兆回) |
RAM | 8GB or 16GB | 6GB |
SSD | 128/256/512GB 1TB/2TB |
128/256/512GB/1TB |
A12Z Bionicの100億のトランジスタ数、M1チップは169億のトランジスタ数と1.7倍も多く、Apple公式によるとCPUの性能が50%向上、グラフィックの性能が40%も向上しているとしています。
Geeknbench 5でiPad Pro 12.9(第5世代・2021)のM1チップの性能を計測してみました。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
SoC | M1 | A12Z Bionic |
メモリ | 8GB | 6GB |
シングルコア | 1711 | 1119 |
マルチコア | 7204 | 4429 |
GPU(Metal) | 21717 | 12168 |
シングルコアCPUで1.6倍、マルチコアCPUで1.6倍、GPUは1.8倍も性能が向上。このスコアはM1チップのMacBook Pro 13インチ(M1)、Mac mini(M1)と全く同じ数値となっていて最大クロック周波数が落とされていないということです。
これだけ高性能なSoCだと電池持ちは大丈夫なのかと不安にもなりますが、iPadOSが適切に動作するように省電力コアを上手く使うことでバッテリー消費もしっかり抑えらえれています。
Antutuによる性能比較もしてみました。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
SoC | M1 | A12Z Bionic |
メモリ | 8GB | 6GB |
総合 | 1026302 | 715801 |
CPU | 268402 | 185880 |
GPU | 533009 | 370768 |
MEM | 121155 | 82198 |
UX | 103736 | 76955 |
A12Z Bionic → M1になることでトータルで1.4倍、CPUが1.6倍、GPUが1.5倍、MEMが1.5倍も性能が向上し、タブレットとは思えないくらい高性能なマシンとなってしまいました。
とんでもない力を手に入れてしまったiPad Pro 12.9インチ(第5世代)ですが、従来のA12Z Bionicを搭載しているモデルも快適に使うことができたので、ブラウジングやTwitterくらいでは性能差を感じないのでは?と思ってましたが、そんなことなかったです。
多くのアプリにおいて起動速度がさらに高速化しサクサク動作するようになっています。
アプリを起動するとき、画面の表示が切り替わるときなど全ての動作においてM1チップを搭載しているiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の方が素早く表示させることができるので、とにかく快適に操作することができます。
システム全体で1.4倍も性能が向上していることもあり、その差をある程度感じることができるのかもしれません。
ただ、従来モデルのA12Z Bionicを搭載しているiPad Proが遅いというわけではなく、M1チップのiPad Proが異次元の速度を手に入れてしまった…といったところでしょうか。
illustratorの動作速度がめちゃ向上した
iPadでillustratorを使って商業デザインをする…ってことはないとは思いますが、少し前にiPadでもillustratorが使えるようになってMacで製作したデータを起動することができるようになりました。
こちらは500MBほどのMacで製作したillustratorデータを起動しスクロールしたものですが、A12Z BionicのiPad Proだと動作がモタついてスクロールが追いついてきません。
M1のiPad Proならそれなりに動作しているのが分かります。CPU、GPUの性能が大きく向上しメインメモリが6GB → 8GBになった恩恵はかなりあるようで、今後はMacと同じような作業もiPad Proでできるようになっていく可能性はあるのかもしれませんね。
動画編集の書き出し速度について
では、高性能なM1チップの恩恵は動画編集でも受けることができるのか?
