Intelプロセッサを搭載した完成形モデル・iMac 27インチ(2020)が2020年8月に発売しました。デザインは2019年3月に発売したモデルと全く同じでフルモデルチェンジを期待しただけにガッカリ感もあります。
とはいえ、CPUが第10世代CoreプロセッサになってディスプレイもTrue Toneテクノロジーに対応しオプションでNano-textureガラスを選べるようにもなりiMac 27インチはスペックアップを果たしました。
ここでは、見た目は同じだけど中身は大きく進化したiMac 27インチ(2020)のデザイン・スペック・使いやすさをレビューしたので、実際に使ってみてどうなのか評価していきたいと思います。
ディスプレイサイズの大きいiMacを検討している方は参考にどうぞ!
→ iMac 24インチはこちら(iMac 24インチ(M1・2021)レビュー)
この記事の目次
iMac 27インチ(2020)の特徴
- 第10世代Intel Coreプロセッサで性能向上
- Radeon Pro 5300/5500でグラフィック性能向上
- 最大128GBのメインメモリを選択可能に
- 全モデルが高速SSDストレージに対応
- True Toneで自動色温度調整に対応
- +50,000円でNano-textureガラスに変更可能
- FaceTime HDカメラが1080pに対応
- Bluetooth 4.2 → 5.0で安定性向上
- Apple T2セキュリティーチップを搭載
- 内蔵マイク・スピーカーの音質が向上した
- 6K(Display Pro XDR)の画面出力に対応
- UHS-ⅡのSDカードに対応
iMac 27インチ(2020)は第8世代から第10世代Intel Coreプロセッサに刷新されたことで10%〜20%CPUの性能が向上し、CTOモデルなら10コアを選択可能となりiMac Proに近い性能を発揮できるようになりました。
デザイン制作だけでなく動画編集もこなすことができる高性能マシンになっています。
GPU性能も最大55%アップしグラフィック処理能力が大きく向上しています。SSDストレージの転送速度も高速化しデータの読み込み、保存速度が速くなってトータルで見ても処理性能が速くなっています。
iMac 27インチもようやくTrue Toneテクノロジーに対応し環境光に合わせて色温度を自動調整に対応しオプションでNano-textureガラスに変更もできるようになり光の反射を抑えることも可能に。
個人的に嬉しい改善点が内蔵スピーカーの音質向上とUHS-ⅡのSDカードに対応したことで、これだけでも、2019年モデルから乗り換えてよかったと感じるほどで見た目は同じですが中身は大きく進化したハイエンドデスクトップマシンとなっています。
iMac 27インチ(2020)レビュー:外観
外観デザインは従来モデルと同じ
パッケージデザインは2017年モデルからずっと変わっていません。筐体デザインが変わっていないので当たり前かもしれないですが壁紙デザインくらいは変えて欲しい。分からなくなってしまう。
iMac 27インチの外観デザインは2012年モデルからずっと同じです。背面ポートが変化するなど微妙なデザイン変更はあったものの8年間ずっと同じデザインで走り続けることができる端末ってなかなかないですよね。
いや、ユーザーはそろそろフルモデルチェンジを望んでいるのですがね。スタイルは8年経った今も色褪せることがないですが、画面のベゼル(黒枠)が太いのはさすがに時代遅れ感は否めないですよね。
画面サイズは27インチ、5K解像度(5,120 × 2,880ピクセル)のRetina 5Kディスプレイを搭載しています。
筐体サイズは横幅65cm、高さ51.6cm、奥行きは20.3cm(スタンド含む)、重量が8.92kgとなかなかの大きいサイズとなっています。
ここでレビューするモデルはVESAマウントアダプタモデルとなっていてスタンドがないので奥行きが8cmほどとコンパクトとなっています。
顎部分が太いのは個人的にはリンゴマークを取り付ける大事な場所でもあるので、これでいいのです。iMacの象徴でもありますし。
でも、画面のベゼルが太い。もう少し細くなって欲しい。おそらく全てのiMacユーザーさんが待ち望んでいたことでしたが、2020年モデルも残念ながら現行デザインを継続した形となっています。
とはいえ、洗練されたスタイルはいつ見ても惚れ惚れしてしまいます。
