日本の光回線は少し特殊で一般的なPPPoE(プロバイダのIDとパスワードを入力するタイプ)接続だと時間帯によっては通信速度が遅くなってしまい使いものにならないこともあり、通信速度が遅くなりにくいIPv6 IPoE(V6プラス)を契約している方も多いかと思います。
ただ、IPoE(IPv6)は海外のWi-Fiルーターだと対応していないモデルが多いんですよね。そんな中で、TP-LinkもArcher A10 ProでIPv6 IPoE(V6プラス)に対応しましたがスペックの高いモデルでは対応していない状況でした。
そんな中、ついに!!TP-Linkから通信速度の速いハイエンドWi-FiルーターでIPoE(IPv6)に対応した強いルーター・Archer AX73(AX5400)が登場しました!!
この記事ではArcher AX73のサイズ・使いやすさ・通信速度をレビューしているので、戸建て住宅や広めのマンションに住んでいる方で1台のWi-Fiルーターで完結したいという方は参考にしてみてください。
※商品を提供していただき記事にしております。
この記事の目次
TP-Link Archer AX73の特徴
- IPv6 IPoE(V6プラス)接続に対応
- Wi-Fi 6(11ax)の高速通信に対応
- 4.8Gbps + 574Mbps デュアルバンドWi-Fi
- 6本の外部アンテナとビームフォーミング技術
- OFDMAとMU-MIMOで複数端末と同時通信
- 1.5 GHz トリプルコアプロセッサを搭載
- 最大80台の端末を接続可能
- TP-Link OneMeshでメッシュWi-Fi化も
- USB 3.0を搭載しネットワークストレージ化も
- 参考価格:13,600円(Amazon)
Archer AX73はIPv6 IPoE(V6プラス)接続に対応しているので、PPPoE接続が使えないシチュエーションでも最強のWi-Fi環境を手に入れることができます。
IPv6 IPoEに対応しただけでなく高速通信規格のWi-Fi 6(11ax)に対応し外部アンテナを6つ搭載した6ストリーム、合計5.4Gbps(4.8 + 574Mbps)のデュアルバンドWi-Fiに対応しました。
ほんとに、こういう全部入りのルーターを待ってた。
Archer AX73は強力な外部アンテナを6本搭載し、1台運用で強度の強い電波を遠くまで飛ばせるので戸建住宅でも快適な通信が可能です。実際に我が家(5LDK戸建て)で試してみたところ各部屋で100〜500Mbpsの高速通信ができます。
もし、もっと大きな家に住んでいたり事業所で使うことを想定しているのならTP-Link OneMeshに対応した中継機・RE605Xを追加することでWi-Fiのエリアを手軽に拡大できるので拡張性も高いのも特徴となっています。
Archer AX73のスペック
Archer AX73は新世代テクノロジーのWi-Fi 6に対応していて高速通信ができるだけでなく多くの端末を同時に使うこともできるようになっています。
Archer AX73は6つの外部アンテナを搭載した6ストリームに対応しています。
合計5.4Gbps(4.8Gbps + 574Mbps)の通信速度に対応し、戸建て住宅なら3回建てまで、マンションなら4LDKまでの広さなら快適に通信が可能。最大接続台数は80台となっています。
Archer AX73とArcher AX50、Archer A10 Proのスペックを比較してみました。
Archer AX73 | Archer AX50 | Archer A10 Pro | |
対応規格 | 802.11ax/ac/n/a(5GHz) 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
802.11ac/n/a(5GHz) 802.11n/b/g(2.4GHz) |
|
5GHz 2.4GHz |
4804Mbps 574Mbps |
2402Mbps 574Mbps |
1733Mbps 800Mbps |
アンテナ数 | 外付け×6 | 外付け×4 | 内蔵×1 外付け×3 |
Wi-Fi性能 | デュアルバンド、4×4 MU-MIMO、OFDMA、6ストリーム | デュアルバンド、OFDMA、4ストリーム | デュアルバンド、4×4 MU-MIMO、4ストリーム |
CPU | 1.5GHz トリプルコア |
デュアルコア | |
拡張性 | メッシュWi-Fi技術 OneMesh対応 | – | |
IPoE | V6プラス対応 | – | V6プラス対応 |
