富士フイルムが2018年8月23日にFUJIFILM XF10を発売しました。2016年発売のFUJIFILM X70とサイズがほぼ同じなので後継機にも見えますが、中身は全く別物となっていてミラーレスカメラのエントリーモデル・FUJIFILM X-A5と似ているところが多いのかなと思います。
おそらくですが、X70からXF10に乗り換えてしまうと後悔してしまうかもしれません。ということで、XF10は買いなのかどうかをX-A5とX70との違いを交えてスペックや使い勝手について比較してみたいと思います。
この記事の目次
X-A5・XF10・X70 スペックと使い勝手の比較
そもそもレンズ交換型のミラーレス一眼のX-A5とコンパクトデジカメのXF10を比較することがおかしいんじゃないかと思われるかもしれませんが、価格帯を見るとX-A5とXF10は同じなんですよね。
ならX-A5の方がいいんじゃねーの?という思いがあり、それぞれのメリット・デメリットを理解しどのカメラを選ぶべきなのか導き出した方がいいのかなと思います。
外観とサイズの違い
X-A5、XF10、X70の本体サイズはほぼ同じです(X-A5はレンズ非装着の場合です。)が、XF10はチルト液晶を搭載していないのが特徴となっています。
大前提として一番小さなカメラが欲しいならXF10の一択となるので、そっと違うページを見てくれたら嬉しいです。
X-A5はレンズを装着しないとカメラとして機能しないので実際は一番大きくなってしまうのですが、XF27mmF2.8などパンケーキレンズを使うことで小型化させることもできるのでやりようは結構あるのかなと思います。
X-A5 | XF10 | X70 | |
液晶 | 3インチ タッチパネル付き チルト液晶 |
3インチ タッチパネル付き 液晶 |
3インチ タッチパネル付き チルト液晶 |
サイズ | 116.9 × 66.7mm × 40.4mm(最薄部31.6mm) | 112.5 × 64.4mm × 41.0mm(最薄部25.9mm) | 112.5 × 64.4mm × 44.4mm(最薄部25.9mm) |
重量 | 361g | 278.9g | 340g |
XF10の本体サイズはチルト液晶がなくなった分だけX70よりも薄くなっており、重量も278gとかなり軽量化されています。コンパクトに気軽にどこにでも持ち運ぶことができることを優先して設計されたカメラであることが分かります。
XF10の操作ダイヤルはX-A5と同じように露出補正調整ダイヤルとシーンモードを切り替えることができるダイヤルが搭載されており、X70のようなプロ仕様なシャッタースピードダイヤルは搭載されていません。
液晶画面側の操作ボタンもかなり省略化されているので、XF10は気軽にスナップ写真を撮るために最適化されたカメラといってもいいのかもしれません。どちらかというとRICOH GRと似ているのかな。
スペックの違い
APS-Cベイヤーセンサーを搭載
XF10はX-A5と同じ2400万画素のベイヤーセンサーを搭載しており、富士フイルム独自のX-Trans CMOS Ⅲセンサーは搭載されていません。
X-A5 | XF10 | X70 | |
画素数 | 2,424万画素 | 1630万画素 | |
センサー | APS-C 正方画素CMOS |
APS-C X-Trans CMOS Ⅱ |
|
プロセッサ | 非公開 | EXR Processor II | |
AF | 像面位相差AF | ||
レンズ | レンズ交換型 | フジノン単焦点レンズ 18.5mm F2.8(約10cm~∞) | |
デジタルテレコンバーター | × | 28mm・35mm・50mm | |
シャッタースピード | 30秒~1/32000秒 | 30秒~1/16000秒 | 30秒~1/32000秒 |
最大連写 | 6.0コマ/秒 | 6.0コマ/秒 | 8.0コマ/秒 |
連続記録枚数 | JPEGは約10コマ) | JPEGは約13コマ) | JPEGは約10コマ) |
撮影感度 | ISO200~12800(拡張感度設定 : ISO100/25600/51200) | ISO200~6400(拡張感度設定 : ISO100/12800/25600/51200) | |
露出補正 | -5.0EV~+5.0EV | -3.0EV~+3.0EV | |
フラッシュ | 内蔵(ポップアップ式) | 内蔵 | |
撮影可能枚数 | 約450枚 | 約330枚 |
大きな違いとしてはレンズ交換型かレンズ一体型かの違いの他にイメージセンサーのサイズはAPS-Cと同じですが種類が違うという点があります。
センサーの違いについて
X70はX-Trans CMOS Ⅱを搭載していましたが、XF10は一般的なベイヤーセンサーを搭載したことでX70の後継機ではなく完全に別シリーズということになり、X-Transセンサーの絵作りが好きな方がXF10に乗り換えてしまうと残念な結果になってしまうかもしれません。
僕はX-Trans CMOS ⅢセンサーのX-T2とベイヤーセンサーのX-A5を使っているのですが、正直なところベイヤーセンサーでも十分どころか風景撮影ではX-A5の方が解像感が高いくらいです。
こちらはX-Trans CMOS ⅢセンサーのX-T2で撮影したもの。
こちらがベイヤーセンサーのX-A5で撮影したものです。
パッと見では違いが分からないかもしれないですが、ベイヤーセンサーは色合いが少し色濃く表現されることが多くて、富士フイルムの得意とする落ち着いた色合いとは少し違う表現となることがあります。
X-Transセンサーとベイヤーセンサーの違いについてはこちらの記事で詳しく書いているので参考にしてみてください。
デジタルテレコンバーターを搭載
X70にも搭載されていましたがXF10もデジタルテレコンバータに対応し、35mm・50mmの画角にデジタルズーム拡大して撮影をすることができるようになっています。
もちろん、デジタルテレコンなのでデジタルでズームした画像は映像エンジンによって画像処理にされ劣化を最小限に抑えることが可能となっています。