負荷のかかる作業でM1チップの性能を発揮することができます。例えば、LumaFusionによる動画編集中の作業はM1チップを搭載しているiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の方が快適に動作しているように感じます。
従来モデルでも動作が遅くなることはあまりないのですが、4K動画を編集しているときにたまにモタつきが出てくることがありますが、Mチップを搭載することでその頻度が少なくなっているように感じます。
ただし、動画の書き出し速度はほとんど変わりないです。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
SoC | M1 | A12Z Bionic |
メモリ | 8GB | 6GB |
4K動画(10分) | 7分20秒 | 7分25秒 |
6分ほどの4K60fpsの動画データを同じように書き出しをしてみたところ、A12Z BionicのiPad Pro 12.9インチ(第4世代)は7分25秒だったところ、M1チップのiPad Pro 12.9インチ(第5世代)は7分20秒と5秒しか書き出し速度が高速化できていなかったです。
これは、かなり意外ですね。M1チップの性能は向上してもソフトウェアでエンコードしている影響なのか書き出し速度はほとんど変わりないという結果になってしまうのかもしれません。
USB 4 / Thunderboltに対応
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021)は従来モデルと同じようにUSB-Cポートを搭載しています。
規格はスペックアップしており、USB 3.1(Gen2)→ USB 4、さらにThunderboltにも対応し最大40Gbpsの高速通信ができるようになりました。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
ポート | USB-C | USB-C |
対応規格 | USB 4 / Thunderbolt | USB 3.1 Gen2 |
通信速度 | 最大40Gbps | 最大10Gbps |
画面出力 | 最大6K解像度 | 最大4K解像度 |
これは、M1チップがThunderboltコントローラーを内蔵しているためiPadシリーズではじめてThunderboltにも対応したということになります。通信性能が10Gbps → 40Gbpsに向上しただけでなく最大6Kの画面出力ができるようになっています。
SDカード → 内蔵SSDの転送速度
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はデータ転送速度が10Gbps → 40Gbpsと大幅に高速化しています。もちろん、ケーブルや周辺機器が対応している必要はありますが、トータルで見てデータ転送速度が向上しているはずです。
ということで、動画編集を想定し撮影した動画データをUHS-Ⅱ対応のSDカード → UHS-Ⅱ SDカードリーダー → iPad Pro 12.9インチ(第5世代)で接続して4GBの動画データをどれくらいの時間で保存できるか計測してみました。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
USB-C | USB 4 / Thunderbolt | USB 3.1 Gen2 |
SanDisk UHS-Ⅱ | 約21秒 | 約26秒 |
iPad Pro 12.9(第4世代)は26秒かかったのに対して、iPad Pro 12.9(第5世代)は
動画編集をするときはSDカードにあるデータをiPad Proの内蔵SSDに保存して作業をすることになりますが、データを移動させる時間が短くなっていたら嬉しいですよね。
内蔵SSD → 外付けSSDの転送速度
本体ストレージに保存していた動画データを外付けSSDに移動させて保存することもあろうかと思います。どれくらいの時間でデータ移動できるか試してみました。通常のSSDとNVME M.2の高速SSDで比較しています。
モデル | iPad Pro 12.9(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9(第4世代・2020) |
---|---|---|
SoC | M1 | A12Z Bionic |
SanDisk Extreme E60 | 約1分26秒 | 約2分03秒 |
NVMe M.2 SSD | 約19秒 | 約24秒 |
一般的なSSDだと5GBのデータを移動するのに2分ほど時間がかかるのに対してNVME M.2 SSDだと30秒ほどと大きく時間短縮が図られていることに驚きですが、iPad Pro 12.9(第4世代)は24秒なのに対してiPad Pro 12.9(第5世代)は19秒でデータを転送することができます。
大きくデータ転送速度が向上しているわけではないですが、USB 4 /Thunderboltにしっかり対応した周辺機器を接続することで、データの転送速度は従来のモデルよりも高速化してくるのは間違いなさそうです。
バッテリー駆動時間、電池持ち
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は筐体サイズに厚みを手に入れただけでなくバッテリー容量が36.71Wh → 40.88Whと増えています。