有線ポート | 1Gbps WLAN ×1、1Gbps LAN ×4 | ||
USBポート | USB 3.0 ×1 | ||
サイズ | 272.5 × 147.2 × 49.2 mm | 260.2 × 135.0 × 38.6 mm | 216 × 164 × 36.8 mm |
参考価格 | 13,600円 | 11,800円 | 9,980円 |
IPv6 IPoE(V6プラス)、Wi-Fi 6、6ストリームの安定通信ができて13,600円はお世辞抜きで安いと思います。このスペックで5LDKの戸建て住宅を満足いく速度の電波で満たしてくれるので驚き。
一般家庭ならArcher AX73が1台あれば十分満足行くことができる性能を持っているかと思います。
Archer AX73レビュー
外観デザイン・サイズ
Archer AX73はアンテナ剥き出しのWi-Fiルーターとなっています。
同梱品は電源アダプタ、LANケーブル、初期設定のSSID、パスワードが記載されたカードなどとなっています。
Archer AX73は本体自体は平置きにして使うことができ、外部アンテナが6本搭載しています。
Archer AX73のアンテナ部分は可動式となっていて、家の形状と広さに合わせてアンテナの向きを最適化することができます。
本体の上部は排熱も考慮されたうろこ状の鎖帷子のようなベンチレーションホールデザインとなっていて高い通気性を実現。オーバーヒートを防ぐことができ最大限の性能を引き出すことが可能となっています。
TP-Linkのロゴのある部分は光沢のあるデザインとなっていてアソビ心のあるスタイルとなっています。本体サイズは272.5 × 147.2 × 49.2 mmとなっていて横に長いルーターとなっています。
それなりに大きいサイズなので設置場所を考える必要はありますが、本体の裏側には壁に引っ掛けるための穴が設けられていて壁に釘でも打ち付けて壁掛けスタイルで使えるように配慮されています。
筐体の左部分に各種LEDインジゲーターを搭載していて状態を確認できます。
左から順に電源(点滅:処理中・点灯:正常動作) → 2.4GHz Wi-Fi → 5GHz Wi-Fi → インターネット接続 → LANポート接続 → USB接続 → WPS動作となっており、LEDは専用アプリを使うことで「夜モード」にして指定時間で自動的にOFFにすることもできます。
5つのWAN/LANポートを搭載
Archer AX73はギガビットWANポートを1つ、ギガビットLANポートを4つ搭載しているので、複数の端末を有線でイーサネット接続することが可能となります。
6ストリーム、Wi-Fi 6に対応したルーターなので基本的にワイヤレスでも高速通信できますが、動画編集をしたり、写真のデータなど大容量データを扱うことが多いパソコンが近くにあるならば有線で接続することで、より素早いデータ転送をすることができます。
背面部分に操作ボタンも搭載しています。
- LEDボタン(1秒長押し):ON・OFF 切り替え
- WPSボタン(1秒長押し):WPS接続が有効になる
- Wi-Fiボタン(2秒長押し):ON・OFF 切り替え
Archer AX73は専用アプリから操作ができますが、物理ボタンも搭載しているので、何らかの事情でWi-FiのON、OFFをしたり、WPS接続をして簡単接続したいときすぐに設定できるのでプリンターなどを無線で接続することができます。
USB 3.0ポートでネットワークストレージにも
Archer AX73はUSB 3.0ポートを本体の横側に搭載しています。
USB 3.0で最大5Gbpsで外付けストレージと接続ができるのでArcher AX73を介して簡易なネットワークストレージ(NAS)を構築することができ、複数の端末から無線で写真、動画を簡単に共有することもできます。
また、Macのバックアップ機能・Time Machineのネットワークストレージとしても使えます。HDDだと通信速度が遅いので、予算に余裕があるのなら外付けSSDを接続することでデータ転送速度を向上させることができます。
また、外からデータにアクセスをしたいという場合も「TP-Linkクラウドサービス」と「Tetherアプリ」を使うことリモートアクセスにも対応しているので使い方の幅はかなり広くなっております。
さらに、USBポート経由でプリンターを接続もできます。完全無線でプリンターを接続するよりも設定が簡単なので気軽に使いたいならこの方法がおすすめです。
IPv6 IPoE(V6プラス)に対応
