キヤノンがエントリー向けのフルサイズミラーレスカメラEOS RPを2019年3月14日に発売することを正式発表しました。EOS RP ボディの価格が16万円ほど、レンズキット(RF35mm Macro)の価格は21万円ほどとなっており、この金額でフルサイズミラーレスカメラを購入できちゃう…めちゃくちゃ安くないですか?
ということで、フルサイズのEOS RPと上位機種のEOS Rと、下位機種でAPS-CサイズのEOS Kiss Mのデザイン、スペック、サイズの違いを比較してみたいと思います。これはかなり心揺れますね…。
この記事の目次
EOS R・EOS RP・EOS Kiss M デザイン、スペック、価格の比較
Canonのカメラはプロフェッショナルモデル、ハイアマチュアモデル、ミドルクラスモデル、エントリーモデルの4つのクラスに分類されていますが、EOS RPは中間ランクに位置するミドルクラスモデルのフルサイズミラーレスカメラとなっています。
プロフェッショナルモデルのEOS-1D X Mark IIは省くとして、各モデルの位置付けと簡単なスペックはこんな感じになっています。
タイプ | イメージセンサー | 映像エンジン | 参考価格 | |
EOS 5D Mark IV | 一眼レフ | フルサイズ:3,040万画素 | DIGIC6+ | 432,500円 |
EOS 5Ds | フルサイズ:5,060万画素 | デュアルDIGIC6 | 468,000円 | |
EOS 5Ds R | フルサイズ:5,060万画素(LPFLESS) | 498,000円 | ||
EOS R | ミラーレス | フルサイズ:3,030万画素 | DIGIC8 | 237,500円 |
EOS 7D Mark II | 一眼レフ | APS-C:2,020万画素 | デュアルDIGIC6 | 138,000円 |
今回発売されるEOS RPはミドルクラスモデルに位置付けされており、EOS Rに採用された新型の3,030万画素のイメージセンサーの採用は見送られてEOS 6D Mark Ⅱと同じ2,620万画素のイメージセンサーを搭載しています。
タイプ | イメージセンサー | 映像エンジン | 参考価格 | |
EOS RP | ミラーレス | フルサイズ:2,620万画素 | DIGIC8 | 160,500円 |
EOS 6D Mark II | 一眼レフ | フルサイズ:2,620万画素 | DIGIC7 | 225,000円 |
EOS 80D | APS-C:2,420万画素 | DIGIC6 | 122,800円 |
ミラーレスカメラの新型モデルはどんどん登場していますが一眼レフのアップデートはしばらく行われていないので映像エンジンの性能は新しいミラーレスカメラの方が必然的に高くなっています。
タイプ | イメージセンサー | 映像エンジン | 参考価格 | |
EOS Kiss M | ミラーレス | APS-C:2,410万画素 | DIGIC8 | 73,500円 |
EOS Kiss X9i/9000D | 一眼レフ | APS-C:2,420万画素 | DIGIC7 | 97,500円 |
EOS M5 | ミラーレス | 98,600円 | ||
EOS M6 | 82,800円 |
他にももっと初心者向けのEOS M100、X90というのもあります。でも、個人的には初心者だからこそ性能の高いEOS Kiss Mとか選んだ方がいいと思っています。性能が低いと意外と撮影能力が求められるので…。
では、EOS RPとEOS R、EOS Kiss Mの違いを細かく比較してみましょう。
マウント、対応レンズの違い
EOS RP/EOS RとEOS Kiss Mではマウントが異なっており対応しているレンズが違うので、同じミラーレスカメラだからといってEOS Kiss Mを買ってからEOS RP/Rに乗り換えるとなるとレンズもすべて入れ替えないといけないことになってしまいます。
EOS RP/Rは新しく専用設計されたRFレンズに対応しておりマウントアダプターを使うことで従来の一眼レフで使われているEFレンズも使うことができるので、今まで一眼レフ(フルサイズ)を使っていた方は乗り換えはスムーズにすることができます。
RFレンズ | EFレンズ | EF-Mレンズ | EF-Sレンズ | |
フォーマット | フルサイズ | APS-C | ||
EOS RP/R | ○ | ○(マウントアダプタ使用) | × | ○(マウントアダプタ使用) |
EOS Kiss M | × | ○(マウントアダプタ使用) | ○ | ○(マウントアダプタ使用) |
EOS 6D Mark Ⅱ…など | × | ○ | × | × |
EOS X9i/9000D…など | × | ○ | × | ○ |
EOS Kiss MはAPS-Cサイズのミラーレス専用のEF-Mレンズとマウントアダプタを使うことで一眼レフのAPS-C専用のEF-SレンズとEFレンズを使うことができます。つまり、EOS RP/Rは同じミラーレスのEF-Mレンズを使うことはできないのです。
EOS RP/RはRFレンズとEFレンズ(マウントアダプター使用)を使うことができる仕様となっており、EFレンズに関してはタムロンやシグマなどから様々なレンズが発売されているので、これらのレンズを使うことができるのはEOS RP/Rを使う大きなメリットとなります。
デザイン、本体サイズの違い
EOS RPはより小型化