一切の妥協を許さない細部まで拘ったアルミボディを採用しています。筐体の下部分には排熱するための横長な穴が開けられています。どの角度から見ても美しさを感じることができるのがiMacであり、8年間も走り続けることができる完成されたデザインといってもいいでしょう。
スタンド付きの通常のiMac 27インチのスタイルはこんな感じです。
画面の角度の可動域は-5°〜25°あるので顔の位置に合わせて調整することはできますが、高さ調整ができないので環境によってはどうしても高さが合わない場面が出てきてしまいます。
画面の横移動もスタンドごと動かす必要があるのでどうしても無理が生じてしまいます。標準モデルでも普通に快適に使うことができますが、モニターアームを使うことで、ワンランク上の利便性を手に入れることができるので個人的にはおすすめですよ。
iMac 27インチの外部ポート
iMac 27インチの外部ポートは正面から見て右側の背面に集約されています。
- 3.5mmオーディオジャック(イヤホン・マイク兼用)
- SDカードスロット(UHS-Ⅱ対応)
- USB-A:4ポート
- Thunderbolt 3(USB-C):2ポート
- ギガビットEthernet(RJ-45コネクタ)
2020年モデルはギガビットEthernetはCTOオプションで10ギガビットの高速イーサーネットポートに変更できるようになったので、超高速光回線を導入している方にとっては嬉しい改善点となっています。
iMac 27インチはUSB-Aポートを4つも搭載しているので幅広い周辺機器をダイレクトに使うことができるのはいいところ。
ただ、MacBookシリーズは全モデルでUSB-Cポートのみ採用していることもあり、USB-Cの方が使う頻度が増えているので2つしかポートがないのは正直なところツライところではあります。
もし、USB-Cポートが不足するようなことがあるならUSB-Cに対応したマルチハブアダプタなどを導入するのがいいでしょう。
Magic KeyboardとMagic mouse
iMac 27インチ(2020)は、従来と同じMagic KeyboardとMagic mouse 2、Lightning – USB-Aケーブルを同梱しています。
Magic Keyboardはシザー構造のキーボードを採用しキーの高さは1mmとなっています。
MacBook AirやMacBook Pro 16インチ・13インチのMagic Keyboardよりも世代が古いこともあり、タイピング音は少し大きめですが耐久性のある安心して使うことができるキーボードとなっています。
Magic mouse 2は相変わらずの充電方法は健在ではありますが、カーソルの精度と安定性は抜群のマウスとなっていてジェスチャー操作もこなすこともできる万能マウスとなっています。
VESAマウントでモニターアームでiMacを
個人的に近年のiMacは、iMac 27インチ(2017)から使っていますが、iMac 27インチ(2019)よりVESAマウントアダプタモデルを選んだこともあり、2020年モデルも引き続きiMac 27インチ VESAマウントアダプタモデルを購入しました。
スタンドの代わりにVESAマウントを装着できる構造のiMacとなっていて、ここにモニターアームに付属しているアダプタを取り付けてモニターアームに乗せてiMacを使うことになります。
このようにモニターアームにiMac 27インチをガッチリと装着します。
モニターアームを使うことで高さ調整ができなかったiMac 27インチを自由自在に操ることが可能となります。このように筐体を上にあげることでスタンディングディスクがない状態でも作業することも可能。
スタンドがない状態となるので本体下には何もない状態となるので机をフラットに使うことができるのでキーボードとマウスを収納したり、iPhoneなど小物を置いておくことができ無駄なくスペースを使うことができます。
一度でもモニターアームでiMacを使うとスタンドには戻れないです。
VESAマウントモデルはとにかく快適。個人的にiMacをモニターアームで使う大きなメリットだと思うのが背面ポートに簡単にアクセスできることです。
通常モデルでもスタンドを動かしたり自ら後ろに出向くこtで背面ポートのアクセスはできますが、テーブルの上に物があると動かしにくいかったり、筐体が重いので頻繁に移動できないですよね。
