2024年10月15日の夜。突如発表されたiPad mini(A17 Pro)。

先代のiPad mini(第6世代)の後継機種で第7世代のiPad miniとなっており、iPhone 15 Proに搭載していたA17 Proを搭載して今後のアップデートで対応するApple Intelligenceが使える小型モデルとなっています。

デザイン、サイズは同じなのでパッと見た感じ、何が進化したのか?全然変わってねー、って思ってしまいましたが、細かいところでしっかり進化してるようです。

今回のiPad miniの正式名称はiPad mini(A17 Pro)ですが、記事内ではiPad mini 7またはiPad mini(第7世代)とも表記しております。

iPad mini 7 進化したところ

デザイン・サイズは同じ

iPad mini 7は8.3インチの液晶ディスプレイ(Liquid Retina)を搭載しており、本体デザインとサイズは先代のiPad mini 6と全く同じでフルディスプレイにシングルカメラを搭載したシンプルな端末です。

生体認証はトップボタン式Touch IDを搭載し指紋で画面ロック解除したり、パスワード管理、決済などの機能を使うことが可能で、今回のモデルもFace IDは非対応ですね。

iPad mini 7、iPad mini 6を並べても違いが分かりません。本体カラーが異なる程度ですね。

iPad mini 7 vs mini 6 本体カラー比較
モデル iPad mini 7 iPad mini 6
画面サイズ 8.3インチ
解像度 2,266 × 1,488ピクセル(326ppi)
パネル Liquid Retinaディスプレイ
最大500ニト
耐指紋性撥油コーティング
フルラミネーション
反射防止コーティング
オーディオ ステレオスピーカー(横向き)
マイク 2つ
生体認証 トップボタン式Touch ID
本体サイズ 195.4 × 134.8 × 6.3 mm
本体重量 Wi-Fi:293g
セルラー:297g

サイズ、重量も全く同じなのは珍しいかもしれませんね。

唯一、違いとなるのが背面に刻印されている製品名が「iPad」ではなく「iPad mini」となってるところ、本体カラーの違いで識別する形になりそうです。

A17 Proになって性能向上

iPad mini 7のSoC(システムオンチップ)はA17 Proを搭載して性能が大幅に向上しています。

A17 Pro
モデル iPad mini 7 iPad mini 6
SoC A17 Pro A15 Bionic
CPU 6コア 6コア
GPU 5コア 5コア
メモリ 8GB LPDDR5 4GB LPDDR4X
ストレージ 128 / 256 / 512 GB 64 / 128 / 256 GB
NE 35兆回/秒 15.8兆回/秒
その他 USB 10Gbps コントーラ
AV1デコーダー
ハードウェアレイトレーシング
トランジスタ数 190億個 150億個
プロセスルール 3nm TSMC 5nm TSMC

先代のiPad mini(第6世代)のA15 Bionicから3世代分の進化があります。公式発表によるとCPUは最大30%、GPUは最大25%ほど処理性能が向上してるそうです。

とくにA17 Proはハードウェアレイトレーシングに対応してるので3Dグラフィックを多用してるゲームに強くなっています。

メインメモリも4GBから8GBになって負荷のかかるアプリを同時に起動して使える余裕があります。メモリが8GBあるのは強いですよね。安心感が全然違います。

なお、iPhone 15 ProのA17 ProはGPUのコア数が6つなのに対して、iPad mini 7のA17 Proは5つとコア数が減っているので全く同じチップではないみたいです。

iPhone 15 Pro用のA17 Pro選別時に基準に満たない弾かれたチップをiPad mini 7に再利用してるのかもしれません。

SoCの製造はどうしても歩留まりが発生し基準に満たないチップが出てきます。iPhone 15 Proでは使えないSoCをiPad mini 7に使ってコストダウンして価格を上げることなく性能向上したのは賢いですし凄いですね。

Apple Intelligenceに対応(予定)

iPad mini 7はAppleのAI機能(Apple Intelligence)にアップデートで対応予定です。

Apple Intelligenceはオフラインで使えるようにセキュリティーの高いAIシステムで処理性能の高いSoCが要求されますが、A17 Pro + 8GBメモリでそれを満たすというわけです。

