ソニーの完全ワイヤレスイヤホン・LinkBuds S(リンクバッズ エス)の「LinkBuds」の名前に聞き覚えのあるしれませんが、イヤホンに穴が開いたリングドライバーを搭載したLinkBudsの派生モデルが「LinkBuds S」です。
後継モデルではなくあくまで兄弟的な位置付けでリングドライバーは搭載せずにLinkBuds Sは一般的なカナル型のイヤホンとなっています。
この記事ではSony LinkBuds Sのデザイン・音質・使いやすさをレビューしています。実際に使ってどうなのかメリット、デメリットも書いてるので購入を検討してる方は参考にどうぞ。
- イヤホン本体が小型で軽い
- 自然な装着感で長時間使用も大丈夫
- ノイズキャンセリングで騒音を低減
- 自然な外音取り込み機能を搭載
- 高音質コーデック LDACに対応
- LE Audioでゲーム遅延を低減
- IPX4で雨や汗で少し濡れても大丈夫
- 「デバイスを探す」に対応(Android)
- ワイヤレス充電(Qi)に対応していない
- マルチポイント非対応(マルチペアリング対応)
- LE audio ⇄ LDAC 切り替えが手間
LinkBuds Sの端末価格は26,400円とLinkBudsの23,100円よりも少し価格アップしていますが、WF-1000XM4の33,000円との隙間を埋めるラインナップとなります。
この記事の目次
LinkBuds Sの特徴
- カナル型の小型完全ワイヤレスイヤホン
- 5mmドライバー + 統合プロセッサーV1
- ノイズキャンセリング + 外音取り込み機能
- Headphonesアプリ、Auto Playアプリに対応
- イヤホンをタップで操作可能(割り当て変更可)
- 電池持ち(ACNオン):6時間(ケース併用 20時間)
- 電池持ち(ACNオフ):9時間(ケース併用 30時間)
- Bluetooth:5.2、コーデック:SBC / AAC / LDAC
- 充電:USB-C、ワイヤレス充電非対応
- 防水規格:IPX4(雨・汗に濡れても使える)
- 充電ケース:57 × 41 × 26 mm
- ケース重量:42g、イヤホン重量:4.8g(片耳)
- 端末価格:26,400円
- 発売日:2022年6月3日
Sony LinkBuds Sはカナル型の耳にねじ込むタイプの完全ワイヤレスイヤホンです。
え?「LinkBuds」という名称なのにカナル型なの?
…って思ってしまいますが、LinkBudsは「ながら聴き」を重視、LinkBuds Sは「ながら聴き」も「ハマり聴き」もスムーズに切り替えて使うことを目指したイヤホンです。
軽量で自然な外音取り込みが出来てずっと付けてることを意識したという意味では方向性は同じ…?
物理的に穴がないLinkBuds Sは耳の中が蒸れたり痒くなったりすることは避けられないですが、自然な付け心地をカナル型の中で追求したということでしょう。
WF-1000XM4と同じ統合プロセッサーV1を採用し音質はそれなりに良くて、小さいイヤホンながらWF-1000XM3と同等レベルのノイズキャンセリング機能を搭載しています。
LinkBuds Sはとても小さいイヤホンでカナル型ですが装着感はとても自然でWF-1000XM4のように「付けてます!!」みたいな感覚は少なめで軽く使えます。
名称がLinkBuds SなのでLinkBudsの強いインパクトに引きずられてしまいますが、単純にWF-1000XM4の小型モデルとして見た方がいいかもしれません。
Sony LinkBuds S レビュー
では、LinkBuds Sのレビューをしていきます。
パッケージと付属品
LinkBuds Sのパッケージは環境に配慮しプラスチックではなく全て紙で作られています。
コンパクトに同梱物が収められています。
同梱品はとても短いUSB A to Cケーブル・説明書、イヤーチップとなっています。
LinkBuds Sは充電アダプタが付属しませんが、iPhoneなどスマホの電源アダプタから付属のUSB-A to Cケーブルから充電可能で、PD充電対応なのでモバイルノートPCのUSB-Cポートからの充電も可能です。
もし、充電アダプタが必要ならスマホと同時充電ができるUSB-Cポートを2つ搭載しているAnker 521 Chargerを使うのがいいでしょう。
USB-C to CケーブルはAnker PowerLine III Flowが絡まらないのでおすすめです。
