2020年は5G通信のサービスが各社でスタートしたことによってiPhoneをはじめ数多くのスマートフォンが5Gに対応しましたが。
モバイル通信をするスマートフォンは世代を重ねるごとに通信チップがアップデートされて同じ4G LTEでも通信速度が大きく向上しています。つまり、同じ契約をしていても端末が異なればモバイル通信の速度が違うということです。
データ通信速度はあまり注目されませんがユーザーとしてはより同じ契約で高速なデータ通信ができるのはメリットとなります。この記事ではiPhoneの世代によってどれくらいLTEの通信速度が異なるのか、キャリアによって通信速度の違いを比較してみました。
この記事の目次
LTEモデムチップの違いで通信速度はどこまで違う?
iPhoneのLTE Category 通信速度
ひとことで4G LTEといっても世代によって通信速度が大きく異なります。
たとえば、iPhone 6のLTE速度はCat.4に分類されるLTEモデムチップが採用されており最大で下り150Mbps・上り50Mbpsの通信が可能となっています。
iPhone 6sではCA(キャリアグリケーション)に対応したCat.6のLTEモデムチップが採用し下り300Mbps・上り50Mbpsとなり、iPhone 7、iPhone 8、iPhone 11 Proと世代を重ねるだけで通信速度が速くなっています。
カテゴリー | 受信速度 | 送信速度 | 対応機種 |
---|---|---|---|
Cat.3 | 100Mbps | 50Mbps | iPhone 5/5c/5s |
Cat.4 | 150Mbps | 50Mbps | iPhone 6/6 Plus/SE |
Cat.5 | 300Mbps | 75Mbps | – |
Cat.6 | 300Mbps | 50Mbps | iPhone 6s/6s Plus |
Cat.9 | 450Mbps | 50Mbps | iPhone 7/7 Plus |
Cat.15 | 800Mbps | 150Mbps | iPhone 8/8 Plus/X |
Cat.16 | 1Gbps | 150Mbps | iPhone XS/XS Max/XR |
Cat.18 | 1.2Gbps | 220Mbps | iPhone 11 Pro/11 Pro Max/11/12 Pro/12 Pro Max/12/12 mini |
5G NR | 3.5Gbps | ? | iPhone 12 Pro/12 Pro Max/12/12 mini |
そして、現行のiPhone 12・12 ProとiPhone 11はCat.18で下りが1.2Gbps、上りが220Mbpsという超高速通信ができる4G LTEに対応しています。iPhone 12シリーズはさらに5G NR(Sub-6)に対応して下りで最大3.5Gbpsの通信に対応しています。
5GはSub-6とmmWAVEの二つの規格がありますが、現在対応しているのは3.5GHz帯を利用しているSub-6のみとなっています。
ただし、これらの性能をフルに活用するにはNTTドコモ、au、ソフトバンクの基地局の性能に左右されるところでもあるので、必ずしも全てのユーザーが恩恵を受けるというわけではありません。
各キャリアの通信速度
各キャリアの対応具合についてまとめます。
2015年8月
キャリア | LTE | 周波数帯 | 最大速度 受信/送信 |
---|---|---|---|
NTTドコモ | FDD | 800MHz(B19) 1.7GHz(B3) 1.5GHz(B21) 2.0GHz(B1) |
225/50Mbps |
KDDI(au) | FDD | 800MHz(B18) 2.1GHz(B1) |
225/50Mbps |
KDDI(UQ) | TDD | 2.5GHz(B41) 2.5GHz(B41) |
220/10Mbps |
ソフトバンク 4G LTE |
FDD | 900MHz(B8) 2.1MHz(B1) (1.7GHz B3) |
187.5/37.5Mbps (225Mbps/50Mbps) |
ソフトバンク 4G (WCP) |
TDD | 2.5GHz(B41) 2.5GHz(B41) |
165/10 Mbps |
場所によって225Mbpsの通信に対応していないところがまだまだ多いとは思いますが、iPhone 6ではLTEの最大限の力を発揮することができません。
2018年5月
2018年5月の各キャリアの通信速度は以下の通りです。
キャリア | LTE | 周波数帯 | 最大速度 受信/送信 |
---|---|---|---|
NTTドコモ | FDD | 700MHz(B28) 800MHz(B19) 2.0GHz(B1) 1.5GHz(B21) |
150/50Mbps |
1.7GHz(B3) | 200/50Mbps | ||
TDD | 3.5GHz(B42) | 294/50Mbps | |
CA | 3.5GHz + 3.5GHz +1.7GHz ×2 | 988/75Mbps | |
3.5GHz +1.7GHz + 2GHz +800MHz | 794/75Mbps | ||
3.5GHz + 3.5GHz +1.7GHz + 2GHz | 938/75Mbps | ||
KDDI | FDD | 800MHz(B18) | 150/37.5Mbps |
2.1GHz(B1) | 400/70Mbps | ||
TDD | UQ:2.5GHz(B41) au:3.5GHz(B42) |
558/10Mbps | |
CA | 2.1GHz + 3.5GHz | 958/112.5Mbps | |
2.5GHz + 3.5GHz | 837/112.5Mbps | ||
ソフトバンク | FDD | 900MHz(B8) | 350/37.5Mbps |