作文ツールなら文章の構成や要約をワンタップで実行可能で、画像マジックワンドでラフスケッチをちゃんとした画像に変換してくれたり、新しい画像の生成が可能となります。

これをインターネットに接続せずローカルで実行できるのがスゴイ。実際の精度はどれほどなのかまだ判断できないですが、今後の新しい機能もiPad mini 7ならしっかり使うことができます。

Apple Pencil Proに対応

iPad mini 7はApple Pencil Proに対応しており、上位モデルとなるiPad Pro(M4)iPad Air(M2)と同じ操作体験が可能です。

ホバー機能だけでなく、Apple Pencil Proに搭載してるタッチセンサーを強く押してパレットを表示して簡単にツール変更ができるスクイーズ機能、ペンを回転させて線の太さを調整できるバレルロールなども使えます。

カメラの処理性能が向上

iPad mini 7のカメラスペックは先代のiPad mini 6と同じです。

モデル iPad mini 7 iPad mini 6
リアカメラ 広角 12MP / F1.8
インカメラ 超広角 12MP / F2.4
画像処理 スマートHDR 4 スマートHDR 3
動画性能 4K(60/30/24fps)、FHD(60/30/24fps)

ただ、SoCがA17 ProになったことでスマートHDR4に対応して画像処理が最新のものにアップデートされています。同じハードウェアですが画質は少し良くなってるかも?

USB-C(10Gbps)に対応

iPad mini 7はUSB-Cポートを搭載していますが、USB 3.2 Gen 2(10Gbps)の高速通信に対応しました。

モデル iPad mini 7 iPad mini 6
USB-C USB 3.2 Gen 2(10Gbps) USB 3.2 Gen 1(5Gbps)
外部モニター 最大4K(60Hz) 最大4K(30Hz)

先代のiPad mini 6も5Gbpsの通信に対応していたので外付けSSDもしっかり使えてましたが、iPad mini 7は10Gbpsの高速通信に対応し大容量データが扱いやすくなりそうです。

Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応

通信規格もアップグレードしており、iPad mini 7はWI-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。

モデル iPad mini 7 iPad mini 6
Wi-Fi Wi-Fi 6E(802.11ax) Wi-Fi 6(802.11ax)
Bluetooth 5.3 5.0
5G(セルラーモデル) 5G NR(バンドn1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n14、n20、n25、n26、n28、n29、n30、n38、n40、n41、n48、n66、n70、n71、n75、n76、n77、n78、n79) 5G NR(バンドn1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n20、n25、n28、n29、n30、n38、n40、n41、n48、n66、n71、n77、n78、n79)
4G(セルラーモデル) FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、32、66、71)
TD-LTE(バンド34、38、39、40、41、42、48)
FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、32、66、71)
TD-LTE(バンド34、38、39、40、41、42、46、48)

Wi-Fi 6Eに対応したことで、よりスムーズなデータ通信が可能になりますが最新のWi-Fi 7に対応しなかったのは少し残念ですね。

ストレージ容量が増えて値下げ

iPad mini 7のストレージは128GB、256GB、512GBの3つの容量から選べて、最小容量が64GBから増えながらも価格が値下げされたのはいいですね。

モデル iPad mini 7 iPad mini 6
通信 Wi-Fi セルラー Wi-Fi セルラー
64GB 84,800円 110,800円
128GB 78,800円 104,800円
256GB 94,800円 120,800円 110,800円 136,800円
512GB 130,800円 156,800円

先代のiPad mini 6から6,000円の値下げとなっています。米国価格は499ドル据え置きなので為替が円高に少し傾いたことによる値下げでしょう。256GBも16,000円の値下げなので大きいですよね。嬉しい。

iPad mini 7 懸念点

Apple Pencil(第2世代)非対応に

iPad mini 7は最新のApple Pencil Proに対応した代償により、先代のmini 6で使えていたApple Pencil(第2世代)非対応となりました。

対応してるのはApple Pencil Pro、Apple Pencil(USB-C)です。

iPad mini 6からmini7に乗り換えるだけで新しいApple Pencil Proが必要となるので、本体価格が値下げされたとはいえ実質負担額が増えてしまうのは如何なものでしょう。

物理SIMカード非対応に

iPad mini 7にもセルラーモデルがありますが、今作はnanoSIM(物理SIM)が廃止となってeSIMの未対応となっています。

物理SIMカードが廃止になったことで気軽にSIMカードの入れ替えが出来なくなる可能性があります。ただ、慣れている人なら通信会社のマイページからササっと切り替えできるので良いのかな…?