LinkBuds Sの充電ケース
Sony LinkBuds Sの充電ケースはマット調の丸みのあるスタイルで、本体サイズは(57 × 41 × 26 mm)、重量は約42gとなっています。
エンボス加工が施されて少しザラついた素材になっていて充電ケースの持ち心地は良好です。とてもコンパクトな充電ケースなので持ち運びもしやすい充電ケースになっています。
LinkBuds、LinkBuds S、WF-1000XM4の充電ケースの大きさを比較してみました。いずれのモデルも自立して置くことができます。
LinkBuds SはWF-1000XM4よりも少し小さい大きさで形状もかなり似てるのが分かりますね。こうやって見るとほんとにWF-1000XM4の小型版です。
今後、ソニーのワイヤレスイヤホンはLinkBudsという名称・ブランドを使っていく可能性はありそう。LinkBudsのリング型、カナル型普及モデル、カナル型ハイエンド。みたいな。
LinkBuds Sの充電ポートはUSB-Cとなっています。
USB-Cポートの隣にリセットボタン(Bluetoothのペアリング再設定の時に使う)を搭載しています。
なお、LinkBuds Sはワイヤレス充電には対応していません。2.6万円の価格で対応していないのは残念ですが充電ケースを小さくすることを重視した…のかもしれません。
LinkBuds SはiPhoneのバッテリーウェジェットからケースとイヤホンの電池残量を細かく確認が可能です。
SonyのXperiaならサイドセンスから電池残量を確認できます。
電池残量だけでなくノイズキャンセリングの設定やイコライザーの設定もウェジェットから変更が可能となっているのでXperiaとの相性はいいです。
Sony LinkBuds Sの最大再生時間はノイズキャンセリング機能をONの状態でイヤホン単体6時間・ケース併用20時間です。
ケース併用で20時間は少し短いかもしれないですね。ノイズキャンセリング機能をOFFにすれば単体9時間・ケース併用30時間のロングバッテリーとなります。
LinkBuds S 本体デザイン
LinkBuds Sの充電ケースの蓋を開くとイヤホン本体がこのように収まっています。
本体カラーはエクリュ、ブラック、ホワイトの3色から選ぶことができます。新色のエクリュは淡い感じの色で良さそうですね。
ドライバー部分が内向きに収まってるのでイヤホンを取り出してそのまま方向転換せずに耳に装着できるので持ち直すことなく自然に装着ができます。
LinkBuds Sはとてもコンパクトな大きさのイヤホンです。
軽くて小さいので取り扱いに少し注意が必要かもしれないですね。
イヤホン本体もエンボス加工が施されていてマット調の落ち着いた雰囲気のデザインとなっています。ヘッド部分とタッチセンサーのある部分でツートンカラーになってるのがいい感じです。
イヤホン本体のソニーのロゴがある表面にタッチセンサーがあるので指をポンと当てるだけで操作することも可能となっています。
- 左1回:ノイズキャンセリング / 外音取り込み
- 左押してる間:クイックアテンション
- 右1回:再生 / 一時停止
- 右2回:次の曲に進む
- 右3回:前の曲に戻る
- 右長押し:音声アシスタント
クイックアテンションは長押ししてる間は音楽の音を小さくしてくれるので、突然話しかけられたりしたとしてもイヤホンを外すことなく会話することもできます。
また、スピーク・トゥ・チャットを有効にしておくと話し出すだけで音楽をストップして会話もできます。
ただし、咳をしたり独り言をしても反応し音楽が止まるので感度は設定で「低」にしておいた方がいいかもしれません。
IPX4の防水仕様で雨に打たれても大丈夫
LinkBuds SはIPX4の防水規格に対応しています。
- あらゆる方向から水の飛沫に対して耐えられる
- 小雨、汗などに耐えることができる
IPX4は水の飛沫による保護なので雨に濡れたり、汗をかいても問題なく使えるのでトレーニングで汗をかいたり、雨に打たれてしまっても壊れる心配はありません。
LinkBuds Sの装着性と付け心地
Sony LinkBuds Sは一般的なカナル型の耳にねじ込んで装着するタイプのイヤホンとなっており、イヤホンの重量は片耳4.8gで両耳合わせても10gを切る軽さとなっています。
