2021年のハイエンドのAndroidスマホはSnapdragn 888を採用するモデルが多く登場することになりますが、スコア上の性能は確かに向上しています。
実際の性能については少し疑問を感じざるを得ないので、Snapdragon 888を搭載しているGalaxy S21とSnapdragon 865を搭載しているGalaxy S20の性能と発熱について比較してみました。
ちなみに、Galaxy S21は背面パネルはプラスチック素材、Galaxy S20はガラス素材を採用しているため排熱性能がおそらくGalaxy S21の方が弱いです。単純なスナドラ対決にはなっていないのはご了承ください。
この記事の目次
Snapdragon 888・865のスペック比較
Galaxy S21のSnapdragon 888とGalaxy S20のSnapdragon 865のスペックを比較しました。
Snapdragon 888 | Snapdragon 865 | |
CPU | 1× Coretex-X1 @2.84GHz 3× Coretex-A78 @2.42GHz 4× Coretex-A55 @1.8GHz |
1× Coretex-A77 @2.84GHz 3× Coretex-A77 @2.42GHz 4× Coretex-A55 @1.8GHz |
GPU | Adreno 660 | Adreno 650 |
NPU | Hexagon 780(24TOPS) | Hexagon 698(15TOPS) |
RAM | 8GB 3200MHz LPDDR5 | 8GB 2750MHz LPDDR5 |
Process | 5nm | 7nm |
端末の構造によって放熱性能が異なるので単純に性能比較はできませんが、同じGalaxyシリーズということで、今回はこの2機種の性能と発熱の違いを比較しております。
Snapdragon 888・865の性能
Geekbench 5
Snapdragon 888と865の性能の違いをGeekbench 5でCPUの性能を比較してみました。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
シングルコア | 1123 | 900 |
マルチコア | 3438 | 2994 |
Snapdragon 888は超高性能のCPUコア(1コア)がCoretex-A77 → Coretex-X1になったことでシングルコアが900から1123と25%ほど性能が向上しています。マルチコア性能も高性能のCPUコア(3コア)がCoretex-A77 → A78となり2994 → 3438と15%ほど性能が向上しているようです。
GPUの性能はこんな感じです。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
OpenCL | 4649 | 3209 |
GPUはAdreno 650 → 660になったことでOpenCLの性能が3209 → 4649と40%ほど向上しているのがわかります。CPUよりもグラフィックの性能が大きく向上している感じでしょうか。
Antutu
Antutuでトータルの性能を比較してみました。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
総合 | 661576 | 572263 |
CPU | 186113 | 167659 |
GPU | 268403 | 217844 |
MEM | 116785 | 96332 |
UX | 90275 | 90428 |
CPUの性能が10%ほど、GPUの性能が25%ほど向上しているようです。全体的な性能としては15%〜20%向上している感じでしょうか。ただ、Snapdragon 888は性能が安定しないのか場合によっては50万点になったり、70万点になったりします。
実際の動作速度
ブラウザの動作、Twitter、YouTubeなどのSNSについてはどちらのモデルも快適に使うことができます。実際に動作を同時に比較してみましたがどちらも動作速度は同じなので違いを判別することはできません。
実際に動作を比較している動画はYouTubeでご確認ください。
言い換えるならSnapdragon 865を搭載しているGalaxy S20の性能があれば十分に快適に使うことができるということです。どちらも120Hzのリフレッシュレートに対応しているので気持ちよく操作することができます。
ゲームの動作に関してもPUBGモバイルで比較してみましたが違いを感じることはできませんでした。
どちらも画質FHD、フレームレートをウルトラまで、HDRに設定した場合はフレームレート極限まで設定することができます。どちらも画質と動作の滑らかさに感じることができないので同じようにプレイすることができるでしょう。
発熱の違いについて
Snapdragon 888とSnapdragon 865で発熱の違いをAntutuの温度計測機能で確認をしてみました。端末によって放熱性能が異なるので一概に比較はできないですが、同じ6.2インチの画面サイズを搭載したGalaxyとの比較なので近い環境での比較となっています。
PUBGモバイル
こちらはPUBGモバイルを10分ほどプレイした時のCPUとバッテリーの温度を比較したものとなっています。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
CPU温度 | 40.9℃ | 41.4℃ |
バッテリー温度 | 35.6℃ | 36.3℃ |
ゲームプレイ時の発熱はGalaxy S20よりもGalaxy S21の方が抑えられている感じとなっています。グラフィック性能が向上しているので処理に余裕があるのかもしれません。
写真撮影時
カメラで撮影するとどれくらい発熱をするのか試してみました。2、3枚撮影するくらいなら違いは出てこないので20枚連続で撮影した時にどれくらい発熱に差が出るのかを比較してみました。
平常時の温度はこんな感じ。
カメラアプリを起動して20枚連続で写真を撮影します。
20枚撮影してからAntutuの温度モニターをチェックしてみた結果…
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