でも、モニターアームなら手で軽々と筐体を移動させることができるので頻繁に背面ポートにアクセスすることができます。個人的に動画用の外付けSSDの取り外しをしたりSDカードスロットをよく使うので重宝しています。
iMac 27インチ(2020)レビュー:性能
True Toneに対応した5Kディスプレイを搭載
iMac 27インチ(2020)は5,120 × 2,880ピクセルの解像度を持ったRetina 5Kディスプレイを搭載しています。
27インチの画面サイズなのでMacBook Pro 16インチと比較しても広大な作業領域を使って作業をすることができるので、少しでも効率的に作業をこなすたいのであれば27インチは最良な選択肢と言ってもいいでしょう。
4Kをさらに上をいく5Kの高精細なディスプレイとなっているので、一般的な4Kモニターと比較しても画質がかなりキレイで見やすいです。
写真の画質だけでなく擬似解像度を高くしても文字の滑らかさを維持することができるので、高画質を維持したまま作業効率を向上したい方には5Kパネルのモニターはおすすめです。
iMac 27インチは維持解像度を設定して27インチの画面サイズの作業領域を好みで調整することができます。
- 1,600 × 900ピクセル
- 2,048 × 1,152ピクセル
- 2,560 × 1,440ピクセル
- 2,800 × 1,620ピクセル
- 3,200 × 1,800ピクセル
画面解像度が高いので画質を維持したまま作業領域を広げることができるので、マルチタスクに向いているディスプレイと言っていいでしょう。
iMac 27インチのいいところは5Kモニターを内蔵しつつ194,800円と安いところ。5Kモニターの27MD5KL-Bはモニター単体で16万円と高価なので、iMac 27インチのコストパフォーマンスがいいことがわかります。
表示色は最大10億色の広色域(P3)、500ニトの輝度に対応し、色鮮やかな写真・画像を表示することができます。
また、2020年モデルよりTrue Toneテクノロジーに対応し環境光に合わせて色温度を自動調整してくれるようになりました。
MacBookシリーズでは対応していた技術ですが、ようやくiMacにも導入されたことになります。
True ToneをONにすることで目に優しい色合いに自動調整してくれるので、テキストベースの作業をすることが多いなら有効にしておくことで目の疲れを低減してくれる効果があります。
ただし、画像編集をする場合は正確な色を得ることができないこともあるので状況に応じてOFFにするのがいいのかもしれません。
Nano-textureガラスに変更可能
iMac 27インチ(2020)は+50,000円で標準ガラスからNano-textureガラスに変更できます。Pro Display XDRで選ぶことができる光の映り込みが少ないマットなガラスですが、2020年モデルのiMac 27インチでも選択できるようになりました。
Nano-textureガラスの表面には光を散乱させるコーティングが表面に施されていて光の映り込むを防いでいます。
光の映り込みがないので黒い画面のUIを採用したアプリケーションやコンテンツをキレイに表示できます。とくに最近のデザインツールはブラックUIを採用しているのが多いので光の映り込みがないのは見やすくていいですよ。
ちなみに、文字の見え方はソフトになるので好みが分かれそうな気がしますが、標準ガラスよりも目のチカチカ感が少なく個人的にはとても見やすくて目が疲れにくいように感じました。
Nano-textureガラスについては別記事で詳しくレビューしているので参考にしてみてください。
CPUの性能は50%ほど向上している
iMac 27インチ(2020)は第10世代Coreプロセッサを搭載していてグレードによって搭載しているCPUが異なります。
- 標準モデル(194,800円〜):Core i5(6コア)
- 上位モデル(249,800円〜):Core i7(8コア)
- CTOモデル(266,800円〜):Core i9(10コア)
2019年モデルは上位モデルを選んでもCore i5(6コア)だったので微妙な感じでしたが、2020年モデルは8コアプロセッサを選べるので上位モデルはより上位らしい性能を手に入れることができます。
Geekbench 5でCPUの性能を計測してみました。
実際に計測したのは2020年と2019年の上位モデルとなっています。どちらも同じ価格帯のモデルとなっています。