2.1GHz(B1) | 112.5/37.5Mbps | ||
1.7GHz(B3) | 112.5/37.5Mbps | ||
TDD | 2.5GHz(B41) 3.5GHz(B42) |
110/13 Mbps | |
CA | 1.7GHz + 2.5GHz + 3.5GHz | 774/37.5 Mbps |
各社ともFDDとTDDをキャリアアグリゲーション(CA)して通信の高速化を行なっていますが、あくまで理論値であり実測値ではないことを頭に入れておきましょう。なお、スマートフォンの機種によっても対応電波の関係で通信速度が異なります。
2021年1月
2021年1月現在の各キャリアの通信速度は以下の通りです。
キャリア | LTE | 周波数帯 | 最大速度 受信/送信 |
---|---|---|---|
NTTドコモ | 4G | 700MHz(B28) 800MHz(B19) 1.5GHz(B21) 1.7GHz(B3) 2.0GHz(B1) 3.5GHz(B42) |
1.7Gbps/131.3Mbps |
5G | 3.7GHz(n77/78) 4.5GHz(n79) 28GHz(n257) |
4.2Gbps/480Mbps | |
KDDI | 4G | 700MHz(B28) 800MHz(B18/26) 1.5GHz(B11) 1.7GHz(B3) 2.1GHz(B1) UQ:2.5GHz(B41) 3.5GHz(B42) |
1.2Gbps/112.5Mbps |
5G | 3.7GHz(n77) 4.0GHz(n77) |
4.1Gbps/183Mbps | |
ソフトバンク | 4G | 700MHz(B28) 900MHz(B8) 1.7GHz(B3) 2.1GHz(B1) 1.5GHz(B11) WCP:2.5GHz(B41) 3.5GHz(B42) |
838Mbps/50Mbps |
5G | 3.9GHz(n77) | 2.0Gbps/103Mbps |
ドコモがもっとも通信速度が速くなっているのが分かります。
ただし、あくまで理論値なのでこの速度が出るわけではありません。同時接続ユーザー数が多いと速度が落ちますし、周囲の環境にもよって速度が異なる場合があります。
ドコモの場合は最大速度は速いですが、契約者数も多いのでそれにあった設備投資となっているはずなので、どこが最も速度が速いかは場所や時間によっても大きく異なってくるかと思います。
5Gと4Gの通信速度の違いを比較
iPhone 12・12 Proは5G(Sub-6)に対応していますが、4G LTEの通信速度はiPhone 11・11 Proと同じです。ということで、5G(Sub-6)と4G LTEで通信速度がどれほど変わってくるのかドコモの回線を使って比較してみました。
ここではiPhone 12 Proを使って5Gと4Gの通信速度を計測してみました。
受信 送信 |
5G(Sub-6) | 4G LTE |
---|---|---|
1回目 | 318 Mbps 87.6 Mbps |
112Mbps 11Mbps |
2回目 | 342 Mbps 83 Mbps |
87Mbps 9Mbps |
3回目 | 238 Mbps 53 Mbps |
84Mbps 12Mbps |
4回目 | 347 Mbps 76 Mbps |
118Mbps 14Mbps |
5回目 | 314 Mbps 79 Mbps |
101Mbps 15Mbps |
4G通信だと下り100Mbps、上りで10Mbpsとなっていましたが、5G通信にすることで下りは300Mbpsと3倍速く、上りは80Mbpsと8倍も通信速度が高速化しています。
そもそも、4G LTEも2021年現在はかなり高速化してきているので正直なところ体感で差を感じることはできないのですが、映画など大容量のデータをダウンロードしたり、OSのアップデート時に違いを感じることができるかもしれません。
ちなみに、iPhone 8(Cat15 800Mbps)、iPhone 7(Cat.9 450Mbps)、iPhone 6s(Cat.6 300Mbps)の3つのiPhoneでドコモのLTE通信のスピードをチェックしてみました。
受信速度 | 送信速度 | PING | |
iPhone 8 | 142.87Mbps | 13.73 Mbps | 71ms |
iPhone 7 | 45.71Mbps | 12.69Mbp | 65ms |
iPhone 6s | 71.65Mbps | 7.96Mbps | 71ms |
iPhone 8の受信速度が142.87MbpsとiPhone 7の45.71Mbpsの3倍以上も速い速度になっていることが確認できました。なぜか、iPhone 7はiPhone 6sよりも遅い速度になってしまっていましが個体誤差なのかもしれません。
新しいiPhoneで通信速度が速くなる
基本的に最新モデルのiPhoneを選ぶことでモバイル通信だけでなくWi-Fiの通信速度も向上します。
なので、5Gに対応しているiPhone 12 miniやiPhone 12 Pro Maxなどに乗り換えをしなくても、古い端末からiPhone 11やiPhone SE(第2世代)に機種変更したとしてもデータ通信速度が速くなります。
データ通信の速度が速くなることでブラウザやTwitterなどの動作が速くなるだけでなく、動画などの大容量データのダウンロードも速くなるので快適にiPhoneを使えるようになります。
2021年3月より2,480円〜2,980円で20GBのデータ通信ができるプランが各社からスタートします。
今まで以上にモバイル通信がしやすい環境が整うことになるので最新モデルまでとはいわなくても、1世代前のiPhone 11やiPhone SE(第2世代)を選ぶのも良い選択肢になりそうです。
コメントをどうぞ!