FUJIFILM X-T10は2015年に発売したミラーレス一眼カメラです。
イメージセンサーは1,630万画素の富士フイルムが独自開発をしたX-Trans CMOS II(APS-C)を搭載したカメラとなっていて、2020年になろうとしている今でもまだまだ現役で使うことができるミラーレスカメラ。
X-T10を購入したのは2015年ですが、2019年12月に大幅に記事の内容を修正してX-T10のスペック・画質・使いやすさについてレビューしていきたいと思います。
久しぶりにX-T10を触ってみて感じたのは風景を撮るスナップ写真なら旧型のX-T10でも大丈夫。まだまだ使うことができると感じました。
この記事の目次
FUJIFILM X-T10の特徴
FUJIFILMのX-T10は上位モデルのX-T1の性能を引き継いだコンパクトなミラーレス一眼カメラとなっていて、肝となるイメージセンサーはX-T1と全く同じセンサーを搭載しているので同じ感じの写真を撮影することができます。
- レンズ:Xマウント
- イメージセンサー:X-Trans CMOS IIセンサー(APS-C)
- 画素数:1,630万画素
- EVF:0.39インチ 有機ELファインダー(約236万ドット)
- 液晶:3インチチルト(約92万ドット)
- 連写性能:約8.0コマ/秒
- ISO感度:ISO200~6400(拡張51200まで)
- フィルムシミュレーションを搭載
- SDカード:UHS-Ⅰに対応
- 充電式バッテリー:NP-W126
- 撮影可能枚数:約350枚
- サイズ:118.4 × 82.8 × 40.8mm
- 重量:約381g(バッテリー、メモリーカード含む)
※詳しいスペックは富士フイルムの公式サイトをご覧ください。
スペックがX-T1と同じなら本体サイズが小さいX-T10の方が良いのでは?って思ってしまいがちですが、大きめのレンズを使うことが多い場合はぐX-T1の方がグリップが大きくカメラをきちんと構えることができます。
また、X-T1はISO感度をダイヤル設定できますが、X-T10はできません。その代わりにモード設定のダイヤル、AUTOモードのスイッチがあるなどオートモードに特化した操作体系になっているのが特徴となっています。
つまり、X-T10は気軽にカメラを持ち出して撮影できるように配慮されているということですね。標準ズームレンズや小さめの単焦点レンズを装着して気軽に使うには適したカメラと言って良いでしょう。
FUJIFILM X-T10 レビュー
カメラの価格
FUJIFILM X-T10のレンズキットはXF18-55mmF2.8-4 R LM OISが付属しています。
最新のX-T30のレンズキットは低価格モデルのX-A5やX-A7のレンズキットと同じXC15-45mmF3.5-5.6 OISとなってます。画質はXCシリーズのレンズよりもXFシリーズのレンズの方が上なので、XF18-55mmのレンズキットがあるX-T10は意外とお買い得となっています。
- XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS:約51,000円
- X-T10 ボディのみ:約46,000円
- X-T10 + XF18-55mm レンズキット :約85,000円
X-T20 + XF18-55mmのレンズキットは約98,000円、X-T30 + XF18-55mmのレンズキットは約156,000円、X-T30 + XC15-45mmのレンズキットは約107,000円なのでいかにX-T10が安くなっているか分かるのではないでしょうか。
本体デザイン
FUJIFILM X-T10はX-T1をベースにサイズを小型化したカメラとなっていて、クラシカルな雰囲気のある一眼レフカメラを彷彿とさせるデザインとなっています。
本体カラーはブラックとシルバーの2カラーから選ぶことができますが、今回はブラックカラーを購入しました。
操作ダイヤル
X-T10の設定は基本的に本体上部にある操作ダイヤルからすることになります。
シャッター速度、露出補正、オートモードスイッチなどを右側に搭載しています。
シャッター間隔「S・CL・CH」の設定ができるモードダイヤルは左側に搭載しています。
カメラの前面左部分にAFのモードスイッチがあり「AF-S・AF-C・MF」に切り替えができるようになっています。