iMac 27インチ | 2020年モデル | 2019年モデル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
グレード | CTO | 上位 | 下位 | CTO | 上位 | 下位 |
CPU | Core i9-10910 3.6GHz | Core i7-10700K 3.8GHz | Core i5-10500 3.1GHz | Core i9-9900K 3.6GHz | Core i5-9600K 3.7GHz | Core i5-8500 3.0GHz |
CPU | 10コア | 8コア | 6コア | 8コア | 6コア | 6コア |
シングルコア | 1250 | 1234 | 1100 | 1242 | 1198 | 1009 |
マルチコア | 8800 | 7435 | 5600 | 8291 | 5051 | 4848 |
上位モデルについては6コア→8コアと物理的にCPUコアが増えたことにより40〜50%も性能が向上しています。
下位モデルとCTOカスタマイズモデルはGeekbenchによる正確なデータが明らかになっていないので暫定値としてますが、このスコアから見ても上位モデルが第8世代 → 第10世代のCoreプロセッサになったことで性能が向上しているのはわかります。
興味深いデータとして第10世代のCoreプロセッサはメインメモリの容量によってGeekbench 5のスコアが変化するようです。従来のプロセッサではメインメモリの容量の違いでスコアが変化することはなかったんですよね。
メモリ容量 | Geekbench 5 | Cinebench R20 |
---|---|---|
8GB | 7535 | 4556 |
32GB | 8987 | 4766 |
40GB | 8515 | 4569 |
64GB | 9042 | 4677 |
ただ、他のベンチマークアプリだとさほど差はなかったのでGeekbench 5だけの現象なのかも。ただ、メインメモリの容量が多くなると一部の処理速度が向上するのは間違いないでしょう。
ちなみに、40GBのスコアが少しだけ落ちているのはメモリのメーカーの掛け違いでクロック周波数が2,666MHz → 2,133MHzにダウンしていることが影響しているのかもしれません。
グラフィック性能も大きく向上している
iMac 27インチ(2020)のGPUにはRDNAアーキテクチャのRadeon Pro 5000シリーズを採用し、CTOカスタマイズでRadeon Pro 5700XT(16GB GDDR6)を選択できるようになります。
GPU型式 | メモリ容量 | CU | SP | 演算性能 |
---|---|---|---|---|
Radeon Pro 5700 XT | 16GB GDDR6 | 40 | 2,560 | 7.6TFlops |
Radeon Pro 5700 | 8GB GDDR6 | 36 | 2,304 | 6.2TFlops |
Radeon Pro 5500XT | 8GB GDDR6 | 24 | 1,536 | 5.3TFlops |
Radeon Pro 5300 | 8GB GDDR6 | 20 | 1,280 | 4.2TFlops |
Radeon Pro 5700 XTを選ぶことで2019年モデルのRaden Pro Vega 48よりも55%も性能が向上するようです。
Geekbench 5でグラフィック性能を計測してみました。実際に計測しているのはRadeon Pro 5500 XTとRadeon Pro Vega 48で、そのほかのデータはGeekbenchで公開されているデータを掲載しています。
iMac 27インチ | 2020年モデル | 2019年モデル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
グレード | CTO | 上位 | 下位 | CTO | 上位 | 下位 |
GPU | Radeon Pro 5700・5700XT | Radeon Pro 5500 XT | Radeon Pro 5300 | Radeon Pro Vega 48 | Radeon Pro 580X | Radeon Pro 570・575X |
メモリ | 8GB・16GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 4GB GDDR6 | 8GB HBM2 | 8GB GDDR5 | 4GB GDDR6 |