EOS R、EOS RP、EOS Kiss Mのデザインと本体サイズの違いを比較してみましょう。EOS RPとEOS Kiss Mはファインダー部分の出っ張りが大きくて縦に長いデザインとなっていますが、EOS RPは高さが少しだけ低くなっています。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
本体サイズ | 135.8 x 98.3 x 84.4 mm | 132.5 x 85.0 x 70.0 mm | 116.3 x 88.1 x 58.7 mm |
重量 | 580g | 440g | 116.3g |
EOS Rはミラーレスカメラにしては大きくて重いという印象がありましたが、EOS RPはダウンサイジングに大きく成功しており、EOS RP(132.5 x 85.0 x 70.0 mm 440g)はエントリーモデルの一眼レフカメラのEOS Kiss X9i(131.0 x 99.9 x 76.2 mm 485g)よりも小型化し軽くなっています。
EOS RPはAPS-CのKiss X9i/9000Dと同じサイズ感でフルサイズのレンズと画質を撮影できるということになるのです。これは素直に凄い。もちろん、サイズだけで比較するならEOS Kiss Mの方がはるかに小さいですが、豊富なレンズのことを考慮するとEOS RPを選ぶメリットはかなり大きいと言えそうです。
肩液晶はなくなりモードダイヤルに
EOS Rには肩液晶を搭載していましたがEOS RPは非搭載となり従来のモードダイヤルが搭載されています。また、EVF部分とグリップも少しだけ小型化しているのがわかります。
EVF・液晶も小型化へ
EOS RPのEVF(電子ビューファインダー)と液晶画面もEOS Rよりも少しだけ小さくなってします。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
EVF | 0.5型(365万ドット) | 0.39型(236万ドット) | |
液晶サイズ | 3.15型(210万ドット) | 3.0型(104万ドット) | |
液晶仕様 | タッチパネル、バリアングル |
EVFと液晶の解像度もEOS Kiss Mと同じレベルに落ちておるので撮影のしやすさを重視するならEOS Rとなるのかもしれません。ただ、EOS Kiss Mを実際に使っていますが0.39型(236万ドット)のEVFでも十分に見やすくて撮影にあまり支障がないので特に問題はないような気がします。
EOS RPもバリアングルタイプの液晶になっているのでファインダー撮影では難しいシチュエーションでも気軽に撮影することができるようになっています。
マルチファンクションバーは非搭載に
EOS Rで万を期して登場した新しい操作形態だったマルチファンクションバーですが、EOS RPは非搭載となりました。
これが不評だから搭載を見合わせたのか、下位モデルだから非搭載にしたのか…分かりませんが、プロ向けのEOS R上位モデルが登場した時にそのモデルにマルチファンクションバーが搭載されるかどうかで今後の動向が分かってきそうです。
イメージセンサーの違い
EOS RPはEOS Rと同じフルサイズのイメージセンサーを搭載していますが画素数は2,620万画素に抑えられています。おそらくEOS 6D Mark Ⅱと同等のイメージセンサーとなっているのでしょう。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
イメージセンサー | フルサイズ(36.0 × 24.0mm) | フルサイズ(35.9 × 24.0mm) | APS-C(22.3 × 14.9mm) |
画素数 | 3030万画素 | 2620万画素 | 2410万画素 |
映像エンジン | DIGIC 8 | ||
手ぶれ補正 | レンズ内手ぶれ補正、デュアルセンシングIS |
映像エンジンはすべてのモデルが最新のDIGIG 8を搭載しており、ボディ内手振れ補正機能は非搭載ですが、レンズ側で対応していたりデュアルセンシングISで効率的に手ブレを抑えることができるようになっています。
デュアルセンシングISはイメージセンサーとレンズのズレを補正するキヤノン独自の手ぶれ補正方式でコンパクトカメラで採用されていたものです。EOS R/RPはボディ内手ぶれ補正は非対応ですが別のアプローチで手ブレを抑える仕組みを持っていることになります。
シャッター、オートフォーカスの違い
EOS R、RP、Kiss Mともにキヤノンが独自開発しているデュアルピクセルセンサーを搭載していてDIGIC 8との組み合わせで精度の高いオートフォーカス性能を発揮します。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
フォーカス | デュアルピクセルCMOS AF方式 | ||
測距点 | 5655ポジション | 4779ポジション | 143点 |
AFフレーム選択 | 顔+追尾優先AF、1点AF、領域拡大AF(上下左右)、領域拡大AF(周囲)、ゾーンAF、ラージゾーンAF(縦)、ラージゾーンAF(横) | 顔+追尾優先AF、スポット1点AF、1点AF、領域拡大AF(上下左右)、領域拡大AF(周囲)、ゾーンAF | 顔+追尾優先AF、1点AF、ゾーンAF |
顔追尾AFの性能 | 瞳AFに対応 | サーボAF時の瞳AFに対応 | 瞳AFに対応 |
