光回線の通信速度が遅くて従来のPPPoE接続ではなくIPv6 IPoE(V6プラス)を使ってる方も多いかと思いますが、我が家もPPPoE接続だと速度が遅すぎてV6プラスを使っています。
V6プラスは国内メーカーのWi-Fiルーターは対応している端末が多いですが、海外メーカーのWi-Fiルーターは非対応のものがほとんどなんですよね。選択肢がとても少ないのです。
そんな中で、TP-LinkのWi-Fiルーター・Archer A10 ProはV6プラス(IPv6 IPoE)の通信に対応しています。しかも、価格が9,980円とお安い。V6プラスに対応し最大1733Mbpsで通信できるので普通の使い方においては十分すぎる性能となっています。
ということで、TP-LinkさんがArcher A10 Proを提供してくれたので、Archer A10 Proのサイズ、使い勝手、通信速度などをレビューしていきたいと思います。V6プラス対応のWi-Fiルーターを探している方は参考にしてみてください。
- V6プラス(IPv6 IPoE)に対応している
- 4×4 MU-MIMOとビームフォーミングで安定した通信ができる
- USB-Aポートで簡易NASとしても使える
- VPNサーバーに対応している
- アプリが使いやすくて設定しやすい
- 端末価格が6,230円ととても安い
- Wi-Fi 6に非対応
- 遠くの部屋への電波は届きにくい
- OneMeshに対応していない
この記事の目次
Archer A10 Proの特徴
- Wi-Fi 5(802.11 ac/n/b/g)対応
- 5GHz:1733Mbps (802 11ac)
- 2.4GHz:800Mbps (802 11ac)
- V6プラス(IPv6 IPoE)に対応
- 外部3/内部1アンテナ + デュアルバンド + ビームフォーミング
- MU-MIMOで複数端末と同時通信
- スマホでかんたん管理(Tetherアプリ)
- 1Gbps WLAN ×1、1Gbps LAN ×4
- WPSボタンで簡単接続ができる
- 本体サイズ:216 × 164 × 36.8 mm
- 実売価格:税込 6,230円
「Pro」とはいえ、1万円以下で買うことができるWi-Fiルーターなので上位モデルで対応しているトライバンドやWi-Fi 6といった見た目の派手さはないですが、デュアルバンドのWi-Fi 5でも十分すぎる高速通信ができます。
5LDKの2階建の一軒家でも家全体の中央部分にルーターを設置できる環境であれば1台で運用も可能ですし、通信速度を計測すると国内メーカーのWi-Fi 6対応ルーターと遜色ないどころかそれ以上の速度が出ていました。
Wi-Fi 6は数多くの端末を使う時に恩恵を受けることができるので、一般家庭においてはArcher A10 Proが1台あれば快適な通信環境を手に入れることができると思います。
V6プラス(IPv6 IPoE)に対応
Archer A10 Proは従来のPPPoE接続だけでなくIPv6 IPoE(V6プラス・DS-Lite・IPv6ブリッジ)の接続にも対応したWi-Fiルーターとなっています。
IPv6 IPoE(V6プラス)は日本独自の規格なので海外メーカーのWi-Fiルーターは対応してない端末が多いですが、Archer A10 Proは対応しているのがいいですね。
Wi-Fiルーターの設定は設定画面からプロバイダの接続IDとパスワードを入力して接続するPPPoE方式が一般的ですが、この方式だとフレッツNGN網のPOI/ 網終端と呼ばれるところを通過する影響により環境によっては通信速度が遅くなることがあります。
そこで、プロバイダでV6プラスなどのIPv6 IPoE方式によるサービスに切り替えることで、網終端を通過せずにインターネット接続できて劇的に通信速度を向上することができます。(PPPoE方式でも速度が速い環境の場合は効果はありません。)
我が家のインターネット環境は従来のPPPoE方式だと速度が全然出なかったので、IPv6 IPoE(V6プラス)を使っています。
今まで、海外メーカーのWi-Fiルーターを使う場合は間にV6プラスに対応したWXR-5950AX12など挟む必要がありましたが、Archer A10 Proであれば1台でV6プラスによる通信ができるようになります。
デュアルバンドWi-Fi + 4×4 MU-MIMOに対応
Archer A10 Proは5GHz(1733MHz)+ 2.4GHz(800MHz)のデュアルバンドWi-Fiに対応しています。11acまでの対応なので11axのWi-Fi 6は使うことができません。
また、4×4 MU-MIMOにも対応しているので複数デバイスとの同時通信が可能で、使える帯域に各デバイスに振り分けをすることによってみんな(最大48台の端末)が同時に遅延なくインターネットを楽しめます。
また、Archer A10 Proは3本の外部アンテナと1本の内蔵アンテナを搭載し、端末のある場所へ最適な電波を送信できるビームフォーミングに対応しより遠くまで強度の高い電波を飛ばすこともできます。