LinkBuds SはWF-1000XM4の小型バージョンのような形状で、LinkBudsはリングドライバーを搭載した開放型で全く形状が異なっています。
イヤーチップのあるイヤホンでWF-1000XM4はウレタン素材でしたが、LinkBuds Sはシリコン素材のイヤーチップとなっています。
最初から取り付けられているのはMサイズとなっており、他にもSS、S、LLの計4サイズのチップから自分の耳に合うサイズを選んで使うことができます。
LinkBuds Sはとてもコンパクトで軽量化されているワイヤレスイヤホンなので装着感は自然です。
カナル型イヤホンなので多少の密着感はあるものの、WF-1000XM4と比べても自然なつけ心地で長時間使っていても耳が疲れにくくなかなかいい感じですよ。
安定感も高くランニングをしたりジムで運動してもLinkBuds Sが耳からすっ飛んでいくことはなかったです。普段使いのイヤホンとしては使い勝手いい、バランスの取れたイヤホンになってそうですね。
ノイズキャンセリング機能を搭載
LinkBuds Sは二つのマイクを使って騒音をかき消すノイズキャンセリング機能を搭載しています。
ノイズキャンセリングの効きはWF-1000XM3と同等レベルで、実際に比較してみてもWF-1000XM4には敵わない感じで、たしかにXM3と同等かそれよりも少し効きがいいレベルです。
とはいえ、しっかりと空調の音やロードノイズなど騒音をかき消して静かな環境を手に入れることができるので、小型軽量のイヤホンでここまでのノイキャン性能があれば十分使うことができます。
音質は良いがWF-1000XM4とは明らかに違う
LinkBuds Sの音質のレビューです。
- ドライバーサイズ:5mm
- 音声コーデック:SBC / AAC / LDAC
- Bluetooth:5.2
- 電池持ち:5時間(ケース込み30時間)
LinkBuds Sは新開発された小型の5mmドライバーで振動板の可動性を高めたハイコンプライアンスな振動板で小さいながらも豊かな低音を鳴らすことができます。
統合プロセッサはWF-1000XM4と同じ「V1」を搭載しています。
高いS/C比と低歪な特性を持ったD/A変換ができてクリアな音質を実現しています。
実際の音質としては、低音から高音まで解像感の高い音楽を楽しむことができます。LinkBudsはリングドライバーを採用していたこともあって、低音が出ないなど問題がありましたがLinkBuds Sはカナル型イヤホンなので音は普通に良いです。
また、高音質コーデックのLDACにも対応しているのでAndroidスマホを使ってるならハイレゾ音源をより高精細な音にして楽しむこともできます。
また、一般的なストリーミングの圧縮音源をアップスケーリングして良い音にしてくれるDSEE Extremeにも対応しているのでiPhoneからでも解像感の高いサウンドを楽しめます。
音質は普通に良いので、ものすごく音にこだわりがないのであればLinkBuds Sを選んで問題ないです。
ただし、純粋に音質の良さはWF-1000XM4が圧倒的に上でやっぱり全然違います。ハイエンドなワイヤレスイヤホンとの差別化はしっかりされてる感じがしますね。
WF-1000XM4は楽器の音、ボーカルの声の艶があってリアリティのあるサウンドで音の広がり方がLinkBuds Sよりもあるので音質を重視するなら間違いなくWF-1000XM4を選びましょう。
LinkBuds Sは専用アプリを使うことでイコライザー調整ができるので、少し物足りない音域があっても自分好みに細かく調整が可能です。
LinkBuds SはWF-1000XM4と比べると音質はどうしても劣ってしまうのでイコライザー調整で自分好みの音質にしてしまうのもいかもしれません。
AI技術で高品質な通話性能
LinkBuds Sはヘッドの外向き部分にマイクを一つ搭載し、さらに内側にもマイクを一つ搭載することで通話時の音質の向上を図っています。
外側マイクはメッシュ加工されて風切り音をできるだけ防ぐことができる構造になっており、さらにAI技術を使って人の声と環境ノイズを分離するフィルターアルゴリズムを5億サンプル以上で機械学習させたそうです。
実際にどれくらいの音質なのかボイスレコーダーで録音をしてみました。
風が強い日だったの風切り音が入っててもおかしくないのですが、声だけをしっかり汲み取って音声にできてるようです。
外音取り込みの音質もとても自然
