富士フイルムがミラーレス一眼のFUJIFILM X-T3が正式発表し2018年9月20日に発売しました。
X-T3はイメージセンサーが「APS-Cサイズ裏面照射型X-Trans CMOS 4」に、プロセッサが「X-Processor 4」に刷新した新世代のXシリーズミラーレス一眼カメラとなっています。
ここでは、X-T3はX-T2/X-H1からなにが進化したのか違いを徹底比較しX-T2やX-H1から乗り換えるべきなのかを書いているのでX-T3を検討している方は参考にしてください。
この記事の目次
X-T3・X-T2/X-H1 デザイン・サイズの違いを比較
X-T3はX-T2とほぼ同じデザインとなっており、サイズは少しだけ大きくなっていますが誤差範囲といっていいかも。重量も少しだけ重くなっていますが両手に持って比べても分からないレベルなのではないでしょうか。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
サイズ | 132.5 × 92.8 × 58.8 mm(最薄部 35.4mm) | 132.5 × 91.8 × 49.2 mm(最薄部35.4mm) | 139.8 × 97.3 × 85.5 mm(最薄部39.5mm) |
重量 | 約539g | 約507g | 約673g |
構造 | 防塵・防滴・耐低温 |
本体の厚みが49.2mmから58.8mmと1センチほど大きくなっていますが、これはEVFがX-H1のものに変更されたことでEVF周辺の寸法が少しだけ大型化した影響のようです。
グリップ形状はほとんど変わっていませんが、数ミリ単位で形状が少しだけ変更されているようです。
X-T3とX-T2の上からの画像を並べてみましたが、少しだけ形状が変わっているように見えますが、小指にあたる部分がX-T2よりも持ちやすく改善されているようです。
X-T3は最初からシルバーモデルがあります。カッコいいい。
X-T2はグレーのかかkったグラファイトシルバーでしたがX-T3は明るいシルバーになっています。雰囲気としてはX-T20やX-E3のシルバーモデルと同じ色合いとなっているようです。
X-T3のデザインやボタン配置はX-T2とほぼ同じです。
上部のダイヤルの形状が少し変更になっており、上のダイヤルと下のダイヤルの幅が変わっています。これは良い変更点。X-T2の下部分のダイヤルは少し操作性が悪かったので幅が広くなったことで回しやすくなってそうですね。
あと、X-T3からは中国生産になったということでMADE IN JAPANの文字がX-T3から消えてしまいました。ちょっと残念ではありますが、品質には特に問題はないと思われます。
X-T3・X-T2/H1のスペック・性能の違い
富士フイルムのミラーレス一眼はX-H1を頂点に豊富なラインナップとなっています。(X-T4が発売したことで2020年現在はX-T4がフラグシップモデルとなっています。)
- X-T4、X-H1:ボディ内手振れ補正内蔵の一眼スタイルのフラグシップモデル
- X-T3:一眼スタイルのフラグシップモデル
- X-Pro2:レンジファインダースタイルのフラグシップモデル
- X-E3:レンジファインダースタイルのエントリーモデル
- X-T20:一眼スタイルのエントリーモデル
- X-T100:一眼スタイルの低価格モデル
- X-A5:コンパクトモデル
X-T4、X-H1がXシリーズの最高峰モデルとなりますが、X-T3が新世代のイメージセンサーとプロセッサを搭載したことで基本性能はX-H1よりもX-T3のほうが上という逆転現象が起きています。
X-T3は、X-H1と旧モデルとなったX-T2でどれくらいの性能差があるのかスペックを見ていきましょう。
イメージセンサー・プロセッサを比較
X-T3は新世代のAPS-Cセンサー・X-Trans CMOS 4が搭載し画素数が2430万画素から2610万画素に少しだけ高画素化されています。このイメージセンサーはX-T4にも採用されているものとなっています。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
イメージセンサー | APS-Cサイズ X-Trans CMOS 4 (ローパスフィルターレス) |
APS-Cサイズ X-Trans CMOS Ⅲ (ローパスフィルターレス) |
|