OpenCL | 55398 | 41003 | 35033 | 48206 | 41051 | 29151 |
Metal | 74768 | 41737 | 32016 | 56824 | 42327 | 30144 |
僕が所持しているiMac 27インチ(2019年)はRadeon Pro Vega 48をCTOカスタマイズしてました。2020年モデルは上位モデルのRadeon Pro 5500 XTにしたことでグラフィック性能が低下。
実用では何も問題はなく動画の書き出し時間も遅くなるどころか高速化しトータルで性能が向上しています。下位モデルはRadeon Pro 570 → Radeon Pro 5300で20%ほどグラフィック性能が向上しています。
メインメモリは最大128GBまで増設可能に
iMac 27インチ(2020)のメインメモリは標準モデルは8GBと容量がかなり少なくなっていますが、最大128GBまでCTOカスタマイズし増設が可能となっています。
- 16GB:+20,000円
- 32GB:+60,000円
- 64GB:+100,000円
- 128GB:+260,000円
ただ、価格がとても高いんですよね。幸いにもiMac 27インチはユーザー側でメモリの換装・交換をすることができるのでAmazonなどでメモリを購入して自分でiMacのメモリを増設するのが賢い方法といえます。
16GBのメモリが8,000円ほどで手に入れることができるので、4枚購入しても32,000円で64GBに増設することができます。半額以下です。素晴らしい。
iMac 27インチ(2020)はSK Hynix製の4GBのメモリを2枚搭載しています。空きスロットがあるので、ここに16GBのメモリを2枚追加することで40GBに増設することができます。
ただし、注意点として違うメーカーとの組み合わせはメモリ転送速度が2,666MHz →2,133MHzにダウンしてしまいます。(スロット1+2、3+4の組み合わせで2,666MHzを維持できますがデュアルチャネルではなくなるので注意です。)
SK HynixとPatriotの組み合わせですが、2019年モデルでは問題がなかった組み合わせでしたが2020年モデルはシビアな仕様になったのでしょう。現在のメモリを使って増設するなら同じメーカーのSK Hynix製のメモリを購入しましょう。
ちなみに、転送速度の低下の影響は少ないのであまり気にしなくてもいいですが、動画の書き出し速度は低下するのは確認しています。試しにFinal Cut Pro Xで14分のフルHD動画の書き出し時間を比較してみました。
iMac 27インチ(2020) | 32GB | 40GB |
---|---|---|
転送速度 | 2,666MHz | 2,133MHz |
レンダリング削除後に書き出し | 5分08秒 | 5分23秒 |
レンダリング時間 | 4分24秒 | 4分49秒 |
レンダリング後に書き出し | 3分59秒 | 4分24秒 |
転送速度がダウンしたことにより40GBよりも32GBのほうが動画を20〜30秒ほど速く書き出しができています。ちなみに、クロックダウンしていないiMac 27インチ(2019)だと40GBのほうが書き出し速度が速くなります。
iMacのメインメモリの増設についてはこちらをどうぞ。
SSDストレージが高速化した
iMac 27インチ(2020)はFusion Driveモデルが廃止されて全モデルでSSDストレージを搭載し、SSDのデータ転送速度が最大3.4GB/sに向上しより、素早くデータを開いたり保存が可能になっています。
どれくらいデータ転送速度が向上したのかDisk Speed Testで比較してみました。
iMac 27インチ | 2020年モデル | 2019年モデル |
---|---|---|
SSD容量 | 1TB | 1TB |
書き出し(Write) | 2712MB/s | 1955MB/s |
読み出し(Read) | 2353MB/s | 2094MB/s |
SSDストレージは容量が多いほうが転送速度が高速化しますが、同じ1TBの容量なのに明らかに2020年モデルの方が高速化しており、アプリの起動やデータ保存を速くなるメリットがあります。