LinkBuds Sは外音取り込み機能を使って外の音をイヤホンをしながら取り込むことができますが、普通に会話できるくらい自然な外音取り込みとなっています。
個人的にはWF-1000XM4よりも人の声の聞き取りがしやすく、より自然になったように感じます。声の音質はAI処理によって改善されているのかもしれません。
映像と音の遅延は少ない(LE audioに対応)
LinkBuds Sは動画と音声の遅延はほとんどありません。アプリから「音質優先」にしてもYouTubeの声ズレがほとんどないので普段使いにおいては問題ないレイテンシーになっています。
また、Bluetoothの新規格・LE Audioに今後のアップデートで対応し、超遅延モードにすることでゲームでの映像と音のずれも最小限に抑えられるようになります。
LE AudioはBluetooth 5.2に対応したスマホでないと使えないなど使える機会は少ないですがゲーマーにとっては嬉しい機能の一つになるかもしれません。
スマホとの接続方法
LinkBuds SはBluetoothでスマホなどの端末と接続して使えますが、最初は充電ケースを開くだけでもペアリングモードになってスマホのBluetoothの設定画面から接続できます。
スマホのBluetooth接続先の一覧に「LinkBuds S」と表示されるのでタップすると接続完了です。
基本的に一度ペアリングをしてしまえば、2回目以降はイヤホンの蓋を開けてイヤホンを取り出すだけで自動ペアリングしてくれるので余計な操作は不要です。
なお、Fast Pairに対応しAndroidならポップアップウィンドウで接続セットアップができるようになっています。
Sony LinkBuds S レビュー:まとめ
- イヤホン本体が小型で軽い
- 自然な装着感で長時間使用も大丈夫
- ノイズキャンセリングで騒音を低減
- 自然な外音取り込み機能を搭載
- 高音質コーデック LDACに対応
- LE Audioでゲーム遅延を低減
- IPX4で雨や汗で少し濡れても大丈夫
- 「デバイスを探す」に対応(Android)
- ワイヤレス充電(Qi)に対応していない
- マルチポイント非対応(マルチペアリング対応)
- LE audio ⇄ LDAC 切り替えが手間
LinkBuds Sのメリット
LinkBuds Sは小型軽量なイヤホンなのにWF-1000XM4と同等機能が使えるミドルレンジクラスの完全ワイヤレスイヤホンとなっています。
イヤホン本体がとても小さいくて軽いのでカナル型の耳に押し込むタイプですが長時間装着してても疲れにくく扱いやすくなっています。
ノイズキャンセリング機能もしっかり搭載していて、効きもWF-1000XM3と同等レベルで使えますし、なによりも外音取り込み機能がAI処理をしていることもあって人の声が本当に聞き取りやすいです。
没入して音楽を楽しみながら話しかけたらスピーク・トゥ・チャットでそのまま会話することもできます。リングドライバーのLinkBudsのような開放感はないけどコンセプトはしっかり引き継いでいます。
LinkBuds Sのデメリット
LinkBuds Sはワイヤレス充電に対応していません。この価格で非対応はちょっとツライですがコンパクトさを優先した結果なのかもしれません。
また、マルチポイントにも対応していないのでスムーズな端末切り替えはできません。
ただ、マルチペアリングには対応しているので複数の端末をペアリングしておいて設定画面から端末名をタップするだけでサクッと切り替えはできます。
LinkBuds Sがおすすめな人は
LinkBuds Sは普通のイヤホンが欲しい方におすすめです。普通に音質がいいですし、ノイズキャンセリング機能を搭載し音に没入できますし高性能な外音取り込み機能でスムーズな会話も可能です。
- 普通に使えるイヤホンが欲しい人
- そこそこ音質の良いイヤホンが欲しい人
- ノイズキャセリング機能も使いたい
LinkBuds、LinkBuds S、WF-1000XM4の棲み分けとしてはLinkBudsシリーズは長時間利用ユーザーに、音楽にこだわるならWF-1000XM4ですね。
とても分かりやすいのではないでしょうか。
音質をとにかく重視するならWF-1000XM4がおすすめです。
→ LinkBuds、WF-1000XM4、WF-1000XM5はこちら
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