富士フイルムのミラーレス一眼カメラXシリーズのレンズは様々なモデルがありますが同じ画角のレンズも存在しています。例えば、画角35mm(35mm換算53mm)のXF35mmF2 R WRとXF35mmF1.4 Rです。
同じ画角のレンズなのに複数ラインナップされているのは、それぞれ特徴が違うからですがユーザー側としては本当にどっちを買っていいのか分からないです。
どっちも買えってことなのか?…買ってしまいました。
ということで、「XF35mmF2 R WR」と「XF35mmF1.4 R」の違いをデザイン・防塵防滴・画質・ボケ量・AF速度で比較してみたのでどっちを買うか迷っている方は参考にしてみてください。
この記事の目次
XF35mmF2 R WRとXF35mmF1.4 Rの違いを比較
発売時期が違う
XF35mmF2 R WRとXF35mmF1.4 Rは発売された時期が異なります。
XF35mmF1.4 RはFUJIFILM X-Pro1が初登場した2012年2月に同時発売された記念すべきレンズです。これだけでプレミアム感満載ですが、X-Proシリーズのデザインと馴染むデザインなので、デザインだけでXF35mmF1.4 Rを選ぶ人もいるかもですね。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
---|---|---|
発売日 | 2015年11月19日 | 2012年2月18日 |
そして、2015年11月にXF35mmF2 R WRが発売されました。たった4年しか違わないので、XF35mmF1.4 Rがめちゃくちゃ古いというわけではなく、現在も併売されているので好みの方のレンズを選べばいいでしょう。
デザインとサイズ・重量が違う
XF35mmF2 R WRとXF35mmF1.4 Rではデザインが違います。(左:XF35mmF2 R WR、右:XF35mmF1.4 R)
XF35mmF2 R WRが先細りデザインの小口径レンズとなっていますが、XF35mmF1.4 Rはオーソドックスなデザインの大口径レンズとなっています。なので、XF35mmF1.4 Rの方がサイズが大きくて重量も少しだけ重くなっています。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
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サイズ | ø60.0mm x 45.9mm | ø65.0mm×50.4mm |
重量 | 170g | 187g |
といっても、単焦点レンズなのでめちゃくちゃ軽いんですけどね。
FUJIFILM X-T2にそれぞれのレンズを装着してみましょう。(左:XF35mmF2 R WR、右:XF35mmF1.4 R)
印象が全く違いますよねー。大口径レンズの方がなんとなく雰囲気でXF35mmF1.4 Rの方が綺麗な写真が撮れそうな気がしてなりません。
ちなみに、両レンズとも標準のフードが付属しているのですが、XF35mmF2 R WRがプラスチックのねじ式の簡易フードが付いているのに対して、XF35mmF1.4 Rは金属性のしっかりとしたカッコいいフードが付いています。
ただし、XF35mmF1.4 Rのフードに別途付属しているカバーは絶対に失くします。ちょっとした弾みでどこかに吹き飛んでしまうので、フード装着時で持ち歩く時は外していた方がいいのかなと思います。
コンパクトなXF35mmF2 R WRがいいのか?レンズらしいレンズXF35mmF1.4 Rがいいのか?さらに迷ってしまいますね。
携帯性を重視するなら間違いなくXF35mmF2 R WRです。個人的にはXF35mmF2 R WRの先細りデザインはX-T2やX-T3と非常に合っていると思っていますし、本体重量が重たいX-H1に装着することでコンパクトに、軽くすることができるのは大きなメリットだなと思っています。
防塵防滴の違い
XF35mmF2 R WRは防塵・防滴・-10℃度の耐低温構造となっていますが、XF35mmF1.4 Rは防塵防滴は非対応です。
多少の雨でも問題はないでしょうが、XF35mmF2 R WRはどこにでも持ち出すことができる安心感はあります。
ちなみに、防塵構造のレンズでも普通の使ってるとレンズ内にゴミは入ってしまうので、普通のレンズよりもゴミが入りにくいという認識をしておいたほうがいいです。
絞り値(F値)の違い
それぞれのレンズで開放F値が異なります。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
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レンズ構成 | 6群9枚 (非球面レンズ2枚) | 6群8枚(非球面レンズ1枚) |
絞り形式 | 羽根9枚(円形絞り) | 羽根7枚(円形絞り) |
F値 | F2〜16 | F1.4〜16 |
XF35mmF2 R WRも開放F2ととても明るいレンズとなっていますが、XF35mmF1.4 Rの開放はさらに明るくF1.4となっています。
夕暮れ・夜間の撮影や室内での撮影はXF35mmF1.4 Rの方が優位です。ただし、F1.4だとかなりボケボケになってしまうので、ピントをガッチリ合わせしないといけないので使用用途はかなり限られてくるかもですね。
画質・ボケ味の違い
おそらく、画質やボケ方がどれくらい違いがあるのかが気になる人が多いのかなと思います。実際に使ってみると、正直なところ…違いがよくわかりませんでした。
並べてどっちがどのレンズでしょうクイズしたら間違う人は多いと思います。たしかに違いはあるのですが、見比べて違いをしっかり把握していないと分からないかもですね。
実際に同じシチュエーションで撮り比べてみました。ボケ方など微妙に違うので、どちらが好きかで選ぶことはできるでしょう。
まずは、XF35mmF1.4 Rです。
F値を2.0に合わせているので、F1.4に開放すればもうしこしボケは増すことになると思います。次にXF35mmF2 R WRです。