CPU温度 | 39℃ | 34℃ |
バッテリー温度 | 26.3℃ | 25℃ |
CPUの発熱が5℃ほどの差が出ており、Galaxy S20は34℃に抑えられているのに対してGalaxy S21は39℃となっています。
実際に連続してカメラで写真撮影をしていると明らかにGalaxy S21の方が本体が熱を持つので「大丈夫かな…?」って心配になってしまいます。
4K動画を撮影
次にリアカメラで4K60fps動画撮影を5分ほど回してみました。
5分撮影後直後に温度モニターを確認してみました。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
CPU温度 | 50.6℃ | 43.0℃ |
バッテリー温度 | 39.7℃ | 37.1℃ |
Snapdragon 865は43℃くらいなのに対してSnapdragon 888は50.6℃まで発熱しています。とても熱いです。手で持ってみてもかなりの熱を感じてしまいます。
この検証はYouTubeでもしているのですが、その時はSnapdragon 888が55℃、Snapdragon 865が50℃ほど温度となっていました。前回の方が温度が高い理由としては前回はGeekbench 5、Antutuのスコア計測後に続けて検証をしたため温度が上がりやすくなっていたものと思われます。
いずれにしてもSnapdragon 888を搭載しているGalaxy S21は熱を持ちやすい端末になっているといっていいかもしれません。
CPUの速度を70%に制限した場合
GalaxyシリーズはCPUの速度を70%に制限することができる省電力モードを搭載しています。Galaxy S21のCPUの速度を70%に制限して性能と発熱を確認してみました。
せっかくの高性能なSoCを70%に制限して使うのはちょっと勿体無いような気もしますが。同じようにリアカメラを起動して4K60fpsで動画撮影をしてみました。
Galaxy S21(CPU70%制限) | Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 | |
CPU温度 | 47.1℃ | 50.6℃ | 43.4℃ |
バッテリー温度 | 36.4℃ | 39.7℃ | 33.3℃ |
CPUを制限する前は50℃を超えてましたが、CPUの性能を70%制限することで温度が3℃も下げることに成功です。CPUを制限したとしてもレスポンスが落ちるということはないようです。
動画撮影を長時間撮影するときなどは性能を制限して使った方がもしかしたらいいのかもしれませんね。
Rushで動画を書き出し
スマホで動画編集をすることは少ないのかもしれませんが、簡単な動画ならスマホでぽちぽちとタッチ操作で編集した方が簡単な場合もあります。ということで、AdobeのRushという動画編集アプリを使って動画の書き出しをしてみました。
Galaxy S21(2回目:CPU70%制限) | Galaxy S21(1回目) | Galaxy S20(2回目) | Galaxy S20(1回目) | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 | ||
書き出し速度 | 7分22秒 | 7分56秒 | 5分45秒 | 5分32秒 |
CPU温度 | 44.5℃ | 50.6℃ | 38.7℃ | 37.6℃ |
バッテリー温度 | 34.0℃ | 39.7℃ | 32.8℃ | 37.2℃ |
なんと、CPUの性能を70%制限した方が書き出し速度が7分56秒 → 7分22秒と速くなりました。CPUの温度も50.6℃ → 44.5℃と5℃も下がってます。つまり、熱によって自爆していたということなのかもしれません。
それでもGalaxy S20のSnapdragon 865の書き出し速度には及んでいないのはちょっと残念過ぎますが…。
ただし、Galaxy S21は背面パネルがプラスチック素材となっていてガラス素材を採用しているGalaxy S20よりも排熱性能が弱い可能性があります。熱くなった筐体が冷めるのがGalaxy S21の方が遅かったりするので筐体の素材を変更したことによる弊害となっているのかもしれません。
本来ならGalaxy S21+とGalaxy S20+で比較した方が良かったのかもしれません。ただ、価格の安い無印のGalaxy S21を買う方が多いかと思うのでこの2機種で比較をしてみました。参考になれば何よりです。
電池持ちはあまり変わらない
Snapdragon 888を搭載しているGalaxy S21の方が発熱するということはバッテリーの減りが速いのでは?と思うかもしれませんが、そんなに差はありませんでした。
Galaxy S21 | Galaxy S20 | |
SoC | Snapdragon 888 | Snapdragon 865 |
PUBG30分プレイ | 13%消費 | 13%消費 |
動画5分間撮影(フルHDスーパー手ぶれ補正ON) | 5%消費 | 3%消費 |
動画5分間撮影(4K60P) | 2%消費 | 3%消費 |
写真撮影(20枚) | 5%消費 | 4%消費 |
つまり、発熱するだけで使い勝手はそんなに違いはないということ。熱くなるかもしれないけど普通に使えるかと思います。CPUの温度が50℃を超えて熱くなったとしてもブラウザやSNSの動作が遅くなることはありません。
動画の書き出し速度が遅くなるだけです。スマホで動画編集しないですよね?
また、ゲームに関しては発熱はGalaxy S21の方が抑えられているので(プレイするゲームによるかもしれないですが。)ゲームをすることが多いならGalaxy S20よりS21の方がいいのかもしれません。
また、Snapdragon 888は5Gモデルに関する機能を内蔵しています。Snapdragon 865は外部チップとなっていたため5G通信における電力効率はSnapdragon 888の方が上になってるはずです。
5Gエリアで通信することが多いのならSnapdragon 865の Galaxy S20よりも Galaxy S21の方が発熱が抑えらえれて電池持ちが良くなる可能性はあるでしょう。
[…] こちらはYoutubeにも動画をあげていらっしゃるかずやさんのブログ(Sin-Space)の記事である。 […]