画素数 | 約2610万画素 | 約2430万画素 | |
プロセッサ | X-Processor 4 | X-Processor Pro | |
ボディ内手ぶれ補正 | なし | あり 最大5軸5.5段 |
X-Trans CMOS 4は裏面照射型CMOSセンサーになり従来の表面照射型よりもS/N比が良くなりノイズの少ない解像度画質を実現し常用ISOがISO160になっています。
ノイズの少ない裏面照射型センサーは高感度にも強くなっており従来のセンサーよりもシャッタースピードをかせぐことができ手ブレも起きにくいのでボディ内手ぶれ補正がないX-T3にとっては最高のイメージセンサーといってよさそうです。
また、映像エンジンとなるプロセッサ・X-Processor 4はクアッドコアプロセッサとなり従来比で約3倍の処理速度を実現しています。ついにカメラの映像エンジンもクアッドコアの時代。
処理速度が大幅に向上して4K60Pの動画撮影に対応しています。
シャッター・露出・オートフォーカスを比較
X-T3は像面位相差エリアが画面全域で対応しAF-S/AF-Cともに425点の測距点となり、X-Trans CMOS 4の位相差画素数が4倍となる216万画素に増えたことで実現しています。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
AF測距点 | 425点(AF-S、AF-C) (AF/AEサーチ回数が1.5倍に) |
325点(AF-S) 91点(AF-C) |
|
低照度AF | EV-3.0EV | EV-1.0 | |
顔認識 | 強化された瞳AF・顔認識 (検出性能が2倍に向上) |
瞳AF・顔認識 | |
ISO | ISO160~12800(拡張ISO:80/100/125/25600/51200) | ISO200~12800(拡張ISO:100/25600/51200) | |
シャッター構造 | 普通のシャッター、プリ撮影機能に対応 | 普通のシャッター | フェザータッチシャッター、シャッター衝撃吸収構造 |
連写機能(メカニカルシャッター) | 約11コマ/秒 | 約8コマ/秒 | |
連写機能(電子シャッター) | 約30コマ/秒(ブラックアウトフリー) | 約14コマ/秒 | |
シャッタースピード | メカニカル:4秒〜1/8000秒 電子:4秒〜1/32000秒 |
低照度AFの性能もEV-1.0からEV-3.0に大幅に向上し暗いところでもピントが合うように進化しています。Canon EOS RのEV-6.0には及びませんがけっこう頑張っているのではないでしょうか。
X-T3はアルゴリズムの改善とプロセッサの強化により瞳AFと顔認識が強化されており、さらにX-T3はAF-Cモードでも瞳AFを使うことができるようになり、横顔でも正確に追従することができるようになっています!これはめちゃくちゃ嬉しい!これだけでX-T2からX-T3に乗り換えてもいいくらいかも!
X-T3の顔認識と瞳AFの動作を撮影した動画あります。
顔認識の追従速度はX-T2と比べてかなり高速化されているように感じます。またAF-Cモードでも瞳を追従することができるのはかなり使い勝手がよくなっていそうな感じですね。
さらにX-T3は連写機能も強化されスポーツシャッターモードを使うことでブラックアウトフリーで30コマ/秒(1660万画素/1.25倍クロップ)の超高速連写が可能となるので運動会などの激しい動きのシーンを撮影するときに活躍することになりそうです。
フィルムシミュレーションの違いを比較
X-T3のフィルムシミュレーションにX-H1で追加されたETERNA/シネマが追加されます。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
フィルムシミュレーション | 16モード(ETERNA追加) | 15モード | 16モード(ETERNAが追加) |
その他 | カラークロームエフェクトを搭載 | – | – |
さらにGFX50Sにしか搭載されていなかったカラークロームエフェクトも追加されます。
FUJIFILM X-T3の発表がありました
正直、APS機としては異次元の性能です。フルサイズを凌駕するような内容です
何より、今までGFXだけにしか搭載されていなかった
カラークロームエフェクトが搭載!