4K動画撮影に対応
XF10は4K動画の撮影ができますがフレームレートが15pなのでかなり微妙な仕様となっています。これはX-A5と同じスペックとなっていますね。やはりベースになってるのでしょう。
X-A5 | XF10 | X70 | |
動画 | 4K 3840×2160 15p Full HD 1920×1080 59.94p/50p/24p/23.98p (連続最大30分まで) |
Full HD 1920 × 1080 60p/50p/30p/25p/24p (連続最大14分まで) | |
4K連写 | ◯ | × | |
4Kマルチフォーカス | ◯ | × | |
ハイスピード動画 | ◯ | × |
実際にX-A5で4K動画を撮影してみたものがあります。
かなりガクガクなのでどのようなシーンで使用したらいいのか迷うところ。
せめて24pあれば映画っぽい撮影ができるよ!といううたい文句ができるんですけどね。ですが、おそらくX-A5やXF10の4K動画機能は動画用途よりも4K連写やマルチフォーカス機能を使うためのものにあるのでしょう。
XF10の独自機能
XF10にしかない新機能も搭載されています。
スナップショット
あらかじめ焦点距離やピント範囲を固定することができる機能で2mと5mから設定することができます。
富士フイルムの2400万画素のベイヤーセンサーは像面位相差AFが内蔵されたとはいえX-Trans CMOS Ⅲセンサーと比較すると追従性能は良くないので、このようなスナップショットモードがあるのはいいかもしれません。
スクエア撮影
XF10は1:1のインスタグラム風のアスペクト比での撮影に対応。タッチパネルを使って簡単にスクエアモードに切り替えることができるようになっています。
スマホに撮影した写真を自動転送
X-A5とXF10はWi-FiとBluetoothに対応をしていますが、XF10は撮影中に写真を自動転送してくれる機能が搭載されています。
X-A5 | XF10 | X70 | |
Wi-Fi | IEEE802.11b/g/n | × | |
Bluetooth | 4.1 | × | |
自動転送機能 | × | ◯ | × |
これは本当に便利そうな機能ですが、XF10はスクエア撮影や自動転送に対応するなどスマホとの相性が高いといっても良さそうです。本当に気軽に写真を楽しむためのカメラ。そんな感じですね。X-A5にもファームウェアアップデートで搭載して欲しい。
XF10はどんな人が買うべき?
とにかく小さいカメラが欲しい
XF10は現行のFUJIFILM Xシリーズのカメラの中で最小最軽量となっているので、とにかく小さくて軽くて持ち運びが楽なカメラが欲しいならXF10を選ぶべきでしょう。
このコンパクトボディにAPS-Cのイメージセンサーを搭載したカメラはそんなに多くないですしね。
チルト液晶の有無について
X-A5とX70はチルト液晶を搭載しているので撮影の幅はかなり広くなっています。例えば、猫や犬を下アングルから撮影するときなどチルト液晶があるのとないのでは撮影のしやすさが全然違います。
しかし、XF10はチルト液晶は非搭載で普通のタッチパネル付きの液晶を搭載しており、もしX70でこだわった写真を撮影していたユーザーがXF10に乗り換えてしまうと今まで撮影できていたものが撮影できなくなってしまう…かもしれません。
なので、チルト液晶をよく利用するユーザーの方は必然的にXF10は選択肢から外れてしまうことになります。逆にいうとX70を使っていた方でもチルト液晶を使っていなかったのであればXF10に乗り換えてしまってもいいのかもしれません。
- チルト液晶を使いたい → X-A5
- チルト液晶はいらない → XF10
どちらかというとXF10はX-A5のターゲット層と近いのではないでしょうか。だからこそX-Trans CMOS Ⅲセンサーではなくベイヤーセンサーを搭載しているのでしょう。
スマホカメラからステップアップしたい人
XF10はX70の後継機ではなく今までスマホカメラで撮影していたユーザーが気軽にXF10を使って撮影して簡単にSNSにアップするためのライトなユーザーをターゲットにしたカメラだと思います。
なので、スマホで写真をよく撮影している方で「少しでも綺麗な写真を撮りたい!」、「インスタ映えする写真を撮りたい!」と思っている方はXF10は最高のカメラになるのではないでしょうか。なによりも自動で写真がスマホに転送されるのは本当に便利な機能だと思います。
同じ価格で買えるX-A5の方がいいのでは?
XF10はX-A5のレンズキットとほぼ同じ価格となるようで10万円近くしたX70と比べるとかなりリーズナブルなカメラとなっています。
- X-A5レンズキット(XC15-45mm):約58,000円
- XF10:約60,000円
どちらのカメラも同じ価格なら「レンズ交換をすることができるX-A5の方がよくない?」「チルト液晶が付いているX-A5の方がよくない?」「簡単にズームできるX-A5の方がよくない?」と思ってしまいます。
すでにミラーレスカメラのX-T2やX-H1などのメインカメラを持っているならXF10は気軽に撮影することができるサブカメラとして1台持っていてもいいのかもしれませんが、初心者の方で少しでもカメラに興味があるのなら、気軽にステップアップできるFUJIFILM X-A5のほうがおすすめです。
X-A5って評価低いみたいだけどもっと評価されていいと思うんですよね…。コンパクトなのに画質めちゃくちゃいいしとっても使いやすくていいカメラなんだけどな。
https://sin-space.com/entry/xt100-xt20-xa5-spec-hikakuなお、後継機種のFUJIFILM X-A7はレスポンスが向上してかなり使いやすいミラーレスカメラに進化しています。
富士フイルムの色が欲しいならX-T30やX-T4を選ぶのがいいでしょう。
Xマウントのレンズはこちら。
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