極論をいうとメインメモリが8GBと少なくてスワップデータが発生したとしてもストレージが高速なので素早く展開でき、複雑な作業をしないなら少ないメインメモリ容量でも十分な性能を維持することができます。
実際の動作速度を比較
iMac 27インチ(2020)はどれくらい性能が向上したのか、実際の性能を2019年モデルと比較してみました。
iMac 27インチ | 2020年 | 2019年 |
---|---|---|
CPU | Core i7 3.8GHz(8コア) | Core i5 3.7GHz(6コア) |
GPU | Radeon Pro 5500XT | Radeon Pro Vega 48 |
macOS起動 | 8GB:35秒 32GB:32秒 |
8GB:40秒 |
Premier Pro 起動 | 8GB:15秒 32GB:11秒 |
8GB:25秒 |
Photoshop 50枚の画像(1枚12MB)開く | 8GB:58秒 32GB:34秒 |
8GB:2分27秒 |
Illustrator(560MBのデータ)起動 | 8GB:18秒 32GB:13秒 |
8GB:18秒 |
2020年モデルはメインメモリ32GBに増設したパターンでも試してみましたが、8GBのメインメモリでも起動速度が高速化しているのが分かります。
Final Cut Pro Xで14分のフルHD動画をレンダリング、書き出しし時間を計測してみました。
iMac 27インチ | 2020年 | 2019年 |
---|---|---|
CPU | Core i7 3.8GHz(8コア) | Core i5 3.7GHz(6コア) |
GPU | Radeon Pro 5500XT | Radeon Pro Vega 48 |
レンダリング削除後に書き出し | 8GB:5分59秒 32GB:5分08秒 64GB:4分50秒 |
8GB:6分01秒 32GB:4分52秒 64GB:4分54秒 |
レンダリング時間 | 8GB:5分00秒 32GB:4分24秒 64GB:4分20秒 |
8GB:5分28秒 32GB:5分45秒 64GB:5分17秒 |
レンダリング後に書き出し | 8GB:4分54秒 32GB:3分59秒 64GB:3分54秒 |
8GB:5分11秒 32GB:5分41秒 64GB:4分10秒 |
2019年モデルはRadeon Pro Vega 48を搭載した高性能なモデルではありますが、8コアのCPUプロセッサを搭載した2020年モデルの方が短時間でレンダリングと書き出しができるようになりました。
なお、iMac 24インチは高性能なM1チップを搭載していますが、動画編集、動画の書き出しはIntelを搭載しているiMac 27インチの方が快適に作業することができます。iMac 24インチでFinal Cut Proで4K60fpsの編集をするとモタつきが発生しますが、iMac 27インチはスムーズに作業できます。
また、動画の書き出しもiMac 27インチの方が高速となっています。
- iMac 24インチ(M1・16GB RAM):16分26秒
- iMac 27インチ(Intel・64GB RAM):19分44秒
4K60fpsの15分くらいの長さの動画を書き出しすると3分ほどiMac 24インチよりもiMac 27インチの方が速かったです。この3分の差は大きいですよね。動画編集をガチでしている方はまだまだiMac 27インチの優位性は高くなっています。
UHS-Ⅱ対応でSDカードの転送速度が向上
iMac 27インチ(2020)は高速データ転送ができるUHS-ⅡのSDカードに対応しました。
UHS-Ⅱに対応しているSDカードを使うことで大容量の動画データなどを素早くiMacに移動させることができます。
今までのiMacはSatechi SDカードリーダーなどを使ってましたが、これからは直接スロットを使って高速転送できます。実際に2020年モデルと2019年モデルのSDカードスロットでどれくらい転送速度が違うか約13GBのデータを移動させて比較してみました。
- 2020年モデル:60秒
- 2019年モデル:2分32秒
従来のiMacのSDカードスロットだと2分32秒もの時間がかかってしまうのが、2020年モデルのUHS-Ⅱ対応のSDカードスロットなら60秒でデータの移動ができるようになりました。
従来はSDカードリーダーを常に接続していた状態でしたが、2020年モデルは必要がなくなるので、テーブルの上にカードリーダーを常駐させておく必要がなくなりスッキリした状態に保つことができそうです。