Archer AX73は一般的なPPPoE(プロバイダのIDとパスワードを入力するタイプ)による接続だけでなく、IPv6 IPoE(V6プラス)による接続にも対応しています。
一般的な契約はPPPoE方式が一般的です。この方式だとフレッツNGN網のPOI/ 網終端を通過する影響により通信速度が遅くなることがあります。時間帯によって極端に速度が遅くなる場合は影響を受けている場合が高いです。
そこで、網終端を通過せずにインターネット接続できる各プロバイダではIPv6 IPoE方式によるサービスが用意されていて、契約を切り替えることで劇的に通信速度を向上することができます。
Archer AX73の実際の通信速度
では、実際にArcher AX73の通信速度を見ていきましょう。V6プラスに対応しているのでONUと接続するだけで通信をすることができます。
以下の条件で接続をしてiPhone 12 Pro Maxを使って実際に通信速度をGoogleスピードテストで計測してみました。
Archer AX73をお風呂場の上部分(1階と2階の間)にテレビアンテナや光回線のケーブルを引き込んで分岐させている空間があるので、そこにモデムとルーターを設置しています。
- ルーター:Archer AX73
- 計測端末:iPhone 12 Pro Max
- 環境:戸建て2階建て(5LDK)
- 光回線:ドコモ光 × GMO光
- 契約:IPv6 IPoE(V6プラス)
参考までにIPv6 IPoE(V6プラス)に対応しているArcher A10 Pro(1台)、A10 Proをブリッジ接続したDeco X20(2台)による速度も比較しております。
Archer AX73 | Archer A10 Pro | A10 Pro → Deco X20 2台無線接続 | ||
リビング1F | 受信 | 277Mbps | 129Mbps | 210Mbps |
送信 | 138Mbps | 184Mbps | 80Mbps | |
和室1F | 受信 | 432Mbps | 210Mbps | 240Mbps |
送信 | 202Mbps | 127Mbps | 129Mbps | |
お風呂1F | 受信 | 548Mbps | 419Mbps | 480Mbps |
送信 | 169Mbps | 201Mbps | 241Mbps | |
玄関1F | 受信 | 470Mbps | 323Mbps | 418Mbps |
送信 | 168Mbps | 64Mbps | 178Mbps | |
書斎2F | 受信 | 404Mbps | 274Mbps | 389Mbps |
送信 | 123Mbps | 152Mbps | 246Mbps | |
寝室2F | 受信 | 396Mbps | 176Mbps | 179Mbps |
送信 | 188Mbps | 146Mbps | 90Mbps | |
子ども部屋2F | 受信 | 147Mbps | 84Mbps | 207Mbps |
送信 | 87Mbps | 42Mbps | 181Mbps |
ルーターから近いところ場所はどのモデルも400Mbps〜500Mbpsほどの速度が出ているので差はあまりないですが、部屋が遠くなるにつれてArcher AX73の通信速度が速くなっているのが分かります。
やはり6ストリームのWi-Fiルーターは安定感がありますね。一台でここまで通信速度を維持することができます。
同じくV6プラスに対応しているArcher A10 Proは外部アンテナを3つしかないため電波強度が弱く、ルーターから少し離れたリビングや子ども部屋になると100Mbpsほどに低下します。
しかし、Archer AX73は外部アンテナを6つも搭載しているため離れた部屋でも150〜200Mbpsの速度を維持してくれるのですごい。5LDKの戸建て住宅でも十分満足いく通信速度を得ることができます。
もし、離れた部屋でも安定した高速通信をしたいならTP-Link OneMeshに対応したRE605Xなどを使ってメッシュWi-Fi化するのがいいでしょう。
スマホから簡単に設定ができる
Archer AX73はスマホに専用アプリ「TP-Link Tether」をインストールし簡単に設定できるようになっています。
TP-Link Tetherを起動してログインをします。TP-Linkのアカウントを持っていない場合は「登録」しておきましょう。アプリを起動して「デバイスの種類を選択」しましょう。