ISO感度 | ISO100~40000(拡張:ISO50、ISO51200、ISO102400) | ISO100~25600(拡張:ISO51200) | |
輝度範囲 | EV-6~18 | EV-5~18 | EV-2~18 |
シャッター速度 | 1/8000~30秒 | 1/4000~30秒 | |
連続撮影速度 | 8コマ | 5コマ | 10コマ |
内蔵ストロボ | – | 手動ポップアップストロボ |
EOS RPはEOS Rよりも少しだけAFの測距点が少なくなっていたり、シャッター速度、輝度範囲の性能が落とされています。特に連続撮影速度が8コマから5コマに少なくなっているのが気になるところですね。
シャッターの耐久性能も20万回から10万回に落ちているのでシャッターの構造自体がコストを下げるために違うものになっているのかもしれません。
性能が落とされてしまったEOS RPですが顔追尾AFはサーボAF時にも対応しさらに瞳AFでの追尾が可能となっているので、人物撮影はEOS RよりもEOS RPの方が使い勝手がいいかもしれませんね。
SDカード、通信性能、撮影可能枚数の違い
EOS RPはUHS-ⅡのSDカードに対応しているのでRAWで連続撮影しても快適に記録、転送することが可能となっています。スロット数は1つです。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
SDカード | SD/SDHC/SDXC(UHS-Ⅱ、UHS-I対応) | SD/SDHC/SDXC(UHS-I対応) | |
スロット数 | 1 | ||
Wi-Fi | 802.11b/g/n | ||
Bluetooth | 4.1 | ||
ポート | USB-C | Micro USB、HDMI(D) | |
バッテリー | LP-E6N/LP-E6 | LP-E17 | LP-E12 |
撮影可能枚数 | 約350枚 | 約210枚 | 約235枚 |
ポートはUSB-Cに対応しているのでケーブルを一本化することができますし、USB-Cに対応したiPad Pro 11インチとiPad Pro 12.9インチ(第3世代)を直接接続して簡単にデータ転送することができます。
EOS RPは本体サイズが小さくなったのでバッテリーもワンランク小さいLP-E17となり撮影可能枚数がEOS Kiss Mよりも少ない210枚になってしまいました。一眼レフのEOS 6DからEOS RPに乗り換えると撮影枚数の少なさに驚いてしまうんじゃないでしょうかね。
撮影枚数の少なさはミラーレスカメラの最大の問題点でもありますが、バッテリーを何個か持ち歩くことになるでしょうね。それでも、本体サイズが小さくなって取り回しがよくなった方が使いやすいと思うので割り切ってこれでいいのではないでしょうか。
価格の違い
EOS RPの価格はとにかく安いですよね。フルサイズミラーレスカメラのボディが16万円で購入できちゃうってスゴい。
EOS R | EOS RP | EOS Kiss M | |
ボディ価格 | 237,500円 | 160,500円 | 73,500円 |
レンズキット | 389,750円(RF24-105mmF4 + EF-EOS R) | 268,380円(RF35 MACRO + EF-EOS R) | 88,500円(EF-M15-45) |
ボディ単体ならEOS RPはEOS Rよりも77,000円も安く購入することができます。
これは買いではないでしょうか?フルサイズカメラでこの価格は安い!ということで、EOS RPを購入したのでレビュー記事を書いたので是非参考にしてください!
というか、EOS Kiss Mのレンズキットの価格の安さに驚きですね。フルサイズミラーレスはとても魅力的なんですけど、こだわりがないならレンズキットでもEOS RPよりも19万円も安いEOS Kiss Mでも十分です(笑)
でも、カメラ沼にハマる可能性があると感じている方は最初からフルサイズミラーレスのEOS RPを選んでおいたほうが結果的に安くつくことになると思います。
まとめ:EOS RPが欲しい…けど
僕はFUJIFILM X-H1をメインにCanon EOS Kiss Mをサブで使っています。かなり異色の組み合わせだと思うのですが、子ども達を撮るのはやっぱりFUJIFILMの色が最高すぎるのでX-H1を使っています。これは今後も変わらないと思います。(分からないけど。)
しかし、ブログでブツ撮り撮影するときはEOS Kiss M + EF-S 35mm Macroの組み合わせが寄れて気軽に撮影できるのでとても使い勝手がいいんですよね。あと、荷物をコンパクトにしたい時は最高にコンパクトなEOS Kiss Mを持ち出すことが多いのです。
で、今までフルサイズのカメラを使ったことがないので、これだけコンパクトになったEOS RPで試してみたい…という思いが強くなってきています。
レンズキットもRF35mm F1.8 MACRO IS STMという新しいマクロレンズなのでブツ撮りのカメラとしてかなり使えそうなんじゃないのかなー…。と思いつつ。どうしましょうか。でも、これ以上マウント増やすと収拾つかなくなってしまうと思いつつ。でも、欲しいよね。
EOS RPは2019年3月14日に発売開始となります。ボディ単体、レンズキット(RF35mm Macro)、マウントアダプタ付きなどから購入することができます。
EOS-Mシリーズはマウントアダプター使用の際にEF-Sに限定はされないかと思うのですが…