でも、やっぱり物理SIMカードの方が手軽さがありますよね。セルラーモデルを購入しようか考えてる人は注意しましょう。

大きな進化はあまりない

iPad mini 7はA17 Pro、8GBメモリ、128GBのストレージを搭載することで内部スペックは大きく進化します。これにより、Apple Intelligenceにも対応します。

とはいえ、先代のiPad mini 6からの進化は「処理性能のアップ」、「Apple Pencil Pro対応」くらいなんですよね。

期待していた120Hzリフレッシュレートも非対応、Wi-Fi 7にも非対応です。バッテリー容量も増えてないので電池持ち向上もないでしょう。むしろ、処理性能が上がることで実際のバッテリーライフが短くなるかもしれません。

A17 Proによる発熱はどうか?

A17 Proは処理性能が大きく向上した3nmプロセスSoCでiPhone 15 Proにも搭載していSoCで、ゲーム体験は驚くほど向上しますが、このA17 Proは曲者というか発熱しやすいので懸念材料にもなり得ます。

ただ、iPhone 15 Pro(A17 Pro)のGPUコアは6コアだったのがiPad mini 7(A17 Pro)は5コアと少なく発熱が少ないでしょうし、端末サイズがiPhoneより大きく放熱性能が高くそこまで問題にならないかもしれません。

ここは実機で検証してみたいところですね。

セリースクロール問題はどうなる?

先代のiPad mini 6は縦持ち時に画面をスクロールすると画面が歪んでスクロールする現象が見られましたが、今回のiPad mini 7で改善してるかどうか気になるところですね。

おそらく、ディスプレイパネル自体は同じだと思います。ただ、A17 ProにはProディスプレイエンジンを内蔵しています。(A15 Bionicにもディスプレイエンジンを搭載してるが世代を重ねるごとに刷新されてる)

120Hzは非対応で60Hzに制限されてるとはいえ専用の新しいProディスプレイエンジンを使ってゼリースクロールを改善してる可能性はありそうじゃないですか?

あれだけ話題になったゼリースクロール。ここでしっかり改善してないとヤバいでしょう。大丈夫であると信じたいです。

iPad mini 7は買いなのか?

3年ぶりにアップデートしたiPad mini(A17 Pro)。買いかどうか。難しいところですね。

僕自身はiPad mini(第6世代)を毎日のように動画視聴用の端末として使っています。ただ、動画視聴ならA15 Bionic + 64GBストレージのスペックで十分なんですよね。

なので、買いました。

A17 Proになることで処理性能が向上し、メモリが8GBあるので安定性は抜群になるはずです。ゲームマシンとしてiPad mini 7に乗り換えるのもアリではないでしょうか。

iPad mini 7 おすすめな人は
  • iPad miniがずっと欲しかった
  • 負荷の高いゲームを快適にプレイしたい
  • Apple Pencil Proを使いたい
  • iPad mini 5以前のモデルから乗り換え
  • Apple Intelligenceを使いたい

また、iPad miniはしばらく新型が出なかったので買うタイミングを見失ってた人は多かったと思うんですよね。なので、ずっとiPad miniが欲しかった人は迷わず買いましょう。

iPhone 15 Proとほぼ同じ性能の端末が78,800円で購入できるのはバグだと思います。

また、最新のiPhone 16を持ってなくてApple Intelligenceを使いたい!ってなるならiPad mini(A17 Pro)を購入するのは良いかもしれません。

なお、高負荷なゲームしないなら先代のiPad mini 6でいいです。性能は十分高いですし普通に使えます。

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