Appleが2022年3月9日にMac StudioとStudio Displayを発表したと同時にiMac 27インチが製品ラインナップから姿を消しました。
まさかのiMac 27インチのディスコンに。そんなことがあっていいのか。なんで27インチのiMacがないのか。
…と思ったのですが、AppleとしてはMac StudioとStudio Displayの組み合わせがiMac 27インチの後継機種として提案しているのかもしれません。
今後、AppleシリコンのiMac 27インチが登場する可能性はゼロではないですが過去の例を見ても製品ラインナップから一度消えたモデルはしばらく復活することはないんですよね。
ということで、Mac StudioとStudio Displayがどんな製品なのか、Mac 27インチが出ない理由についても個人的な考えを書きました。
この記事の目次
Mac Studioの特徴
Mac Studioはデスクトップ型のMacでAppleシリコンのM1 Max、またはM1 Ultraを搭載したハイエンドモデルです。(現在はM2 Max、M2 Ultraにアップデートされてます。)
- Mac miniに似たデスクトップMac
- SoC:M1 Max、M1 Ultra
- RAM:32 / 64 / 128 GB
- ストレージ:512GB〜8TB
- 端末価格:249,800円〜
標準モデルのM1 Max(32GB / 512GB)は249,800円、M1 Ultra(64GB / 1TB)は499,800円でフルスペックのM1 Ultra(128GB / 8TB)にすると939,800円となります。
かなり高価ですがIntelのMac Proよりも性能が高いのでコストパフォーマンスはいいのかもしれません。
筐体デザインとサイズ
Mac Studioは、Mac miniのデザインのまま高さを嵩上げしたスタイルとなっています。
なかなか存在感のあるスタイルですが横幅と奥行きはMac miniと同じ19.7cmとMac miniの設置スペースのままにスペックアップしたMac Studioを置くことができます。
Mac Studio | Mac mini | |
サイズ | 19.7 × 19.7 × 9.5 cm | 19.7 × 19.7 × 3.6 cm |
重量 | 2.7 kg(M1 Max) 3.6 kg(M1 Ultra) |
1.2 kg |
縦置きにするとスペースが増えますがほぼ同じ大きさでM1 → M1 MaxまたはM1 Ultraの高性能なチップを搭載したMacで作業が可能です。
Mac StudioはハイエンドMacでポートもたくさんあって、正面側にUSB-Cポートを2つ、SDカードスロット(UHS-2対応)を搭載しポートへの接続性がMac miniよりも向上しています。
背面側にThunderbolt 4が4つ、10Gbイーサネット、USB-Aが2つ、HDMIポート、ハイインピーダンスのヘッドフォンに対応した3.5mmオーディオジャックを搭載しています。
Mac Studio | Mac mini | |
M1 Max | M1 Ultra | M1 |
Tb4 / USB-C × 4 | Tb4 / USB-C × 6 | Tb3 / USB-C × 2 |
USB-C × 2 | – | USB-A × 2 |
USB-A × 2 | – | |
HDMIポート | HDMIポート | |
SDXCカードスロット(UHS‑II) | – | |
10Gb Ethernet | ギガビットEthernet |
M1 UltraモデルならThunderbolt 4が最大6ポート搭載していてUSB-Aポート、HDMIポート、SDカードスロットもあるのでMac Studioだけであらゆる機器に接続が可能となっています。
まさにiMac 27インチの代わりとしては申し分ないくらいの拡張性といっていいでしょう。
M1 Max or M1 Ultraを搭載
Mac StudioはAppleシリコンのM1シリーズを搭載していて標準モデルはM1 Max、カスタマイズモデルでM1 Ultraを選ぶことができます。
M1チップをベースにM1 Pro → M1 Max → M1 UltraとCPUとGPUのコア数が増えて処理性能が向上します。
SoC | M1 | M1 Pro | M1 Max | M1 Ultra |
---|---|---|---|---|
端末 | MBA MBP13 Mac mini iMac 24 |
MBP14 MBP16 |
MBP14 MBP16 Mac Studio |
Mac Studio |
CPU | 8コア | 8コア 10コア |
10コア | 20コア |
GPU | 8コア | 14コア 16コア |
24コア 32コア |
48コア 64コア |
Neural Engine | 16コア | 16コア | 16コア | 16コア |
ユニファイドメモリ | 8GB 16GB |
16GB 32GB |
32GB 64GB |
64GB 128GB |
メディアエンジン | – | 1 | 2 | 4 |
Mac Studioの標準モデルはM1 Maxは10コアCPUに24コアGPUまたは32コアGPUを内蔵したSoCですが、M1 Ultraはさらに倍の20コアCPUに48コアGPUまたは64コアGPUを内蔵します。
M1 UltraはUltra Fusionというパッケージングアーキテクチャを使ってM1 Maxのダイを2つ接続し性能を高めておりメディアエンジンの数も倍に増えてエンコーダーなどの処理がより高速となります。
ただ、CPUの性能はM1 MaxとM1 Ultraはそこまで大きな差はないようでiMac 27インチ(Intel)と比べてPhotoshopの処理性能がM1 Maxが2.2倍、M1 Ultraが2.5倍に収まっています。
GPUの性能は大きく向上しiMac 27インチ(Radeom Pro 5700)と比べてFinal Cut Proのレンダリング処理性能がM1 Maxが3.5倍、M1 Ultraが5倍と圧倒的な性能差となっています。
高負荷な動画編集においてはM1 MaxとM1 Ultraでは大きな差が出てくるかもしれません。