ただ、公式のバッテリー駆動時間は最大10時間と従来モデルと同じとなっているのでミニLEDを採用したことで意外と電力を消費するようになったのかもしれません。それをバッテリー容量でカバーしているのかもしれません。
実際にどれくらいの電池持ちなのかiPad Pro 12.9インチ(第5世代)とiPad Pro 12.9インチ(第4世代)で比較をしてみました。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9インチ(第4世代・2020) | |
バッテリー容量 | 40.88Wh | 36.71Wh |
PUBGモバイル30分プレイ | 69% → 60%(9%消費) | 70% → 55%(15%消費) |
LumaFusion動画書き出し(4K10分) | 60% → 58%(2%消費) | 55% → 52%(4%消費) |
YouTube 60分視聴 | 58% → 46%(12%消費) | 52% → 42%(10%消費) |
執筆作業(Safari)120分 | 75% → 58%(17%消費) | – |
使うアプリによって差がありますが、M1チップのiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の方が電池持ちはいいという結果となりました。とくにゲーム時の電池の減りはiPad Pro 12.9インチ(第4世代)はかなり速くなっております。
端末自体が購入から1年経過していることもありバッテリーの劣化は多少はあるのかもしれませんが、それでも9%と15%の差はなかなかのものです。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はM1チップを搭載したことでグラフィック性能が1.5倍も向上していますし、製造プロセスが7nm → 5nmと微細化していることが電力効率向上に繋がっているのかもしれません。
A12Z Bionicもかなり高性能なチップですがベースとなっているのは2世代前のA12 Bionicなので2年の技術の差はとても大きいということなのでしょう。
ただし、YouTubeだけはiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の方が電池の減りが速くなっておりました。謎です。
4スピーカーシステムの音質
iPad Pro 12.9(第5世代)は従来モデルと同じように4スピーカーオーディオを搭載し縦持ち、横持ちともに向きを判別して自動的にL-Rチャンネルのステレオサウンドで音楽を楽しむことができます。
この仕組みはiPad Pro 12.9(第3/4世代)と全く同じで下左右が低中音域、上左右が高音域の音が鳴るように自動調整した4スピーカーオーディオとなっています。そんな中で、iPad Pro 12.9(第5世代)はスピーカー部分が新しくなって音質が向上しています。
スピーカーの穴が大きくなって数が少なくなっていますがスピーカーユニットの改良が行われているのでしょう。音量を上げた時の筐体の共振もiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の方が抑えられています。
iPad Pro 12.9インチ(第4世代)の4スピーカーも音質は良かったですが音にまとまりがないざわついた音でした。そんな中で、iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は音のまとまりがあり一つ一つの音がしっかり鳴っているように聞こえます。
また、ボーカル域の音質も向上し聴きやすく、音楽、映画、音声といった多岐にわたるコンテンツでいい音を楽しめます。もちろん、空間オーディオにも対応し内蔵スピーカーでも立体感のあるサウンドを楽しむことができます。
カメラのスペックと画質
広角 +超広角のデュアルカメラを搭載
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は広角 + 超広角のデュアルカメラ、被写体の距離を計測できるLiDARスキャナを搭載しています。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代・2021) | iPad Pro 12.9インチ(第4世代・2020) | |
リアカメラ | 広角:1200万画素・F/1.8 超広角:1000万画素・F/2.4 LiDARスキャナ |
|
フロントカメラ | 1200万画素超広角・F/2.4・センターフレームに対応、TrueDepth | 700万画素超広角・F/2.2、TrueDepth |
高画質技術 | スマートHDR3 | スマートHDR |
リアカメラは従来モデルと同じですが、SoCがA12Z BionicからA14 BionicベースのM1チップになってISP(画像処理プロセッサ)も進化しスマートHDR3による白トビを抑えた撮影ができます。
カメラの画質は向上している
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)と(第4世代)のリアカメラで画質が違うのかを比較してみました。
まずは1200万画素・F/1.8の広角カメラです。
パッと見た感じは同じですね。色合いもほぼ同じとなっています。
部分拡大をしてみるとiPad Pro 12.9インチ(第5世代)のカメラは全体的に輪郭が強調された画質になっています。スマートHDR3のおかげか色合いも鮮やかですね。