Archer AX73は「ルーター」の中にあります。モデムとArcher AX73をLANケーブルで接続して電源を入れてしばらく待機してArcher AX73とスマホをWi-Fiで接続をします。iPhoneなら「設定」→「Wi-Fi」を起動することでWi-Fiの一覧を表示できます。
Archer AX73の本体裏面やSSIDが記載されているカードがあるのでWi-Fiの一覧から記載されている型式を探してタップすると接続した状態となります。
接続が上手くいったらアプリに戻って「インターネット接続タイプ」を選択しましょう。Archer AX73をはIPv6 IPoE(V6プラス)に対応してるので、今回は「v6プラス(MAP-E)」を選択します。
IPv6 IPoE(V6プラス)を契約していない場合はPPPoEを選択してプロバイダから配布されているIDとパスワードを入力してください。他にも、動的IP、静的IP、L2TP、PPTP、DS-Liteから選択できます。
SSIDとパスワードは自由にカスタマイズできるので、自分好みの設定にすることができますし、スマートコネクトを設定することで一つのSSIDとパスワードで自動的に高速な帯域を選んで快適に通信が可能となっています。
スマートコネクトを使うことで自動的に最適な電波(5GHz・2.4GHz)を使うことができます。基本的に4LDKの戸建て、マンションであれば5GHz帯域を普通に使えるので設定しなくてもいいかもですね。
大きな家、事業所になると5GHz帯域で届かない可能性もあるのでスマートコネクトを設定しておいた方がよりよいパフォーマンスを得られるかと思います。
OneMeshでメッシュWi-Fi化もできる
6本の外部アンテナを搭載しているArcher AX73なので追加ルーターが必要になるシチュエーションは少ないですが、5LDK以上の大きな家、事業所になると通信速度が遅くなることもあります。
そこで、TP-Link独自技術のOneMeshに対応した機器と組み合わせることでArcher AX73をメイン機としたメッシュWi-Fi環境の構築もできます。
OneMeshによるメッシュWi-Fiを構築するにはOneMesh対応機器を使う必要があります。
最大通信速度はArcher AX73と比べると劣りますが、電波が弱いと感じるところを簡単に補強することができます。価格も安いのでちょっと物足りないと思ったら追加購入してみるのもおすすめです。
詳しくは公式ページの「TP-Link OneMesh対応機器」をご覧ください。対応端末もしっかりと記載されています。
Archer AX73 レビュー:まとめ
Archer AX73のメリット
Archer AX73はIPv6 IPoE(V6プラス)に対応したWi-Fi 6ルーターです。
- IPv6 IPoE(V6プラス)対応
- デュアルバンド + 6ストリームに対応
- 1台で戸建て住宅をカバーできる
- ネットワークストレージを構築できる
- OneMesh対応でメッシュWi-Fiかも可能
- アプリが使いやすくて設定しやすい
- 端末価格が約1.4万円と安い
IPv6 IPoE(V6プラス)に対応しているので、この1台だけで高速データ通信をすることができますし、6本の外付けアンテナにより戸建て住宅でも十分な速度を得ることが可能となっています。
もし、大豪邸に住んでいて電波が不安といった場合でもOneMesh対応機器を追加することでWi-Fi範囲を広げることができるので、汎用性はとても高いのかなと思います。
いずれにしても、このスペックで1.4万円くらいで買うことができてしまうことが驚きです。
Archer AX73のデメリット
Archer AX73は全部入りのWi-Fiルーターとなっていて、一般用途においてはデメリットはとくにありません。価格も安いし文句はないです。
- 特になし
10Gbpsの有線LANを搭載していないなど、細かいところはあるにしても価格を考えると満足いけるルーターとなっております。
海外製のルーターはV6プラスに対応したものは少なく選択肢があまりないのが実情です。そんな中で6ストリームのWi-Fi 6に対応したArcher AX73はV6プラスの契約をしているなら「これを買っておけば間違いない。」と断言できるルーターです。
マンションなど広い範囲で使うことがないのであればArcher A10 Proでも十分ですが、戸建て住宅で使うならArcher AX73がおすすめです。1台で広く快適に使えるので大きめの家に住んでいてV6プラスを契約している方は検討してみてください。
https://sin-space.com/entry/archer-ax90V6プラス対応のWi-Fiルーターはこちら。
コメントをどうぞ!