また、M1シリーズのSoCは電力効率もいいので高性能なM1 Ultraを搭載したMac Studioで最大200Wの電力消費とかなり少なくなっています。
Mac Studioの価格
Mac Studioの端末価格はストレージ容量が512GBでM1 Maxの最小構成が249,800円、M1 Ultraが477,800円です。
メインメモリ | 32GB | 64GB | 128GB |
---|---|---|---|
M1 Max 10コアCPU 24コアGPU |
249,800円 | 293,800円 | – |
M1 Max 12コアCPU 32コアGPU |
271,800円 | 315,800円 | – |
M1 Ultra 20コアCPU 48コアGPU |
– | 477,800円 | 565,800円 |
M1 Ultra 20コアCPU 64コアGPU |
– | 587,800円 | 675,800円 |
ストレージ容量は512GB → 1TBが+22,000円、2TBが+66,000円、4TBが+132,000円、8TBが+264,000円です。
M1 MaxをMacBook Pro 14インチで買うと30万円を超えるのでMax Studioはチップ性能が欲しいという方にとっては最高の端末と言っていいかもしれません。
Studio Displayの特徴
- 27インチ 5K Retina:5,120 × 2,880ピクセル
- 画面輝度:600ニト
- 10億色、広色域(P3)対応
- True Toneテクノロジー対応
- Appleシリコン・A13 Bionicを搭載
- 6スピーカーシステム(空間オーディオ対応)
- 12MP超広角カメラでセンターフレーム対応
- Thunderbolt 3 × 1、USB-C × 3
Studio DisplayはThunderbolt 3ケーブルでMacを接続して使える外部モニターでiMac 27インチと同じ画面サイズと5K解像度で作業ができる高品位なモニターです。
標準ガラス仕様が199,800円、Nano-textureガラス仕様が242,800円となっています。
デザインとサイズ
Studio Displayのデザインはとてもシンプルです。
正面側はiMac 24インチのディスプレイ下にある顎がなくなったようなデザインでディスプレイだけがあるスタイルに。ベゼルの幅は上位のPro Display XDRよりも太めですがシンプルでカッコいいですよね。
背面側はAppleのロゴマーク、USB-Cポートがあるシンプルなスタイルです。
Studio Displayは全体的にフラットなスタイルでiMac 24インチと同じように「画面の傾きを調整できるタイプ」、「画面の高さも調整できるタイプ」「、VESAマウントアダプタ搭載」の3つのタイプから選べます。
環境に合わせて選べるのはいいけど途中でデスク周りの環境を変えると買い直しになるのは少し厳しいところ。
Studio Displayの筐体サイズは横幅が62.3cm、高さが47.8cm、奥行きが16.8cmとすっきりとしたサイズに収まっています。
iMac 24インチと比較するとStudio Displayの方が横幅が約8cm、高さが1.7cm、奥行きが2.1cmほど大きくなっています。
ディスプレイの厚みは意外と太めで20mmほどありそうな感じ。とはいえ、思ってたよりもコンパクトなのでiMac 27インチからの乗り換えで机の上がスッキリしそうです。
さらに、iMac 24インチからMac StudioとStudio Displayに乗り換えても違和感なく使えそうです。
5K Retinaディスプレイを搭載
Studio DisplayはiMac 27インチと同じ5K Retina(5,120 × 2,880ピクセル)ディスプレイを搭載しています。
5K解像度の外部モニターはなかなかないのでStudio Displayの最大のメリットとなります。とくに27インチで5K解像度はとても高精細で画面がとにかく見やすいです。
さらに、ディスプレイの品質も高くて600ニトの輝度、10億色、広色域(P3)、True Toneテクノロジーにも対応しています。おそらく、Macから画面の明るさ調整もできるはずです。
6スピーカーシステムを搭載
Studio Displayはフォースキャンセリングウーファーを備えた、原音に忠実な6スピーカーシステムでワイドなステレオサウンドに対応しています。
iMac 24インチも6スピーカーシステムを搭載していて音質がとてもいいので、筐体サイズがより大きいStudio Displayの音質にはさらに期待が高まります。
また、空間オーディオにも対応しています。
外部ポートも搭載している
Studio DisplayはThunderbolt 3(ホストアップ用)だけでなく出力用のUSB-Cポートを3つ搭載しています。
ホスト用のThunderbolt 3は96Wの充電もできるのでMacBook Pro 14インチ・16インチと接続して充電しながら画面を表示させながら、データ通信をして作業ができます。
A13 Bionicを搭載している
Studio DisplayはiPhone 12に搭載しているA13 Bionicを内蔵しセンターフレーム、空間オーディオ、音声アシスタントなどの機能をStudio Displayで使えるようになりました。
モニター単体にA13 Bionicを搭載してくるとはなかなかスゴイです。どうせならStudio Display単体でApple TVが見れるようになったりiOSが動作したら面白いんですけどね。
ナノテクスチャーガラスを選べる
Studio Displayはディスプレイのガラスに光沢のある標準ガラスと、マット調のナノテクスチャーガラスのどちらかを選ぶことができます。
標準ガラス仕様が199,800円、Nano-textureガラス仕様が242,800円となっています。このガラスの違いはiMac 27インチで比較しているので参考にして見てください。(→ Nano-textureガラスの比較)
M1 iMac 27インチがないのはなぜ?(考察)
Mac StudioとStudio Displayの発表と同時にiMac 27インチが販売終了となりましたが、AppleシリコンのiMac 27インチが何故ないのか?