AF-Sはピントが一度合ったら固定しますが、AF-Cは被写体が動くのに合わせてリアルタイムでピントを合わせてくれるので便利な機能となっています。例えば、動き回る子どもをAF-Cに設定しておけばずっと追い続けてくれます。
しかし、X-T10はオートフォーカスの速度が現世代のX-T3・T30と比べると低速なのでAF-CモードはちょっとキツイかもしれないのでAF-Sで撮影するのが基本となるかもしれないです。
EVF(電子ビューファンダー)を搭載
X-T10は236万画素の電子ビューファンダー(EVF)を搭載しています。
アイセンサーを搭載しているので、EVFを覗きこむと液晶画面が消えて自動的にEVFモードに切り替わります。ファインダーの中はこんな感じに被写体が表示されていて、必要な情報もEVFから得ることができます。
X-T1は0.5インチのEVFなのに対してX-T10は0.39インチと少しだけ小さいEVFを搭載しているので、EVFの見やすさはX-T1の方が上です。しかし、X-T10でも十分に被写体を確認することができるので慣れれば特に問題はないのかなと思います。
チルト液晶を搭載
X-T10は3インチのチルト液晶を搭載していて画面を斜めに動かすことが可能となっています。
下から撮影する時にチルト液晶があると便利なので個人的にはバリアングル液晶を搭載しているCanon EOS Kiss MやEOS RPよりも使いやすい。
内蔵フラッシュを搭載
X-T1は内蔵フラッシュ非搭載ですが、X-T10はフラッシュを内蔵していてフラッシュレバーを引き上げることで…
フラッシュモードに切り替えることができます。
X-T10の内蔵フラッシュはシャッタースピードをうまく調整することで環境光を生かしながら雰囲気のある写真に仕上げることができるスローシンクロフラッシュにも対応しています。
ミラーレス一眼カメラで単焦点レンズを使っているときはフラッシュが必要になることはほぼほぼないですが、真っ暗闇の中での撮影だとフラッシュが役に立ちますよ。
外部ポート
カメラのサイド部分の蓋を開くとマイク端子、マイクロUSB端子などが搭載しています。動画を撮影する時にマイクを使いたい時に使うことになります。
NP-W126というバッテリーパックが付属しています。
SDカードを入れるところにバッテリーを入れることが可能となっています。
XF18-55mmF2.8-4 R OISを装着
付属のレンズ・XF18-55mmF2.8-4 R OISを装着したスタイルはこうなります。レンズ内手ぶれ補正に対応しているので手ブレの少ない写真を気軽に撮影することが可能です。
富士フイルムはフルサイズではなくAPS-Cサイズで一眼レフカメラを作るのには理由がありフルサイズセンサーが大きいのでレンズも大型化・高価になってしまう点を懸念してAPS-Cサイズのミラーレス一眼カメラの開発に舵を切っています。
APS-Cサイズだと物理的な問題で暗いところでのノイズ耐性が良くないなどの問題があったりしますが、そこをX-Trans CMOSセンサーという特殊センサーによってカバーするなどしています。
また、富士フイルムのXレンズは小型なのにとても画質がよく、ボケも十分得ることができるので、フルサイズのEOS RPと比較しても大差ない画質になっていると思います。
むしろ、個人的にはCanonのRFシステムよりもFUJIFILMのXシステムの方が好きですね。
また、富士フイルムはフルサイズよりもさらに大きさセンサーとなる中判サイズのGFXというカメラを開発していますが、一般向けとプロ向けの使い方をしっかり分離させることで画質に圧倒的な差を出すことができる…ということなのでしょう。
X-Trans CMOS Ⅱセンサー(APS-C)を搭載
富士フイルムは独自のイメージセンサーX-Trans CMOSセンサーをX-Tシリーズのミラーレス一眼カメラに採用していて、X-T10は第2世代のX-Trans CMOS Ⅱセンサーを搭載しています。センサーサイズはAPS-Cとなっています。
元々、富士フイルムはコンパクトデジカメの分野で「スーパーCCDハニカム」という独自センサーを開発していました。
通常の正方形のセンサーではなく八角形のハニカム構造をしたセンサーを使うことで通常のCCDに比べ2倍の有効画素数を得ることができるという優れたセンサーです。
時代はCCDからCMOSに移行したことから独自開発したイメージセンサーを搭載した機種は消えましたが、富士フイルムはこのような技術をもとにハイエンドカメラ向けにX-Trans CMOSを独自に開発したのです。