LiDARスキャナを搭載し被写体の距離を正確に計測できて、高性能なM1チップとの組み合わせで高精度なAR機能も使えて、身近なところではビデオ会議で背景を変える時の精度が向上するメリットがあります。
超広角カメラで比較してみましたが、iPad Pro 12.9(第5世代)はM1チップのSiPのおかげで同じレンズでありながらも画質が向上しています。
柱の部分の質感はiPad Pro 12.9(第4世代)はソフトなのに対して、iPad Pro 12.9(第5世代)はしっかり描画できていますよね。また、レンズ補正も入るようになったので歪みが抑えられた自然な写真に仕上げることができるようになりました。
iPad Pro 12.9(第4世代)のインカメラは700万画素の広角カメラを搭載していましたが、iPad Pro 12.9(第5世代)は1200万画素の超広角カメラを搭載し自撮りの写真、動画を顔のズームアップではなく少し引いた感じで撮影できるようになりました。
もちろん、今まで通りの広角画角での撮影も超広角カメラからクロップで撮影ができるようになっています。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はM1チップのSiPとスマートHDR3の恩恵により全体的明るく背景の白トビを抑えながらも顔を明るく撮影できるようになっているため、自撮りをしたりビデオ通話はかなりしやすくなるんじゃないかなと感じます。
なお、リアカメラに搭載していLiDARスキャナは被写体の距離を計測できるセンサーとなっておりiPad Pro 12.9インチ(第4世代)から搭載していました。ARのアプリを使うことが多いなら活用することはできるでしょう。
インカメラは超広角、センターフレームに対応
iPad Pro 12.9(第5世代)のインカメラの超広角カメラはただ広く写真を動画を撮影できるだけではなく、FaceTimeでセンターフレームという新しい機能も使うことができます。
センターフレームはビデオ通話中に顔がフレームにしっかりと収まるように自動的に追従してくれる機能となっています。
超広角カメラで全体を捉えつつソフトウェアでズームし左右に移動させつつ顔を追従してるようです。これは、ビデオ通話を使うときにかなり便利な機能ですね。ただし、アニ文字を使う場合はセンターフレームを動作させることができません。
なお、FaceTimeだけでなくzoomでもセンターフレームを使うことができます。
対応している周辺機器
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は以下の周辺機器に対応しています。
- Apple Pencil(第2世代)
- Smart Folio
- Smart Keyboard Folio
- Magic Keyboard
Smart Folioは本体と画面を守るためのカバー、Smart Keyboard Folioはカバー兼キーボードで外でキーボード入力をする作業がある時に使える周辺機器となっています。
Magic Keyboardは画面を浮かせてトラックパッドも使えるキーボードカバーとなので作業マシンとして使うことができます。
ただし、iPad Pro 12.9インチとMagic Keyboardの組み合わせは1.3kg以上と重量級となってしまうので、個人的にはMacBook Air(M1)を持ち出した方がいいようにも…。
手書きでノートを取ったり、イラストを描いたりするならApple Pencil(第2世代)を使うことができます。
Apple Pencilの書き心地は従来モデルと変わりありません。120HzのリフレッシュレートのProMotionテクノロジーに対応し追従性の高い書き心地を実現、トラックパッドを内蔵していないスマートキーボードと組み合わせでポインティングデバイスとしても使えます。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)端末価格
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の端末価格は14,000円アップと値上げの129,800円でしたが、2022年7月に円安の影響で159,800円となりました。
モデル | iPad Pro 12.9インチ(第5世代) | iPad Pro 12.9インチ(第4世代) |
---|---|---|
128GB | 129,800円 → 159,800円 | 115,280円 |
256GB | 141,800円 → 174,800円 | 127,380円 |
512GB | 165,800円 → 204,800円 | 151,580円 |
1TB | 213,800円 → 264,800円 | 175,780円 |
2TB | 261,800円 → 324,800円 | – |
1TB・2TBはメインメモリの容量が8GB → 16GBに増量となって価格が一気に高くなります。ほとんどの方は8GBのメインメモリがあれば十分快適にiPad Proを使えます。
4K 10bitの動画をiPad Pro 12.9インチを編集したいのなら1TBの容量も必然的に必要となるためメモリも16GBあった方いいよねってことで自動的にステップアップする感じになってるんでしょうね。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のスペック