T2セキュリティーチップを搭載した
iMac 27インチ(2020)はセキュリティチップのApple T2を搭載しています。
T2チップはARMベースのチップとなっていてついにiMacにもAppleシリコンの一部が搭載されることになったのですが、T2チップを搭載したことにより「Secure Enclave」と呼ばれる機能によってデータの暗号化と復号を可能になる。つまり、よりセキュアになったということ。
また、T2チップはコントローラーチップとしての役割も担っています。
1080pに解像度が向上したFaceTime HDカメラの顔検出機能、Hey Siri、HEVCビデオのトランスコードの速度向上もT2チップを搭載したことでプロセッサに負荷をかけずに処理できるようになり、快適に使うことができるようになっています。
内蔵スピーカーの音質が向上した
T2チップはiMacの内蔵スピーカーにも影響を及ぼしていて、AppleはT2チップを搭載したことによってスピーカーの低音域のレスポンスが向上したとしています。
実際にiMac 27インチで音楽を聴いてみたのですが、これが驚いた。めちゃくちゃ音質が向上しています。
従来のモデルよりも音量が大きくなって小さい音量設定もしっかりとメリハリのある迫力の音楽を楽しめるよう改善されています。いつもと同じ音量で音楽を聴くとちょっとびっくりしてしまうかも。
音質は低音域が強化されてベースなどの楽器の音をしっかりと奏でることができるようになり全体的に引き締まった音質に進化し、全体的に音質がクリアになっています。
従来のiMacは音が篭ってる感がありましたが、iMac 27インチ(2020)はボーカル域から高音にかけての音域もこもりのない音でとても聴きやすい音質です。
スピーカーそのものは変わってないそうですが、T2チップを搭載したことで内蔵スピーカーと連係して自動イコライザでサウンドを変化させてバランスがとれた原音に忠実なサウンドが楽しめるんだとか。
この自動調整の仕組みはHomePodと似ているのかもしれません。なので、音質もどことなくHomePodと近い感じです。
HomePodの低音をちょっと弱くしてステレオサウンドにした音質なので個人的にはHomePodの使用頻度が減ってしまうのではないかと危惧しているほど。たぶん、このままだと使わなくなってしまう。
iMac 27インチ(2020)レビュー:まとめ
iMac 27インチ(2020)は第10世代Coreプロセッサを搭載し、True Toneテクノロジーに対応、オプションでNano-textureガラスに変更も可能になり、見た目は従来モデルと変わりないですが中身は大きく刷新してます。
iMac 27インチ(2020)のメリット
iMac 27インチ(2020)は据え置きマシンなので外で作業しないなら、MacBook Pro 14インチではなくてiMac 27インチを選んでいいです。下位モデルでも十分な性能があって動画編集は軽々と処理できます。
- 5Kディスプレイで作業スペースが広い
- Nano-textureガラスを選べるようになった
- デザイン作業、動画編集も軽々と作業できる
- UHS-Ⅱ SDカードに対応しデータの移動が速い
- 内蔵スピーカーの音質がマジで良い
- コストパフォーマンスが高い
価格の割に高スペックな性能を手に入れることができるところがiMac 27インチの大きなメリットといっていいでしょう。5K解像度を搭載したモニターを搭載した端末が194,800円から買えるって普通に考えてもすごいこと。
2020年モデルは単なるプロセッサの刷新だけに留まらず、T2チップを搭載して内蔵スピーカーの音質が大きく向上したのは個人的に評価がかなり高いです。
普段から音楽を聴きながら作業することも多く、従来のiMacだと音質が悪かったのでHomePodを使ってました。これからはiMacの内蔵スピーカーで音楽を楽しんでもいいかな..と思わせてくれるほど。
iMac 27インチ(2020)のデメリット
筐体デザインが2012年モデルから基本的にずっと変わっていないのがメリットでもあり、最大のデメリットといってもいいかもしれません。とくに画面のベゼルの太さはどうにかして欲しかった。
- デザインが8年前と同じ
- スタンドの高さ調整ができない
- 背面ポートのアクセスのしずらさ
- 生体認証に非対応
スタンドの高さ調整ができない、背面ポートへのアクセスのしずらいですが、これはVESAマウントアダプタモデルを選ぶことで完全解決できます。