富士フイルム曰く、「フルサイズ一眼レフをも凌駕する 「最高画質」を実現した革新的センサー」なんだそうで、APS-Cでフルサイズも驚愕するってありえるのかと思ってしまいますよね。
X-Trans CMOSはフィルムメーカーらしく写真フィルムの粒子に着目し「周期性のない新しいカラーフィルター配列」と呼ばれる独自のカラー配列により。モレアの発生を抑えローパスフィルターを非搭載にすることに成功しています。
通常は2×2の4画素で1セットのところ、6×6の36画素で1セットと複雑な構造をしています。緑が多いのは人間の眼は最も感度が高く認識しやすい色だから何だとか。
FUJIFILM X-T10の画質
FUJIFILM X-T10 + XF18-55mmF2.8-4 R LM OISの組み合わせで作例をいくつか紹介したいと思います。
XF18-55mmF2.8-4 R LM OISはレンズ内手ぶれ補正機能を搭載しているので、暗いところでも手ブレを抑えつつ撮影することができます。なので、手持ちでも夜景を撮影しようと思えば可能です。
暗いところでの撮影もXF18-55mmF2.8-4との組み合わせなら問題なくすることができます。
単焦点レンズのXF35mmF1.4との組み合わせだともっと良い感じの写真が撮れるようになります。
やっぱり単焦点レンズってボケ味がとても柔らかくてキレイなんですよね。富士フイルムの単焦点レンズは小型サイズなのでX-T10との相性は抜群と言って良いでしょう。X-T10こそ単焦点レンズを使うべきかな。
X-T10はフィルムシミュレーションを搭載していて、PROVIA、Velvia、ASTIA、クラシッククローム、PRO Neg、セピア、モノクロで撮影ができます。
こちらはクラシッククロームでシックに撮影した写真です。
クラシッククロームで撮影をすると、ちょっとした路地裏も雰囲気のある写真に仕上がったりするので面白いですよね。
これらのフィルムシミュレーションは富士フイルムのフィルムをシミュレーションしたものとなっているので、実際のフィルムで撮影したのと同じような色合いを再現できるようになっています。
このようなリアルなフィルムの再現ができるのはフィルムを開発製造していた富士フイルムならではの機能といっていいでしょう。
FUJIFILM X-T10 レビューのまとめ
FUJIFILM X-T10は、1,630万画素のX-Tranc Ⅱ CMOSセンサー(APS-C)を搭載したコンパクトサイズのミラーレス一眼カメラです。2015年発売のモデルですが、まだまだ現役で使うことができるカメラとなっています。
- 1,630万画素で控えめの画素数でデータ量が少なくて済む
- 小型なのにAPS-Cの大型センサーを搭載している
- 小さいので単焦点レンズとの相性が良い
- フィルムシミュレーションを使って撮影ができる
- XF18-55mmF2.8-4のレンズキットが8万円くらいで買える
最新機種のX-T4・X-T3・X-T30のX-Tranc 4 CMOSセンサーは2,610万画素と高画素化していて写真のデータ量も肥大化しています。しかし、X-T10のX-Tranc Ⅱ CMOSセンサーは1,630万画素と控えめな画素数となっているので保存容量も抑えることができます。
また、現行モデルと同じようにフィルムシミュレーションを使って撮影もできるので意外とまだまだ活用できるカメラになっているのかなと思います。
- オートフォーカスの速度が少し遅い
- 4K動画撮影には非対応
4年前のカメラということもありオートフォーカスの速度は少し遅めとなっています。4K動画撮影にも非対応なので動画撮影をするのならちょっと厳しいところがあるでしょう。
X-Transセンサーとベイヤーセンサーの違いについてはこちらをどうぞ。
2017年にX-T2・T20がリリースしています。
X-T2・T20は2,400万画素のX-Trans Ⅲセンサーを搭載し像面位相差AFの高速化しX-T10をより使いやすくしたカメラとなっています。
また、ボディ内手ぶれ補正に対応したX-H1、最新のX-T3、X-T4も発売しています。少しでも使いやすいカメラをお求めならこちらをどうぞ。
ご購入おめでとうございます。素晴らしいカメラですよね。
センサーももちろんですが、レンズも昔から一級品を作ってます。現行ハッセルブラッドHシリーズのレンズもフジが作ってますからね。