iMac 24インチは存在するのに大画面サイズのオールインワンモデルがないのは違和感ありますよね。
これには、おそらく理由があります。
薄型ボディにM1 Max・M1 Ultraは難しい?
iMac 24インチと同じM1チップならiMac 27インチでも可能だったでしょう。でも、M1の27インチはいらないですよね。もっと高性能なデスクトップマシンが欲しいです。
というのも、iMac 24インチの筐体デザインを見ると分かるのですが本体がものすごく薄いのです。
11mmほどしか厚みがありません。
もちろん、27インチになればもう少し厚みを持たせてStudio Displayくらいの厚みにすれば排熱性能を上げることもできそうですがこの薄さだとM1 MaxやM1 Ultraの発熱の処理は困難かもしれません。
M1よりも高性能ならM1 Proならギリギリいけたかもですがデスクトップ型になるとMacBook Pro 14インチよりも高性能である必要性はどうしても出てきます。
実際にM1チップのiMac 24インチでFinal Cut Proで4K動画の書き出しして負荷をかけると発熱して本体の顎の部分が熱くなるんですよね。
iMac 24インチは顎の部分だけでなく背面のアルミボディが放熱の役割を担っているのか筐体全体が温かくなってきて意外とiMac 24インチは熱くなります。動作が遅くなることはないですが。
これがもしM1 Mac、M1 Ultraだったら…大変です。iMacはディスプレイ一体型で発熱によるディスプレイへの悪影響も考えられます。
iMac 27インチは物理的に筐体が大きいので放熱性能はそれなりに確保できそうですが、Mac Studioが内蔵しているファンはかなり大きいサイズとなっています。
M1 Ultraを冷却するにはこれくらいのファンが必要ということでしょう。
IntelのiMac 27インチの筐体デザインならいけそうですがこの大きなファンをiMac 24インチのような薄型オールインワンに入れ込むのは難しそうです。
なので、仕方なし…ではないけど最強のM1 Ultraを搭載できる小型なMac Studioと27インチの安価な5K RetinaディスプレイのStudio Displayを開発したのかなと。
真相は分かりませんが今回の発表を受けてそう受け取りました。
外部モニター + Macで組み合わせ自由
Studio Displayとの組み合わせならMac Studioを選ぶ必要もありません。Mac mini(M1)やMacBook Pro 14インチと組み合わせて外部モニターとしても使うことができます。
今まではiMac 27インチにするか、MacBook Proにするからどうするか?…という迷いがありましたがこれからは選択肢が一つ減ることになります。
Studio Displayが1台あるとM1 Maxほど性能はいらないけどM1 Proは欲しい時にMacBook Pro14インチと組み合わせに、性能がもっと必要ならMac Studioにするのもいいでしょう。249,800円でM1 MaxのMacを買うことができるのとてもも魅力的です。
MacBook Pro 14インチでM1 Maxにすると30万円を超えてくるのでなかなか難しいです。
2年後に新型のMacが出て機材を簡単に入れ替えできるのもStudio Displayの大きな魅力になります。
というわけで、Studio Displayをポチりました。ありがとうございます。
→ Studio Displayはこちら
iMac Proの可能性は残されてる
なお、iMac 27インチは販売終了となりましたがAppleシリコンを搭載したiMac Proが復活するという情報はあります。
FYI: Still expecting an iMac Pro, for those wondering. M2 versions of the Mac mini, MacBook Pro 13-inch and 24-inch iMac are also in development.
— Mark Gurman (@markgurman) March 8, 2022
今回のMac Studioを言い当てた方でもあるので信憑性は高いとも言われていますが、iMac Proになる場合はiMac 24インチとはまた異なる排熱性能の高いスタイルになるのかもしれません。
→ 2024年のApple新商品について
imac 27 2009 をmac studioに繋げて外部モニターにできるのでしょうか?