こちらの作品は、カラークロームエフェクト(強)で撮影
ぜひ、御覧ください#FUJIFILM#XT3 pic.twitter.com/AgMKmiivAV— HASEO@FERMATA展7日~18日 (@haseo0409) 2018年9月6日
カラークロームエフェクトは彩度が高くて階調表現が難しい被写体でも深みのある色再現をすることができるモードです。
動画性能の違い
X-T3の動画性能についてですがついに4K/60p、4:2:0 10bitの記録に対応しました。X-Processor 4はクアッドコアCPUになったことでかなり性能が高いプロセッサになったのでしょうね。まさか4K/60Pに対応するとは。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
動画性能 | 4K/60p 200Mbps 連続最大30約分まで |
4K/30p 100Mbps 連続最大約10分まで |
4K/30p 200Mbps 連続最大約15分まで |
EVF | 4:2:0 10bit(内部) 4:2:2 10bit(外部) F-log、ゼブラ |
4:2:0 8bit(内部) 4:2:2 8bit(外部) F-log |
さらにiPhoneなどの動画規格にも採用されていて高い圧縮効率を誇るH.265/HEVCにも対応して保存データを今までよりも小さくすることも可能になっています。4K動画はどうしても保存データ量が大きくなってしまうので、少しでも圧縮率が高くなるのは助かります。
X-T3はボディ内手ぶれ補正を搭載していないので手ぶれ補正機能が付いているレンズを使うかジンバルを使わないと動画撮影はかなり厳しいですが4K/60Pを気軽に撮影できるようになったのは大きな進化といえそうです。
液晶とEVFの違い
X-T3の液晶モニターはタッチパネル内蔵式の3インチの3方向チルト式となっており画素数は104万ドットと据え置きとなっています。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
液晶 | 3インチ 3方向チルト式 タッチパネル 約104万ドット |
3インチ 3方向チルト式 約104万ドット |
3インチ 3方向チルト式 タッチパネル 約104万ドット |
EVF | 0.5型有機EL 369万ドット 倍率:0.75 |
0.5型有機EL 236万ドット 倍率:0.77 |
0.5型有機EL 369万ドット 倍率:0.75 |
電子ビューファインダーはX-H1に採用されていたものと同じEVFとなりX-T2の236万ドットから369万画素に高画素化されているのでより綺麗で滑かな表示確認をすることができるようになっています。なお、表示タイムラグは0.005秒、表示フレームレートは100フレーム/秒と同じです。
通信とポートの違い
X-T3はUSB-Cポートに対応したので、USB-Cケーブルを使ってMacBook Proに直接接続して画像の転送をすることができるようになりました。また、USB-Cは給電にも対応しているのでバッテリー充電器を使わずに直接充電をすることも可能となっています。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
ワイヤレス | Wi-Fi(802.11b/g/n) Bluetooth4.2 |
Wi-Fi(802.11b/g/n) | Wi-Fi(802.11b/g/n) Bluetooth4.0 |
入出力端子 | USB3.1 C-Type、HDMIマイクロ端子(Type D)、ø3.5mmステレオミニジャック(マイク用)、φ2.5mmリモートレリーズ端子 | USB3.0 マイクロB端子、HDMIマイクロ端子(Type D)、ø3.5mmステレオミニジャック(マイク用)、φ2.5mmリモートレリーズ端子 | |
記録媒体 | デュアルSDカードスロット UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ対応、ビデオスピードクラスV90対応 |
デュアルSDカードスロット デュアルカードUHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ対応 |
ワイヤレス通信はBluetoothとWi-Fiに対応しており、カメラアプリ経由で画像を転送することもできます。Bluetoothのバージョンが4.0から4.2になったのでワイヤレス通信の消費電力は少なくなっているのでアプリの連携機能をよく使っている人にはうれしいアップグレードといっていいでしょう。
バッテリー駆動・撮影枚数の違い
X-T3のバッテリーパックは引き続きNP-W126Sが採用しており、現在のXシリーズ共通となっています。
モデル | X-T3 | X-T2 | X-H1 |
---|---|---|---|
標準撮影枚数 | 390枚 | 340枚 | 310枚 |
バッテリー型式 | NP-W126S |
バッテリーパックは同じですが、X-T3は基本性能を向上しながら撮影可能枚数を50枚ほど伸ばしてきています。X-Processor 4は高性能なのに省電力も意識したプロセッサになっているということなのでしょう。
ミラーレスカメラにとってこの50枚の差は結構大きいですよね。ということは次期X-H2は360枚くらいに撮影可能枚数が増えることになるのかな?