Archer A10 Proは最大3階建ての戸建て、4LDKのマンションで使うことができます。
我が家は2階建ての5LDKですがWi-Fiルーターを家の中央に配置できるのでArcher A10 Proの1台で使える通信環境を作ることができます。
ただし、さすがに離れた部屋になると速度が落ちてしまうので速度を重視するのなら、TP-Link Deco X20を組み合わせてWi-Fi 6のメッシュ環境を構築するのがいいのかもしれません。
WPA3でより安全なインターネット環境に
WPA3は2018年にWi-Fi Allianceによって導入されたセキュリティ規格となっていて、従来のWPA/WPA2よりも強固なセキュリティの元でインターネットを楽しむことが可能です。
最新のiOS 14・iPad OS 14ではWPA/WPA2で接続している場合、Wi-Fiの項目に「安全性の低いセキュリティ」と表示する仕様となっています。
「安全性の低いセキュリティ」って言われると気になってしまいますが、Archer A10 ProならWPA3に設定することができる(初期設定はWPA/WPA2になってる。)ので、安心の環境を構築することが可能となっています。
Archer A10 Proのスペック比較
TP-LinkのWi-Fiルーターにはいくつかのラインナップがあり、Archer A10シリーズには「Pro」と「無印」のモデルがあります。
モデル | Archer A10 Pro | Archer A10 | Archer A6 |
---|---|---|---|
対応規格 | Wi-Fi 5(802.11ac/a/b/g/n) | ||
Wi-Fi速度 | 5GHz: 1733Mbps (11ac) 2.4GHz: 800Mbps (11n) |
5GHz: 867Mbps (11ac) 2.4GHz: 300Mbps (11n) |
|
CPU | デュアルコアCPU | ||
MU-MIMO | 4×4 MU-MIMO | MU-MIMO | |
アンテナ | 外部アンテナ:3本 内蔵アンテナ:1本 |
外部アンテナ:4本 | |
セキュリティ | WPA/WPA2/WPA3、TP-Link Home Care | WPA/WPA2 | WPA/WPA2/WPA3 |
LANポート | 1Gbps ×4 | ||
INTERNETポート | 1Gbps ×1 | ||
USBポート | Type-A USB 3.0 | – | – |
IPoE | IPv6 IPoE(V6プラス・DS-Lite・IPv6ブリッジ) | ||
同時接続台数 | 48台 | 48台 | 15台 |
サイズ | 216 × 164 × 36.8 mm | 230 × 144 × 35 mm | |
重量 | 555g | 665g | 325g |
価格 | 9,980円 | 7,980円 | 4,250円 |
Archer A10 ProはArcher A10の上位モデルとで通信性能については全く同じですが、Archer A10 Proの方はTP-Link Home Careに対応するなどセキュリティが高くすることができます。
また、USBポートを搭載しているので外付けストレージをネットワークストレージにすることができるので幅広い使い方ができるようになっています。
Archer A10 Pro レビュー
外観デザイン・サイズ
Archer A10 Proは本体のほかに電源アダプタLANケーブル、説明書、SSID名と初期パスワードが記載されたカードが付属しています。
Archer A10 Proの筐体デザインは光沢のあるパネルと熱排熱を考慮したメッシュスタイルを採用していて価格の割にシンプルで高級感のあるものとなっています。
LEDインジゲーターがあるので状態を一目で確認できるようになっています。
筐体サイズは216 × 164 × 36.8 mmと一般的なWi-Fiルーターと同等の大きさとなっています。
ここでは平置きスタイルとなっていますが、Archer A10 Proの別売の縦置きスタンドを使うことで縦置きにすることもできるので、省スペースにWi-Fiルーターを設置することも可能となっています。
縦置きスタンドが付属したモデルは「Archer A2600 Pro」となります。
リビングなどに人の目に付くところに設置するなら縦置きした方がスマートかもしれないですね。また、筐体の裏側にくぼみがあるのでビスを壁に取り付けることで壁掛けスタイルで使うことも可能となっています。
3つの外部アンテナ、筐体の中に内蔵アンテナを搭載し合計4つのアンテナを使うことで安定した高速通信ができるようになっています。外部アンテナは可動式となっているので、設置場所に合わせて調整することができます。
リビングに置くなら平置きの方がいいかもですね。圧迫感があまりない感じで。
大きさ控えめのWi-Fiルーターなのでリビングにそのまま置いても大丈夫ですし、どこにでも設置できる使いやすいサイズなのかなと感じます。
ポート数と機能について
ルーター本体の背面側に「電源ポート」・「電源ボタン」・「WANポート(青)」・「LANポート(黄)× 4」を搭載しています。