設置スペースの問題、テーブルの構造の問題からモニターアームが使えないこともあるかもしれないですが、是非検討してみてほしい。
MacBookシリーズはTouch ID、iPad Pro はFace IDなど生体認証に対応していますが、iMac 27インチは非対応です。Apple Watchをしていれば解決できる問題でもあるのでApple信者ゆえに許してしまう意志の弱さ…。
追記:iMac 24インチはTouch ID対応となりました。
iMac 27インチはどんな人におすすめか
iMac 27インチ(2017)よりも以前のモデルを使っているなら乗り換えることで性能アップにより作業の効率化につなげることができます。
- 旧型のiMacからの乗り換えに
- 大画面のMacが使いたい方に
- デザイン制作や動画編集をする方
iMac 27インチ(2019)より6コアCPUで性能が大幅アップし2019年モデルからの乗り換えは微妙ですが、2017年モデル以前のiMacは4コアCPUだったので2020年モデルに乗り換えで性能向上を体感できます。
もし、21.5インチのiMacを使ってもう少し大きい画面で作業をしたい、MacBook Pro 13インチを使っていて自宅や職場で作業効率を上げたいならiMac 27インチはかなり良い選択となるでしょう。
どのモデルがおすすめ?
iMac 27インチ(2020)は大きく分けて3つのモデルがあります。
モデル | 標準 | 中位 | 上位 |
---|---|---|---|
CPU | Core i5 3.1GHz 6コア | Core i5 3.3GHz 6コア(Core i9 3.6GHz 10コア) | Core i7 3.8GHz 8コア(Core i9 3.6GHz 10コア) |
メインメモリ | 8GB 2,666MHz DDR4(最大128GB) | ||
ストレージ | 256GB | 512GB(最大2TB) | 512GB(最大8TB) |
グラフィック | Radeon Pro 5300 (4GB GDDR6) | Radeon Pro 5300 (4GB GDDR6) | Radeon Pro 5500XT(8GB GDDR6)・5700XT(16GB GDDR6) |
価格 | 194,800円 | 216,800円 | 249,800円 |
2020年モデルよりFusion Driveが廃止となりSSDストレージになったことで、3.1GHzの標準モデルだと容量が256GB固定となります。動画、インターネットを見たり、資料を作成するなら十分です。
ただ、デザイン制作や動画編集するなら256GBのストレージ容量では足りないので3.3GHzの中位モデルがおすすめ。
基本的にこの性能があれば動画編集も問題なく、必要に合わせてストレージ容量を最大2TBまでカスタマイズすればいいでしょう。512GBの容量のまま外付けSSDを使って保存容量を確保するという手段もありです。
上位モデルは3Dグラフィックスを扱ったり、動画編集のレンダリングや書き出し速度をもっと高速処理したい方におすすめです。
なお、iMac 27インチの後継機種は発売しておらず2022年現在はMac StudioとStudio Displayの組み合わせが最適解となっています。
→ iMac 24インチはこちら
https://sin-space.com/entry/imac24-2021
→ iMacの比較・おすすめはこちら
iMac・MacBookのどっちがいいか迷ったらこちらをどうぞ。
旧型のiMacはこちら。
かずやさん、はじめまして!
いつも、製品購入の参考にさせていただいております!
今回、僕もiMac 2019→2020の買い替えに悩んでおります。
かずやさんとは逆に
2019を、CPU→i9 8コア、GPUは580Xのまま、ストレージは1TB SSDで使用しております。
この場合、上位モデルのCore i7 3.8GHz(8コア)、5500XT
で、どれくらい体感がアップするのか・・・。
(もちろん、単純な速さとは別に新しいディスプレイ、T2チップやカメラ性能アップは大変魅力的です)
かずやさんの調査ですと、5500XTは数値以上に体感の速さを感じるとのこと。
私の2019モデルから、はっきり速度アップ体感するには
CTOで少なくともi9 10コアを選択すべきなのか。
アドバイス頂けると幸いです。