XF35mmF2 R WRも綺麗にボケてくれるているのが分かります。ただし、レンズ周辺域のボケ方が左右に流れる感じなので周辺域は特徴的な描写になってしまうことになります。
ここからは左右に並べて比較してみますね。左がXF35mmF2 R WRで右がXF35mmF1.4 Rです。
XF35mmF1.4 Rの方が綺麗にボケてるのかな?ちょっとよく分かりません。ここからはXF35mmF1.4 Rは開放F1.4となりますのでよりボケみが増しているのをなんとなく感じることができるかなと思います。
XF35mmF1.4 Rは開放F1.4までイケるので夜間撮影はとてもし易いですし、光の玉のボケ方もより大きくなるのでライトアップなどのシーンでは幻想的な撮影をすることができると思います。
同じF2だとXF35mmF2 R WRの方がボケ量が大きいですが、F1.4にすればXF35mmF1.4 Rの方がボケ量は大きくなり、柔らかい写真を撮影することができそうです。
ただし、ピント合わせがシビアになるので難易度はグッと上がる感じです。子どもの柔らかい雰囲気の写真とかF1.4で撮影できますが難しいです。
レンズの歪み・接写距離の違い
XF35mmF2 R WRは糸巻型歪曲(レンズの四隅に引っ張られる感じ)がかなり酷いです。通常はあまり気にならないのですが、ブツ撮りするなど接写すると四隅が歪みが生じてしまいます。
XF35mmF1.4 Rで少しだけ樽型歪曲ですが違和感はありません。また、被写体にしっかりと寄ることができるので、テーブルフォトなんかでも使いやすいでしょう。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
---|---|---|
撮影距離範囲 | 35cm – ∞ | 28cm~ ∞ |
ブツ撮りしたり、子どもをもっと近くで撮影をするならXF35mmF2よりもXF35mmF1.4 Rの方がいいでしょう。
AF速度の違い
オートフォーカス(AF)の速度はXF35mmF1.4 Rはとっても遅いです。ギーコギーコという駆動音を鳴らしながらピントがゆっくりと合っていく感じです。
一方で、インナーフォーカス方式の光学設計とステッピングモーター駆動を採用したXF35mmF2 R WRのAF速度はとても高速で静かにスッとピントが被写体に合っていく感じです。
動き回る子どもをバシッと撮影することができるAF性能を持っているのはXF35mmF2 R WRです。XF35mmF1.4 RだとAF速度が追いつかずにボケ写真を量産してしまうことになります。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
---|---|---|
AF速度 | 最速0.08秒 | ?(遅い) |
実際に両レンズで我が子の怪獣でもある3人をバシバシと撮影してみたのですが、使いやすさは、追いつくことができるのはXF35mmF2 R WRです。子どもがおとなしい時はXF35mmF1.4 RのAFでも十分なんですけどね。
価格の違い
両レンズとも単焦点レンズで発売されてから時間が経っていることもあり、そんなに高くありませんが、XF35mmF2 R WRはXF35mmF1.4Rよりも2万円ほど安く購入することができます。
型式 | XF35mmF2 R WR | XF35mmF1.4 R |
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価格 | 37,000円〜40,000円 | 55,000円〜60,000円 |
この価格差をどう見るかですよね。レンズとしての基本性能(AF速度が高速で防塵防滴仕様)は価格が安いXF35mmF2 R WRの方が上です。画質もほぼ同じです。少なくとも僕の目には違うが分からない…。
確かに、XF35mmF1.4 Rの方がボケ量が多くて綺麗に写ることがありますし、レンズの歪みも少ないので、レンズとしての描画性能としてはXF35mmF1.4 Rの方が上なのかもしれません。
XF35mmF2・XF35mmF1.4 どっち選ぶ?
最後に「XF35mmF2 R WR」と「XF35mmF1.4 R」のどっちを選ぶべきなのかまとめます。
XF35mmF2 R WRが向いている人
XF35mmF2 R WRは画角35mm(35mm換算53mm)で撮影できるレンズで安く買うことができるので初めての単焦点レンズとして選ぶのもいいでしょう。
- レンズのサイズが小さくて軽い
- 小雨の中でも撮影することができる
- AFが速いので動き回る子どもも撮影可能
- レンズの価格が安い
とにかく軽くしたいならこのレンズがサイズ的にもコンパクトなのでおすすめです。オートフォーカスの速度も速いので2歳〜8歳くらいの豪快に動き回る子ども達を撮影するのにも適しています。
- 糸巻型歪曲の歪みがある
少しだけ糸巻型歪曲で四隅が引っ張られる傾向があるので、キチッとしたモノを撮影することが多い方には向いていないです。XF35mmF1.4の方をおすすめします。
XF35mmF1.4 Rが向いている人
XF35mmF1.4 Rは画角35mm(35mm換算53mm)で撮影できるレンズで質感・表現力の高いのでポートレート撮影に使うのにおすすめです。
- レンズのサイズが小さくて軽い
- 自然なボケと解像感を得ることができる
XF35mmF1.4の方がボケ量が大きく豊かな表現力ができるので質感重視ならこちらを選ぶのがいいでしょう。レンズ周辺の歪みも少ないのでブツ撮りにも使うことができます。
- オートフォーカスの速度が遅い
- AFの駆動音が少しだけうるさい
基本的には動くものを撮影するのには向いていないので、じっくりと向き合って撮るのなら、XF35mmF1.4 Rがいいのかなと思います。AFの駆動音がまた味がありますよ。
ちなみに僕は2本とも所持をしていますがXF35mmF2 R WRの方が使用率は高いですね。オートフォーカスの速度が速いのはとても大きいです。子どもたちを撮影することも多いので使いやすいです。
そのほかのXマウントのレンズはこちら。
パソコン(Mac)にもカメラにも造詣が深くてためになります。羨ましいです。