電源アダプタは付属のものを使いましょう。モデムからのLANケーブルは青色の「internet」のポートに接続することでWi-Fiルーターとして使うことができます。
筐体の左側に、「Wi-FiのON/OFFボタン」・「リセットボタン」・「WPSボタン」を搭載しています。そして、Archer A10になかった「USB 3.0ポート」をArcher A10 Proは搭載しています。
USBポートに外付けハードディスクを接続することで同じネットワーク上に接続している端末からアクセスできるようになり、写真や動画、ファイルなどをワイヤレスでシェアが可能です。外出先からでも安全なVPN経由でストレージにアクセスできるので、簡易NASとして使うことができます。。
また、Archer A10 ProはWPSに対応しているので対応端末であれば設定なしで無線通信ができます。
例えば、Wi-Fi対応のプリンターを接続する場合は通常は無線ルーターのSSIDや パスワードの設定が必要となりますが、WPSがあればワンプッシュで無線設定をすることもできます。
Archer A10 Proの通信速度
Archer A10 ProはWi-Fi 5(802.11ac/a/b/g/n)なので、Wi-Fi 6対応ルーターと比べるとスペックを数値上で比較すると微妙かなぁ…と感じてしまいますが、実際の通信速度はWi-Fi 6のルーターに見劣りしない性能となっています。
実際に通信速度をGoogleのスピードテストで計測してみました。
- Wi-Fiルーター:Archer A10 Pro
- 計測端末:iPhone 11 Pro
- 環境:戸建て2階建て(5LDK)
- 光回線:ドコモ光 × GMO光
- 契約:IPv6 IPoE(V6プラス)
Archer A10 Pro | WRC-3000GS | ||
リビング1F | 受信 | 243Mbps | 87.8Mbps |
送信 | 186Mbps | 51.6Mbps | |
和室1F | 受信 | 155Mbps | 28.9Mbps |
送信 | 101Mbps | 29.8Mbps | |
お風呂1F | 受信 | 524Mbps | 291.1Mbps |
送信 | 161Mbps | 107.2Mbps | |
玄関1F | 受信 | 352Mbps | 175.6Mbps |
送信 | 92Mbps | 57.1Mbps | |
書斎2F | 受信 | 418Mbps | 140.3Mbps |
送信 | 198Mbps | 63.5Mbps | |
寝室2F | 受信 | 125Mbps | 80.7Mbps |
送信 | 150Mbps | 56.7Mbps | |
子ども部屋2F | 受信 | 59Mbps | 17.5Mbps |
送信 | 55Mbps | 24.8Mbps |
参考までにELECOMのV6プラス・Wi-Fi 6対応のWRC-X3000GSの通信速度と比較してみましたが、まさかのWi-Fi 5のルーターであるTP-LinkのArcher A10 Proの方が圧倒的に速くて最大で500Mbpsの通信速度となってました。
二階の子ども部屋は5GHzの帯域が届かずに2.4GHz帯域となってしまい通信速度は遅めですが十分使える速度となっています。設置場所をもう少し家の中央に設置できれば1台で家中をWi-Fiで十分満たすことができるでしょう。
もし、戸建てで家の中央に設置できない場合はArcher A10 Proを2台設置して片側をブリッジモードにして使うことで家中をWi-Fiの電波で満たすことができると思います。
2台購入したとしても費用は2万円以内に収まってしまうって…安すぎですよね。なのに、通信速度はかなり速いのでコストパフォーマンスは最高といっていいかもしれません。
スマホから簡単に設定ができる
モデムとArcher A10 Proがしっかりと接続できてるか確認をして電源を入れます。
スマホの「設定」アプリの「Wi-Fi」の設定に「TP-Link_〇〇〇〇」か「TP-Link_〇〇〇〇_5G」という項目が表示されているはずなので、こちらをタップしてください。
付属のカードやArcher A10 Proの筐体の裏側にパスワードが記載されてるので、入力して接続をします。接続が完了したらアプリに戻って「ローカルアカウントの作成」をするためにパスワードを入力します。
Archer A10 Proの設定はスマホに専用アプリ・TP-Link Tetherをインストールすることで簡単に可能となっています。
TP-Link Tetherを起動してTP-Link IDを作成してログインをします。
サインアップからメールアドレスとパスワードを入力するとメールアドレスに確認のメールが行くので認証用のURLをタップして手続きを完了します。これで登録したメールアドレスとパスワードを使ってログインすることができます。
次のArcher A10 Proの接続をしていきます。基本的に流れに沿っていくことで接続設定をすることができます。
Archer A10 Proに接続がうまくいくとローカルアカウントの作成が求められるのでお好きなパスワードを入力しましょう。