X-T3の端末価格
2020年現在はX-T4の発売によって、X-T3、X-H1、X-T2ともに価格が安くなって安く手に入れることが可能となっています。
- X-T3 ボディ:約16万円
- X-T2 ボディ:約7万円(中古)
- X-H1ボディ:約8万円(中古)
X-T4は21万円くらいですが、X-T3なら16万円くらいで買うことができます。X-H1なら中古で8万円以内で買うこともできます。ボディ内手ぶれ補正のカメラが10万円以内で手に入れることができるのは安すぎですよね。
X-H1、X-T2でも十分すぎるキレイな写真を撮影することができますし、正直なところX-T4で撮影した写真を並べてもX-H1と撮影した写真と区別つかないと思います。
X-H1の中古はほんとにいいと思います。ミラーレスカメラの入門におすすめです。
X-T3を選ぶメリットは?
X-T3とX-T2は見た目はほぼ同じですが、中身は全く違うものになっています。個人的に気になった新機能はこんな感じです。
- X-Trans CMOS Ⅲ → X-Trans CMOS 4で画質向上
- 像面位相差AFが全面エリアに対応し速度向上
- AF-Cモードで瞳AFに対応し動き回る子どもをバチっと撮影できる
- カラークロームエフェクトを搭載している
- 4K/60Pの動画撮影に対応している
- USB-Cポートに対応しデータ転送が簡単にできる
AF-Cモードで瞳AFに対応したのはかなり嬉しいですねー。いつもAF-Sで素早くシャッターを切るよう頑張ってたけど、X-T3ならAF-Cを普段使いでいけそうですね。
X-T2からX-T3に乗り換えるべき人は?
X-T3はX-T2を正統進化させたモデルとなっており、イメージセンサーとプロセッサが新世代のものに置き換わったことで画質がワンランク良くなりました。
さらに、オートフォーカスの速度が向上したことでより快適に撮影することが可能となっています。
とくにオートフォーカスの精度が良くなったので風景よりも動体撮影をすることが多いならX-T2からX-T3に乗り換えるはかなりいいですね。子どもの瞳をしっかり捉えてピントを合わせてくれるのでとても使いやすいです。
X-H1からX-T3に乗り換えるべき人は?
ボディ内手ぶれ補正を搭載しているX-H1ユーザーにとってX-T3への乗り換えはちょっと考えてしまいますよね。
確かにX-H1の手ぶれ補正を体験してしまうと手ぶれ補正なしに戻れないですし、レンズ内手ぶれ補正が付いていないXF16-55mmF2.8をメインで使っているとなおさらボディ内手ぶれ補正のないX-T3に行くのは厳しいです。
普段の使用シーンを振り返ってみるのがいいかもです。
例えば、手持ちによるブツ撮り、夕暮れから夜に撮影することが多く動画撮影をすることが多いならボディ内手ぶれ補正のあるX-H1の方が向いています。
もし、昼間をメインに使っていて子どもの写真など人物撮影で使うならX-T3の方がいいかもですね。
- 室内や夜間撮影が多い → X-H1
- 動画撮影をする → X-H1
- 昼間の撮影が多い → X-T3
- 子どもを撮影することが多い → X-T3
X-T3はAF性能が向上しAF-Cで瞳AFを使うことができるので子どもを撮影するには最適なカメラ。感覚的に肌の質感もX-H1よりもX-T3の方が上のように見えます。
どうしても手ぶれが気になるなら手ぶれ補正付きのレンズを使うことで解決することができます。
X-T3はこれからの新世代Xシリーズのベースとなるモデルなので、基本的にX-H1を持っている方はボディ内手ぶれ補正に対応したX-T4を選ぶのがいいでしょう。
X-T3のレビューはこちらです。
ボディ内手ぶれ補正を搭載しているX-H1はこちらです。
Xレンズについてはこちらです。
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