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のスペックをまとめました。
ディスプレイ | 12.9インチ(2,388 × 1,668ピクセル) Liquid Retina XDRディスプレイ(液晶・ミニLEDバックライト) ProMotionテクノロジー(120Hz) 最大輝度:600 – 1000 – 1600ニト(HDR) 広色域(P3)、True Tone、フルラミネーションディスプレイ |
---|---|
SoC | M1チップ 8コアCPU(高性能コア4 + 高効率コア4) 8コアGPU Neural Engine(16コア) |
メインメモリ | 8GB/16GB(1・2TB SSDを搭載モデル) |
ストレージ | 128GB・256GB・512GB・1TB・2TB |
生体認証 | Face ID(顔認証) |
リアカメラ | 広角:1200万画素・ƒ/1.8 超広角:1000万画素・ƒ/2.4 深度:LiDARスキャナ スマートHDR 3、Live Photos、4K 60fps動画撮影、HDR 10撮影対応(最大30fps)、1080p 120/240fps スローモーション、ステレオ録音 |
インカメラ | 超広角:1200万画素・ƒ/2.4 TrueDepthカメラ、センターフレーム対応 |
オーディオ | 4スピーカーステレオスピーカー |
通信性能 | Wi-Fi 6(802.11ax)、Bluetooth 5.0、5G通信、eSIM対応(セルラーモデルのみ) |
バッテリー | 40.88Wh |
ポート | USB-C DisplayPort、Thunderbolt 3(最大40Gb/s)、USB 4(最大40Gb/s)、USB 3.1 Gen 2(最大10Gb/s) |
サイズと重量 | 214.9 × 280.6 × 6.4mm Wi-FIモデル:682g セルラーモデル:684g |
価格 | Wi-Fiモデル:129,800円〜 セルラーモデル:147,800円〜 |
発売日 | 2021年5月21日 |
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)レビュー・評価:まとめ
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のメリット
- 画面サイズが大きくて作業しやすい
- ミニLEDバックライトで画面が色鮮やかでキレイ
- M1チップによる高速化は意外と体感できる
- iPadOS 16でステージマネージャー対応
- 電池持ちも意外と向上している
- USBの通信速度が1.2倍ほど向上している
- 4スピーカーオーディオの音質が向上した
- 5G通信に対応している(セルラーモデル)
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はミニLEDバックライト、M1チップを搭載したハイエンドで大きいiPadです。画面サイズが大きいので映画を見たり、作業の効率を重視する方におすすめの端末です。
ミニLEDバックライトは確かに黒が引き締まるので4K HDRの動画、映画を見ることが多いなら恩恵があります。
M1チップにより意外と体感で分かるほど動作速度が向上していますし、iPadOS 16で新機能のステージマネージャー、外部モニターも使えるようになるのでより高度な使い方ができるようになります。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のデメリット
- 少しだけ厚く、重くなった
- ミニLEDバックライトの恩恵がいまいち?
- 指紋認証に対応していない
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はミニLEDバックライトを内蔵したLiquid Retina XDRディスプレイを搭載し筐体が厚く、重量も増えてしまいました。
Liquid Retina XDRディスプレイは画質がキレイで色鮮やかで素晴らしいディスプレイですが、筐体の肥大化と価格の高騰によるトレードオフになっていないのが気になるところ。
また、iPad Proは顔認証による画面ロック解除にしか対応していないのでマスクしているとパスコードを毎回入力する必要があり、Touch IDのデュアル生体認証に対応してほしいです。お願いします。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)どんな人におすすめか
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は12.9インチと大画面ディスプレイを搭載しパソコンの代わりとして…と言いたいところですが、それならMacBook Air(M2)やMacBook Pro 13インチ(M2)を買った方がいいかもしれません。
このサイズのiPadはタブレットとしては少し使いにくいので、やはりイラスト制作に使うタブレットとして使うのが適しているように感じます。
もちろん、電子書籍を読むためのタブレットとしても使えますし、映画を大画面で楽しむための端末としてもおすすめ。ミニLEDバックライトでHDR動画をキレイに表現できるのでエンターテイメントを楽しむタブレットとしてもおすすめです。
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