これはArcher A10 Proの設定をするためのパスワードとなります。これで、Archer A10 Proの細かい設定できるようになります。
V6プラス(IPv6 IPoE)の設定方法
V6プラス(IPv6 IPoE)の接続設定はとても簡単です。上記のパスワードの作成を完了すると「接続タイプを選択してください。」と表示されるので、ここから「v6プラス(MAP-E)」を選択して適用するだけで設定完了です。
すでに設定を完了している状態で設定を変更したりする場合はアプリのトップ画面にある「ステータス」からこの画面に入ることができるようになっています。
V6プラス(IPv6 IPoE)の設定はプロバイダのユーザーIDやパスワードが必要ないので、とにかく設定が楽なのがいいですよね。
PPPoEの設定方法
PPPoEで接続する場合は「接続タイプ」を「PPPoE」に設定してプロバイダから送付されてるユーザーIDとパスワードを入力して設定をします。
GMO光はV6プラスを開通するとPPPoEの接続ができなくなるので、ここでは試せていないですが、アプリから簡単に接続設定ができるようになっています。
WPA3に設定する方法
Archer A10 Proは初期設定状態では暗号化のタイプがWPA/WPA2となっているため、最新のiOS 14・iPad OS 14では「安全性の低いセキュリティ」という表示が出てしまいます。
このままの状態でも普通にインターネットができますし、自宅で使う分に置いては特に問題はないとは思いますが、少し気になるので最新のWPA3に切り替える方法を紹介します。
Archer A10 Proはスマホやパソコンのブラウザから詳細な設定を変更することができます。アクセス方法はブラウザのURLを入力する欄に「192.168.0.1」または「http://tplinkwifi.net」を入れることで可能です。
管理画面にアクセスしてローカルパスワードを入力します。
管理画面が表示されます。現在の状況を視覚的に確認できるがいいですよね。
管理画面の「ワイヤレス設定」の中に「セキュリティ」の項目があるので、「WPA/WPA2 パーソナル」から「WPA2/WPA3 パーソナル」に変更をして「保存」をすることでWPA3に変更ができます。
Wi-Fiの設定画面からも「安全性の低いセキュリティ」という表示が消えてスッキリしましたね。
気になる方は設定変更をしておきましょう。詳しくはTP-Linkの公式ページにも記載されています。
VPNサーバーに対応している
Archer A10 ProはVPNサーバー機能を使うことができるWi-Fiルーターです。
外出先からArcher A10 Pro経由でサーバーにアクセスしたり、NASストレージからデータを見たり、監視カメラの映像を閲覧するなど高度な機能を使うことができます。
ただし、V6プラス(IPv6 IPoE)でインターネット接続している場合はVPNサーバー機能は使うことができないので注意してください。(つまり、我が家の場合は使えない。)
Archer A10 Pro レビュー:まとめ
Archer A10 Proは9,980円という低価格Wi-Fiルーターでありながらも外部アンテナを3本、内蔵アンテナを搭載しているため安定した高速通信ができるようになっています。
Archer A10 Proのメリット
Archer A10 ProはV6プラス(IPv6 IPoE)に対応しているので、PPPoE接続では速度が出ない環境の方でも使うことができるのが最大のメリットといっていいでしょう。
- V6プラス(IPv6 IPoE)に対応している
- 4×4 MU-MIMOとビームフォーミングで安定した通信ができる
- USB-Aポートで簡易NASとしても使える
- VPNサーバーに対応している
- アプリが使いやすくて設定しやすい
- 端末価格が6,230円ととても安い
専用のアプリがシンプルでとても使いやすいので、誰でも簡単に設定できるのもいいところです。現在の状況もアプリ上から確認することができますし、どのデバイスが接続されているかも全て可視化することも可能です。
また、ファームウェアアップデートもアプリ上でできるのでとにかく使いやすいですよ。
Archer A10 Proのデメリット
通信もとても安定してるので特に不満なところがないのですが、強いていうならArcher A10 ProはWi-Fi 6に対応していないところでしょうか。1万円以下のルーターなので仕方ないですが対応してたら最強でした。
- Wi-Fi 6に非対応
- 遠くの部屋への電波は届きにくい
- OneMeshに対応していない
理論値の速度は1733Mbps + 800Mbpsと控えめですが、実際は上位機種と遜色ないくらいの通信速度が出るので、6,230円という価格を考慮すると十分すぎる性能を持っているとみていいでしょう。
また、OneMeshに対応していないのでWi-Fi範囲を拡張できないのも残念なところですね。
そのほかのV6プラス対応のWi-Fiルーターはこちら
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